第2話
「どうしたの?口を開けすぎなのだわ。」
「唖然、って言葉を身をもって味わったんだよ・・・」
新しいクラス。何やら波乱の予感。
~重なる想い(Side:桜田ジュン)~
「やあ、ジュンくん。同じクラスみたいだね。」
「あーあ、チビが二人もおんなじクラスとは。先が思いやられるですぅ。」
「な、何だとこの性悪女め!」
「誰が性悪ですか!このチビチビオタク小僧!」
「僕はチビじゃない!お前より身長高いだろうが!」
「す、翠星石は心の広さを問題にしてるんです!」
「それだって僕のが大きいだろ!」
「なんですって!?」
「なんだよ!」
登校時にはなかった、これまた“いつもの光景”である。
「やっぱり、これがないと学校に来た気がしないや。」
「喧嘩するほど仲良しさん、なのー。」
「コラチビ苺!勝手なことほざいてんじゃねーですぅ!」
「どこをどう見たらこれが仲良しなんだよ!」
「・・・ご、ごめんなさいなのー。」
翠星石との言い合いはもはや恒例行事である。誰かが仲裁に入らないと、いつまでも言い合っている。
今日は誰が仲裁に・・・?って、もうみんな談笑始めてる!止める気ないのかよ!
・・・と、思った矢先。突如肩に何かの重みが加わってきた。
「・・・はぁい、ジュン。ごきげんよぉう。」
「あ、ああ。・・・って水銀燈!おま、何して・・・!」
肩の重み、その正体は!・・・水銀燈の豊満かつダイナマイトな胸であった。
「どんな挨拶だよ!」
「あら、つれないのねぇ。“もうちょっとそのままで・・・”とか素直に言えばいいのにぃ。」
「言うか!」
こいつの毎朝のセクハラ行為にもいい加減慣れてきたが、教室では是非やめてほしい。
だ、だから周囲の男子の目が・・・もう殺意を帯びてきているみたいで・・・
「・・・す、水銀燈!朝からセクハラとは何事ですか!」
「あぁら、ごめんなさぁい。二人の時間を邪魔しちゃったわねぇ。どうぞ、続けてくれて結構よぉ。」
「な・・・!な・・・何を言って・・・」
「痴話喧嘩は犬も食わない、って言うわよねぇ?安心して、野暮な真似はしないから。」
「・・・・・・・」
翠星石は固まってしまった。ナイス、水銀燈。助かった。
「あら、水銀燈。てっきり遅刻してくるとばかり思っていたのだわ。」
「失礼ねぇ。私だって登校時間ぐらい守るわぁ。」
「どうだか。」
・・・ん?何だろうこのデジャヴ。あー、そういやこの二人の言い争いも恒例行事だったっけ。
・・・な、なんか思い返すと・・・僕らって朝の町並みにすごい迷惑な集団だったんじゃ・・・
そうして僕が今までの所業を反省し始めた時、ちょうどチャイムが鳴った。
「よーし、みんな席につけー。」
続いて担任が・・・ちょっと待て、何でこいつがここに・・・いや、いいや。もうツッコむ気も失せた。
とにかく間違いない、このクラス分けにはチャ○ズが関わってる。
「どうも。このクラスの担任、梅岡です。みんな、一年間よろしくなー。」
軽く自己紹介すると、梅岡は「出席とるぞー」と早速呼名を始めた。
何かとありそうな僕の一年間。それは、ここから始まった・・・
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