二人っきりの暗闇で
「ジュン」「どうした?薔薇水晶」薔薇水晶の瞳が僕の瞳を射抜いた刹那、…無理やりに押し倒されてしまった。「うわっ!なんだよ…、いきなり」「真紅とベタベタして楽しかった?ジュンの浮気もの」「ベタベタって…」確かに今日は真紅と話す機会が多かった。…しかしそれは別に彼女が好きだとかそういうことではない。単なる偶然だ。「お仕置き、必要だよね…?」前触れ無く押し付けられた唇を。口内を侵略してくる舌を。僕は拒む機会すら与えられなかった。
「…はぁ…はぁ…はぁ……」やっと離された唇の間を銀色の糸が引く。それは蜘蛛の糸のように僕の理性を縛り上げていた。「薔薇水晶ぉ…」「ジュン……?きゃっ」形勢逆転。薔薇水晶に馬乗りになる。「真紅とは別になんでもない」「まだ信じられない」「そっ…か」今度は僕の方から口付け、薔薇水晶の口内を蹂躙する。思わず耳を塞ぎたくなるような猥雑な水音が響く。彼女の…薔薇水晶の瞳が潤みを帯びたことを確認して急に顔を離す。先ほどは僕をとらえた蜘蛛の糸が、今度は薔薇水晶を捕らえた。「信じてくれるか?」「…うん。だから私を…食べて?」彼女を貪ろう。熱く、汚れた舌で。彼女を貪ろう。獲物を捕らえた蜘蛛のように。そう。二人っきりの暗闇で───。
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