クリスマスの終わり
まったくけしからんいや、まったくもってけしからん僕は思う。なぜクリスマスに男女二人一組で集まって、いちゃいちゃしなきゃならないのか。なぜ男が女に、女が男にプレゼント交換しなきゃならないのか。まったくもってなっとくいかない。冬の最大のイベント「正月」を目の前に、多額の金を払って何の価値もない鉱物を買ったり、その日のために滅多に着ないのに高い服を買ったり、そんな行為ははっきり言って愚の骨頂だ。 金の無駄遣い。もっと言えば人生の浪費。そんなことする奴は中南米の貧しい子供たちのためにその金まるまる募金しろと右ストレートを繰り出しながら言ってやりたい。そもそもキリストの誕生日を仏教の国、日本が祝うことに根本的な疑問を感じざるおえない。そりゃあイエス様の誕生日はとても大事な日だ。宗教上はとても重みのある日で祝ったりいちゃいちゃしたりせずに神に感謝する国だってある。しかしここは日本、ジャパン、黄金の国だ。そこでイエス様の誕生日を祝うなんて「異教徒共乙」なんて神に裁かれても文句はいえない。ほらもうクリスマスは終わりだ。離れろくっつくな消え失せろ。時計の針は12を通過したんだよ。おまえらの時間はおわったんだよ。……まぁだからと言って――
「ジュン」不意に名前を呼ばれその声のほうを顧みた。うっすらと額に汗を掻いて、肩で息をしている様子からそうとう急いできたであろうその少女。大きな碧眼と広いおでこの女の子。時計を見ながら、「ちょっと遅れちゃったかしら?」なんて言ってきた。時間ぴったりなのに。そんな彼女に僕は、「いや、俺もさっき来たとこ」と嘘をついた。「ごめんなさい……本当はクリスマスに会いたかったのに」「いいんだよ。そんなイベントにわざわざのっからなくても」「う~……でもカナのせいでクリスマス会えなくなっちゃったのは……」相変わらず自分を責めるのが得意なようだ。悲しそうに嘆く彼女を見て微笑んでしまう。なんだかとても彼女らしい気がして。でもそんな彼女を救ってあげたい、守ってあげたい。そう思い僕は彼女は悪くないと、理解させるため口を開くことにした。大切な人のため。さて何を話そうか。やはり俺が遅れたときの話をするべきかな?さまざまな思考の外で、派手に着飾った町の光が消えていく。それは、はかなく美しく、まるで雪のようで。そんな深い感傷に浸ってしまう。さて、続きだが……まぁだからと言ってクリスマスなんてものは必要ないといってしまうのは極論だ。クリスマスも悪くない。だけど、クリスマスが終わっても僕達には関係ないんだよ。時間は限りなくある。クリスマスを越えても、それは変わらないのさ。END
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