第八十二話 JUMとお風呂
「一つ屋根の下 第八十二話 JUMとお風呂」
「うわっ、さっびぃ………」時間は夜の11時ごろ。特にやる事もなくお風呂にでも入ろうと廊下を歩いていたときだった。季節はすでに冬。リビングや、部屋ならともかく廊下は冬の風に晒されて寒い。僕は着替えを持って身を凍わせながらお風呂場へと向かっていた。姉妹の部屋がある2階から階段を下りて1階へ。1階には、みんなの使うスペースばかりだ。リビングや台所、トイレ……は2階にもあるか。僕がトントンと階段を下りていくと、体から湯気を上げて顔を赤らめた蒼姉ちゃんが丁度階段を上ってきた。「あれ、JUM君。お風呂かな?」「うん、蒼姉ちゃんはお風呂上りみたいだね。」「うん、いいお湯だったよ。翠星石と入ってきたんだ~♪」何だかご機嫌な蒼姉ちゃん。そうか、相変わらず蒼姉ちゃんと翠姉ちゃんは一緒にお風呂入ってるのか……いや、不埒な妄想はしてないよ?うん……そんな事思ってるとさらに翠姉ちゃんも上がってくる。「お、JUMじぇねぇですか。お風呂ですかぁ?翠星石達が入ったお湯飲んでハァハァするんじゃねぇですよ?」どんな変態ですか、それは。やるのはべジータくらいだ。そうだ、何なら蒼姉ちゃんの残り湯をべジータに売りつけてみるか?あいつならアホみたいな金額出しそうだし。まぁ、蒼姉ちゃんが泣きそうだからしないけどね。「んじゃあ、僕もお風呂行くから。廊下は寒いしね。姉ちゃん達も湯冷めしないようにね。」「それは問題ねぇですよ。だって、翠星石はこれから蒼星石と一緒に寝るですから。ね、蒼星石?」「あはは、うん。何ならJUM君も一緒に寝る?ちょっとベッドが狭いかもだけど。」想像する。翠姉ちゃんと蒼姉ちゃんに挟まれて一つのベッドで寝る……やばい、僕興奮してきたよ。「あー、遠慮する。寝れそうにないからね。じゃあ、お休み~。」僕は、プラプラと手を振りながらお風呂場に向かっていった。ちょっと惜しい事したかもな。
「あー、さむさむ。早くお風呂に浸かりたい…それが冬の幸せの一つだな。」僕はお風呂場でババッと服を脱ぐ。そして洗濯機へGO。洗濯機の中には僕や姉妹の家着や下着が山ほど入ってる。これを朝早くから干すのが蒼姉ちゃんだ。そう思うと、蒼姉ちゃんって働き者と言うか……今度僕も早起きしたら少しくらい手伝ってあげようかな。僕が小さなタオルを持ってお風呂のドアに手をかける。すると、中からシャワーの音が聞こえる。「?誰か入ってるのか?翠姉ちゃんが出しっぱなしとか……誰かはいってるの~!?」とりあえず声をかける。しかし、中から反応はない。シャワーの音も止まらない。やれやれ、仕方ないなぁ翠姉ちゃんは。ちなみに、何故翠姉ちゃんに決め付けるかと言えば、蒼姉ちゃんがそんなウッカリとシャワー出しっぱなしってのは想像できないからだったり。はい、偏見です。僕はガチャリとドアを開ける。そして、見た。少し紫がかった髪。ほっそりとした腰と綺麗な背中。そして、椅子に座ってても少し見える……お、お、おし……でん部。その人はシャワーを浴びて髪を流していた。迂闊だったかもしれない。髪を流していたシャワーの音で僕の声が聞こえなかったのか?「……JUM……?」振り返って金色の両目が僕を見る。僕は思わず目をそむける。いやさ、振り返ったら前が見えるわけじゃんね?うん……まぁ、その…胸と突起が……「え、ちょ、わ、ご、ごめん薔薇姉ちゃん!!その、声はかけたんだけどワザとじゃあ……」僕はとりあえずタオルで股間を隠してシドロモドロ弁解をする。僕は風呂場まで眼鏡をかけるタイプだ。んで、ついでにレンズを洗ってあげる。今回はそれが裏目だ。眼鏡外してれば見えなかったモノがはっきりと目に映り、脳を刺激する。刺激された脳は股間に血液をワザワザ集めてくれた。とりあえず前屈み。薔薇姉ちゃんは、シャワーを浴びたまま僕を見てる。「えーっと……と、とりあえず僕出るから!ごめんね、薔薇姉ちゃん!!」「待って……」僕がドアを開けてお風呂場から出ようとすると、後ろから声がかかった。そして、薔薇姉ちゃんは言う。「JUM……一緒にお風呂…入ろう……」
薔薇姉ちゃんは、比較的変な子です。変わってます。ええ、ご存知の通り。何か突拍子もない事言うのはザラです。が、今回は正直かなりキテいます。「な、ば、何馬鹿な事言ってるんだよ!そんなこと、で、できるわけないだろ!?」「……何で?小さいときは…よく一緒に入ってたよ…」「そ、それは小さい時だったからで…今は僕も薔薇姉ちゃんも大きくなって……とにかく、僕は出るから。」ドアノブを掴み、引こうとする。が、後ろからそれを抑止された。同時に背中に直接……胸の感触が伝わる。「どうして大きくなると色々気になっちゃうんだろうね……いくつになってもどう変わっても…私は私で……JUMはJUMなのにね……」どこかで聞いた事あるような台詞を吐く薔薇姉ちゃん。が、僕はそれどころじゃない。胸の感触はおろか、突起まで背中に感じる。全神経が背中に集中してる気がする。ええい、鎮まれ鎮まれ!!この陰茎…じゃない、印籠が目に入らぬか!!「ああ、もう!だから、僕は男で薔薇姉ちゃんは女でしょ?だから…その…色々見ると不味いの!」「……だったら…私も体にバスタオル巻くから……それでいいでしょ?」そういう問題でもない気がするけど。より一掃後ろからの力が強くなる。薔薇姉ちゃんなりの意思表示なんだろうか。ただ、力を入れれば入れるだけ背中に当たる胸の感触で僕はマウント富士になりそうだったり。「……はぁ、分かったよ……ただ絶対タオルは外したら駄目だからね?」結局僕が折れる。まぁ、拒否すれば薔薇姉ちゃんの事だ。僕がいきなり入ってきて襲われそうに…とか言いかねない。おしとやかに見えて、案外目的のために手段は選ばない御人だ。「えへ~、JUM大好き……じゃあ、バスタオル巻いてくるね……」薔薇姉ちゃんは嬉しそうに一度脱衣所に出て行く。とりあえず僕は寒いし、湯船の中に体を沈めた。体を沈めるついでに、股間も鎮めておこう。もう遅い気もするけどね……
「ねぇ…こっち向いてよぉ……」湯船には僕と薔薇姉ちゃんが体を沈めている。が、僕の顔はソッポを向いたままだ。直視できない理由。それは僕の計算外の他ならない。タオル巻いてれば安心と思ってた僕は相当に甘かった。白の生地の薄めのバスタオルを巻いてきた薔薇姉ちゃん。湯船に浸かると、あっと言う間に透けだして余計エロさを醸し出していた。今薔薇姉ちゃんを直視すれば、胸の形も突起の色も……何もかもが見えてしまう。髪を後ろでアップに纏めてある顔を見ようにも、どうしても少し視線を下げれば胸が見えるわけで……そんな訳で、僕はソッポを向くしかなかった。「む~……JUM、おっきしちゃってる?」「……しない訳ないだろ。」ええ、しない訳ありません。不能でもない限り、スケスケタオルに身を纏った美少女がいれば、誰だってマウント富士になります。ある意味、全裸よりエロい気がする。「そっか……でも、嬉しいな……」「はぁ?何で嬉しいんだよ。」相変わらず薔薇姉ちゃんの思考回路はさっぱり分からない。彼此10年一緒に住んでるけど、理解しようと思わない。一回脳味噌解剖すれば多少はつかめるかもしれないレベルだ。謎度ではキラ姉ちゃんの胃と同じくらいの謎レベルだ。「うん…だってさ…それはJUMが…私で感じてくれてる…興奮してくれてるって事でしょ?」「そうだけど…でも、僕くらいの年なら、それこそ無節操に誰だって…」「うん…でも…例えば『幕張』の鈴木千恵子とか…『ラッキーマン』の不細工です代とか…おっきする?」「それはしないだろうけど……大体薔薇姉ちゃんは普通に可愛いんだからさ…」「うん…だから、私は少しでもJUMのストライクゾーンに入ってるって思うと……嬉しい……」そう言って頬を緩ませる薔薇姉ちゃん。そういうものなのかなぁ?
「ね、前も洗ってあげようか?石鹸みたいに…溜まってるものを綺麗にしてあげるよ…?」「いや、全力で断るから。」さて、僕は薔薇姉ちゃんに背中を洗って貰ってた。もちろん、断りを入れたがどうしてもってせがむので仕方なく……そう、仕方なくだよ?薔薇姉ちゃんに背中洗って貰ってた。「んしょ…んしょ……へへ~……」ゴシゴシと僕の背中を洗いながら薔薇姉ちゃんは少しだけ笑った。「どうしたの?薔薇姉ちゃん。」「んーとね……JUM、やっぱり大きくなったなって……ちょっと前までは私と背丈変わらなかったのに……」そういえば、僕も中学三年くらいから高校にかけて急激に……て程でもないけど、背が伸びた。まぁ、ようやく銀姉ちゃんに追いついたくらいだけどね。「まぁ、僕も男だし。それに、それなりの年だしね。」「うん……やっぱり…背中の大きな男の人は…素敵だよ……」薔薇姉ちゃんはそう言って、後ろから僕を抱きしめる。やばいって。だからそれはやばいんだって。薄いタオルなんて、何の壁にもならない。今日は背中に神経を集中させっぱなしの気がする。「JUM……こっち向いて……」僕は言われるままに後ろを向く。と、その時ドアがガチャリと開かれた。「薔薇しーちゃん!一緒に入りませんか?あら?」現れたのはキラ姉ちゃん。全裸で。銀姉ちゃんのメロンまではいかないけど、梨か林檎みたいに高校一年にしては豊かに実った胸。あれだけ食べてクビレが存在するありえないウエスト。僕は、何もかもを見た。う…意識が…股間に血が集まりすぎて脳味噌に足りてないんじゃ……そういえば、普段はこんな長く風呂入らないから、のぼせたか……?ああ、意識が……「JUM……?JUM!?」薔薇姉ちゃんとキラ姉ちゃんの声を最後に、僕の意識はブラックアウトした。
顔に風が当たる。僕は意識を覚醒させると、記憶を辿った。確か、風呂入ろうとしたら薔薇姉ちゃんがすでに入ってて、そのまま一緒に入るようになって…背中洗ってもらって…そしたらキラ姉ちゃんが……僕の意識はそこで止まってた。「よかった……起きた……」声が聞こえる。見れば、薔薇姉ちゃんが髪をアップにして、団扇で僕を扇いでくれていた。「貧血……おっきしすぎて、血が足りなかったみたい……」やっぱりそうか……我ながら情けなさ過ぎる。「でも、安心して……姉妹には誤魔化しておいた…私が入ろうとしたらJUMが先に入ってたって……きらきーも『いいモノが見れたので、私も黙っておきますわ』だって……」モノの発音がおかしかった気がするけど…まぁ、気にするなJUM。気にしたら負けかなと思ってる。「そっか…迷惑かけちゃったね、薔薇姉ちゃん。」僕は体を起こそうとするが、力が入らない。意識はあるけど、まだ自由はきかないみたいだ。「ううん、私が無理言っちゃったから……でも、久しぶりにJUMとお風呂は入れて……嬉しかったよ……」パタパタ僕を扇ぎながら薔薇姉ちゃんは言った。そして、寝てる僕の目を見ると薔薇姉ちゃんは、そのまま僕にキスをする。触れるだけのキス。さっきまでお風呂だったせいか、やけに熱いキスだった。「へへ……JUM…また一緒にお風呂入ろうね……?」薔薇姉ちゃんが笑って言う。僕はそのまま意識が落ちそうになる。落ちていく意識の中で、僕は一つ疑問が浮かんだ。一体誰が、僕の服着せたんだろう……そして下もちゃんとパンツも穿いてるって事は……僕はこれ以上考えない方がいいと思い、その記憶を閉まって眠りについた。END
このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー と 利用規約 が適用されます。
1文字以上入力してください
本文は少なくとも1文字以上必要です。
1文字以上入力してください。