第二十五話 JUMと水着
「一つ屋根の下 第二十五話 JUMと水着」
「あっつ…なんじゃこりゃ…」僕は海パンに上にシャツを着、姉弟お揃いの麦藁帽子を被り、さらにはパラソルや荷物その他を持ってビーチに立っていた。現在、朝10時現在。気温は36度。日中はもっとあがるらしい。「全く、荷物くらい自分で持って来いよなみんな。」僕はぼやきながらとりあえずブスっとビーチにパラソルを差す。そして、シートを敷き荷物を置いて重石にする。「しっかし、子供って元気だよなぁ。すでに大ハシャギだもん。」僕はとりあえずパラソルの下で一息つく。すでに、海では見知らぬ子供たちが遊びまわっている。僕はそれをボケーッと見ている。すると、背後から僕を呼ぶ声がかかった。「お待たせ…JUM、待った…?」「お待たせしましたわ。あら?あっちに焼きソバと海の幸…JUM、私行って参りますわ。」まず、初めに来たのは薔薇姉ちゃんとキラ姉ちゃんだった。まぁ、もっともキラ姉ちゃんはすでにダッシュで海の店に財布片手に向かっていったが。薔薇姉ちゃんの水着は当然のように紫を基調とした水着で、ビキニで腰に短めのパレオを巻いていた。若干控えめなのが薔薇姉ちゃんらしい。キラ姉ちゃんも同じようにビキニだ。まぁ、あの人は何気に普段から露出が多いから全く気にも留めないんだろう。薔薇姉ちゃんがすっと僕の隣に座り、体を寄せてくる。「JUM…私の水着……似合うかな…?」「うん、似合うと思うよ。その、まぁ、可愛いと思う。」僕がそう言うと、少しだけ薔薇姉ちゃんは笑った。「へへ…やった…YATTA!YATTA!JUMに褒められるぅ~♪」これまた古い歌を歌いだす。まぁ、踊りはしなかったけどね。
「む、薔薇すぃ~、ちょっとJUMと引っ付きすぎですよ。」「ごめんね、JUM君。荷物押し付けちゃって。」次に現れたのは翠姉ちゃんと蒼姉ちゃんだった。二人は同じ水着かと思いきや若干違いがあった。まぁ、色は言うまでもないと思うけど違う部分は、二人の上に水着だった。二人ともビキニなんだけど翠姉ちゃんはまぁ、世間一般的に言うビキニで紐が肩にあるタイプ。蒼姉ちゃんは、肩じゃなく首に紐が回してあるタイプだった。まぁ、分かりにくかったらビキニで検索して適当に水着を見れば分かるはず…「ああ、うん別にいいよ。それより、他の姉ちゃんたちは?」僕の言葉に翠姉ちゃんは何故かムッとする。「JUM。翠星石と蒼星石を見て何かいう事はねぇですか?」蒼姉ちゃんは少し照れながらモジモジしている。ああ、そういう事か。「ん、翠姉ちゃんも蒼姉ちゃんも水着に合ってるよ。」多分、こういう事だろう。すると、ようやく翠姉ちゃんの眉間の皺が取れた。「よろしいですぅ。そんな事も気づかないようじゃ男としてダメダメですぅ。もてねーですよ?」「え?JUM君、女の子にもてないの?……ごにょごにょ僕はそれでもいいけど……」「余計なお世話だよ全く。ん?薔薇姉ちゃんどうしたの?」薔薇姉ちゃんは僕の隣でジッと双子を見つめていた。「どうしたですか、薔すぃ~?はっはーん、さては翠星石のスタイルの良さに見惚れてるですね?」どっからそんな自信がわいてくるのだろうか。これが、他人の前になると途端に人見知りになるからビックリだ。「うん…さっきの着替えでも思ったけど……水着だと蒼星石の方がスタイルいいのがハッキリと……もが!」「な、何言うデスか!!JUM!聞いてねえですよね!?」「ば、薔薇水晶。そういう恥ずかしい事言わないで…」ああ、何が言いたいか分かった。そして、僕は思わず翠姉ちゃんと蒼姉ちゃんを見比べる。確かに・・・蒼姉ちゃんの方が胸もあるし、腰も細いな。まぁ、微々たる物だろうけど。「聞いてるですかJUM!?薔薇すぃの言った事聞いてねぇですよね?」「JUM君、そんなジロジロ見られると僕少し恥ずかしいよ……でも、JUM君なら僕は…」「大丈夫だよ。確かに蒼姉ちゃんのがスタイルいいけど、そんな変わらないよ。」次の瞬間、僕の顔面に翠姉ちゃんの鉄拳が飛んできた。
「うよ?何でJUMネンネしてるのなの?」「ふぅ、暑いかしら・・・・」次にやってきたのはヒナ姉ちゃんとカナ姉ちゃんだった。僕が寝てるのは鉄拳で制裁されたからです。「デリカシーのねぇ野郎ですぅ!蒼星石、泳ぎに行くですよ!」「うん、今行くよ。ごめんね、JUM君。」翠姉ちゃんと蒼姉ちゃんが海に泳ぎに行き、僕は身を起こす。ヒナ姉ちゃんとカナ姉ちゃんは同じようにワンピースタイプだった。ヒナ姉ちゃんはオプションのフリルが可愛らしいし、カナ姉ちゃんは太陽対策なのか、日傘はともかくサングラスしてるのは明らかに怪しい人だ。或いは、間違いなくギャング映画とかの三下だ。「ん、二人の荷物ここだから。銀姉ちゃんと真紅姉ちゃんは?」「二人は更衣室で軽くケンカしてたかしら。まぁ、すぐ来ると思うけど。」どうせ銀姉ちゃんがチョッカイかけたんだろう「うい、JUM。浮き輪膨らませてなのー!」ヒナ姉ちゃんが荷物の中から浮き輪をだして、僕にせがんでくる。「それくらい自分でやりなよ。」「う…ヒナだと全然膨らまないの。ほらぁ……ぷーぷー」確かに全然膨らんでない。ヒナ姉ちゃんの肺活量は絶望的のようだった。「仕方ないな、もう。ぶーーーー!!!ぶーーーー!!」僕はお腹に息を溜め込んで浮き輪に空気を入れる。みるみる浮き輪はドーナツの形を形成した。「わーい、JUMありがとうなのー!じゃあ、遊んでくるの~!」ヒナ姉ちゃんが浮き輪をはめて、海に走っていく。カナ姉ちゃんは「楽してズルしてー」と言いながら足でプッシュプッシュと空気を入れていた。「ヒナ、JUMと間接キス……その手があったか……」薔薇姉ちゃんがボソリと何か言ったけど、どうせどうでもいい事だろう。
「薔薇姉ちゃんは海行かないの?」「うん、折角だから……JUMと一緒にいたい。」すでにカナ姉ちゃんも海で遊んでる。僕は薔薇姉ちゃんと二人で潮風に吹かれていた。「はぁい、JUM。お待たせぇ~♪」背中にムニュッと柔らかい感触が当たる。こんな事するのは一人しかいない。「ちょっと水銀燈!JUMにくっつきすぎよ!?」若干裏返った声で非難するのは真紅姉ちゃんだ。「あっら~?ごめんなさいねぇ。ふふっ、真紅じゃできないものねぇ?」「ど、どういう意味よ!?」「貴方のまな板じゃ出来ないって意味。」ようやくやって来た二人だが、すぐに何時ものケンカが始まる。もう慣れっこだ。銀姉ちゃんは当然のように黒のビキニだった。上の水着から胸が零れ落ちそうだ。その大きな胸と反比例してくびれた腰と切れ込みが激しい下の水着が実に悩ましい。真紅姉ちゃんは赤の水着。他の姉妹に対抗してビキニかと思ったが、意外な事にワンピースだった。ただ、胸は置いといて全体的にスラッとしている真紅姉ちゃんにワンピースは意外なほど似合っていた。「やれやれ…二人ともその辺にしてさ。そろそろみんなで泳ぎに行かない?荷物は連絡すればホテルの人が見ててくれるらしいし。」僕がケンカしてる二人に言い、立ち上がる。すると、二人は不毛な論戦を終えた。「そうねぇ。じゃあ、ホテルの人に電話しましょうかぁ。えっと、携帯携帯……」銀姉ちゃんが携帯でホテルの人を呼ぶ。僕らはその見張りの人が来てから四人で海に向かった。海に足を浸す。少しだけ冷たさで背中がゾクッとした。END
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