日曜の朝 第二。修羅場っ
薔「…ジュン…怒ってない…?」
申し訳なさそうな、俯き加減の薔薇水晶。
ジ「怒る理由───ある?」
更にギュッと抱きしめる。『何故か無性に愛おしくなった』それだけの理由で。
薔「…ありがとう」
薔薇水晶が潤んだ瞳で僕を見つめる。僕の唇と薔薇水晶の唇が徐々に近づいて───
ガツンッ
?「ひゃあっ」
違う。口づけの擬音じゃない。そして、後ろから聞こえた声は…
ジ「そっ 蒼星石…?」
蒼「邪魔してゴメンね!?忘れ物しただけ… なんだけど」
振り向いた先にいたのは、つまずいて倒れ込んでいる蒼星石。もじもじとした態度に、『僕達がさっきまでしていたことを見られていた』と悟った。
ジ「……あの、さ」
蒼「わかってるっ 真紅達には何も言わないよ」
薔「…蒼星石」
蒼「ひっ!?」
2秒前、何を言うのか と思った。1秒前、薔薇水晶が僕にキスをした。今、…呆然としている。
蒼星石もまた同じく。
ジ「薔薇水晶…? え?今僕…」
薔「…次は…押し倒す…」
薔薇水晶のした行為が、蒼星石に対する『威嚇』なのだと、8秒後の僕は、やっと理解した。
蒼「……やめてよ」
薔「嫌…」
蒼「僕は何も見なかった。それじゃダメ…? もう…僕に何も見せないでっ!」
いつのまにか蒼星石のオッドアイの両目に涙が溢れている。
薔「ジュン… しよ?」
なんというか、これ程に破壊力がこもった言葉を初めて聞いた。そして、僕は───
ジ「蒼星石、悪いけど…帰った方が良いと思う」
僕の放った一言にも破壊力があったらしい。蒼星石は無言のまま立ち上がり、玄関に歩いていった。その時、『ごめん』と聞こえた気がした。
バタンッ。
蒼星石が帰るや否や、僕は理不尽にも薔薇水晶に問い詰めた。
ジ「なんであんなことをしたんだよ…?」
薔「…ジュンが」
ジ「?」
薔「……ジュンが好きだから」
自分のしたことの愚かさに、心底腹が立った。
ジ「そう、か」
僕は薔薇水晶の頭を、出来る限り心をこめて撫でた。
薔「ジュン…」
ジ「しよ? …か?」
薔「…馬鹿ぁ」
日曜の朝、僕らは。
fin
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