S苺
登校は何ともかったるい。唯一の救いは、腕組をして一緒に登校できる事。腕組のお相手は今日に限っては雛苺である。まぁ雛苺も可愛いのでそれはそれでよしである。僕の視線に気が付いたのか雛苺は可愛く笑ってそれに答える。登校途中、真紅と出会う。腕組の相手が雛苺とわかって特に嫌みを言う事もなかった。水銀燈の場合だとそうはいかない。
教室に入る。時間ぎりぎりという事もありクラスメートはほとんど来ていた。翠「チビチビ苺!離れるです!何で腕組なんかしてるです!」翠星石はかなりのやきもち焼きである。僕が他の女性と話しているだけでも嫌なようだ。
お昼休みは屋上で皆で食事をする。べジータ達もいるのでかなりの人数だ。これはこれで楽しい。蒼「翠星石!そういえば今朝の手紙どうするの?」翠「様があるなら直接来るです 手紙で呼び出そうなっんて百年はええです!」翠星石、蒼星石は学園でも人気が高いからラブレターをもらう事も多いよな等と思いつつ真紅に紅茶を入れる。紅茶を入れている自分が悲しい。
水銀燈が薔薇水晶に何か見せている。僕が見ているのに気づき水「マリオネットよぉ!ほら!」雛苺と金糸雀は興味津々だ。水「こうやってこうするのよぉわかったぁ!はい!」と言って雛苺に渡す。水「私もこのマリオネットの様にあなたに操られたいわぁ♪」僕の腕にしがみつく。翠「ちょっと離れやがれです!」紅「どさくさに紛れて!不潔よ!離れるのだわ!」僕はこの時、二人より薔薇水晶の視線の方が怖いと感じていた。
お昼を食べ終わって教室に戻るとき、廊下で数名の男子が「お前、手紙出したのかよ」「あぁ断られても無理やりなぁ」「おいおい、まじかよ」そんな会話をしている。まったく何を考えているのか。
夕日が辺りを紅く染めるころ雛「あれ、翠星石なの!どこに行くんだろう?」翠星石はいそいそと体育館の方へ向かっている様である。きっとラブレターの返答であろう。
男子1「来てくれたんだ!」翠「一応、手紙を貰ったんだから来るのは当然です!さっさと用件を言うです!」男子1「俺、君の事が好きで、その俺と・・・」翠「あーー、待つです!告白だったらお断りです!付き合う気は無いです!そういうわけで翠星石は帰るで す」言い終わらずに中断された男子1、ややポカーンとしていたが急に態度が変わる。男子1「ちょっと待てよ!」翠「痛い!何するです!離すですー!」男子1「おとなしくしてれば図に乗りやがってー!おいっ!」その掛け声と共に影から数人の男子が出てくる。ニヤニヤと笑っている。この男子達の目的は最初から決まっていたのだろう。男子1「なーに、たっぷり可愛がってやるからよ!安心しろよ!」そう言って男子達の真ん中に投げ出される翠星石。男子達を見て翠星石は青ざめる。男子達はいやらしく笑っている。
?「翠星石?」急な訪問者に男子達が一瞬驚く、だが本当に一瞬だけだった。入り口に立っていたのは華奢な女の子であった。その女の子は状況がいまいち分かっていないのであろうかそのまま中に入ってくる。翠「チビチビ苺!逃げるです!早く逃げるですー!」叫んでいる翠星石にも関わらず雛苺は無邪気な顔でいる。男子の一人が入り口を塞ぐように移動する。翠「チビチビ苺に!妹に何かしやがったらただじゃおかねぇです!」雛苺の前で守るように腕を広げる。男1「おやおや、今の状況見てまだ分からないの!俺たち楽しい事しようって 言ってるじゃん!」翠「全然、楽しくねぇです!」男1「うるさい子は少しお仕置きかな!」そういうと翠星石を殴った。その場に倒れる翠星石。どうやら気を失ってしまったようだ。雛「翠星石ー!」雛苺は倒れた翠星石に駆け寄り翠星石を揺するが一向に気づかない。男2「おい、気を失ったぞ!」男1「別にいいだろ楽しめれば」雛「先輩たち・・・楽しい事したいの?」
雛苺は倒れた翠星石の方を向いたまま話しかける。雛「ねぇ・・・楽しい事したいの?」男1「おっ、雛苺ちゃんは話が分かるなー!そうだよ俺たち皆で楽しい事して遊 びたいんだよ!ごめんよお姉さん殴ったりして!」雛「そうなの!遊びたいんだ!そうなのね、そうなんだ!」
夕日が完全に沈んだのであろうか、辺りの空気が急に冷たくなる。隙間風であろうか急に体育館内に風が。蛍光灯が点滅する。
雛「じゃあ!ヒナが遊んであげるね!ううんヒナだけと遊ぼう!」その言葉に不気味差を感じたのか男の一人がゴクリと喉を鳴らす。ゆっくりと静かに立ち上がり男子達の方へ振り向く雛苺。雛「ねぇー何して遊ぼうか?」その顔には満面の笑みが溢れていた
男子達はその雛苺を見てぞっとするが、満面の笑みを見てしまうと・・・だが次に彼らは恐怖した。雛「ヒナね!お人形さんで遊びたいのね!」雛苺がそういうと何処からともなく棘のつるが彼らの手足を縛り上げ、そのまま上から吊るされるような形となる。あたかもマリオネットの様に。男達は「何だこれ」とか「はずれねぇ」とか叫んでいるが、そんな事お構い無しに上機嫌の雛苺。いや上気しているといった方が正しい雛「楽しいでしょ?ヒナね マリオネット動かすのうまいんだよ!クスクスッ!」雛苺はまるで子供のように自慢気たがどこか物足りないのであろうか悩んだ表情をする。だが直ぐに答えが出たようで恍惚の表情で軽く手を上げる。それと同時に棘のつるは男子の制服の裾に引き込まれていく。雛苺の合図と共にそのつるは左右前後へと一気に弾ける。それを見てまた上気する雛苺。男子の一人が雛苺に野次を飛ばす。雛苺はその彼に近づき彼の顎に軽く触れる。その細い指先は気持ち良いまでに冷たく感じる。雛「激しい言葉は好きなの!でもね、うるさい人はお仕置きなの!」棘が彼の体を締め付けるこれ以上になく。棘が刺さり血がにじむ。彼の胸板を指先で『の』の字を書くように撫でまわしその指先を舐める。気絶している彼を見て可愛く笑う雛苺。その唇は紅いルージュを塗ったように綺麗に染まっている。残りの男子二人は恐怖よりも その可愛らしさと美しさに見とれていた。
雛「楽しいぃ?ねぇ楽しいぃ?うふっ♪」雛苺の目が何かを求めてやまない二人の体を撫でまわす。もう二人の男子は雛苺の人形(玩具)でしかない。雛「どうして欲しいのぉ?」小さな子供に対しての母親のような優しい言葉を投げかける。だが二人は答えられない。雛苺がむっとする。二人は冷たい床に大の字に寝かされる。無論身動きは出来ない。そんな二人に近くにしゃがみ込み顔を覗く。今の二人には床の冷たさも嬉しく感じ、近くで覗き込む雛苺がいる事を喜んだ。雛苺はそんな二人に笑顔で雛「ご褒美が欲しいの?ねぇ♪欲しいぃの?」二人はめいいっぱい首を縦に振った。雛「どうしようかなぁ~!うゆ~?・・・・・お預けなのよぉ!」その言葉を聴き二人は愕然とする。雛「だって、翠星石をいじめたから!ダ・カ・ラ!壊れて頂戴なのー!あはっ!」凄く嬉しそうな表情を二人に見せた後、二人の悲鳴が・・・・・・
「・・・すい・・・翠星・・・翠星石」ペシッペシッ!翠「痛いです。何するです。はっ 逃げるですよ チビチビ苺?」雛「うゆっ?何、寝ぼけてるの?」翠星石は辺りを見まわしたそこは屋上だった。翠(あれ、体育館だった? あれ? 夢ですか?)雛「もう、遅いの帰るの!今度からお昼寝は駄目なの!」翠「ごめんです?(あれ?)」雛「教室に鞄とって来るの!待っててなのー」そう言うと雛苺は鞄を取りに教室に向かう。
廊下にアーカード先生が立っていた。雛「ごきげんようなの!」お辞儀した。すれ違う時ア「少し、遊びが過ぎるんじゃないか?」雛「・・・・・ヒナは楽しんだだけなのよ!それに姉妹を虐めるは駄目なのよ!」ア「ふんっ!まぁ良い、あまり度を過ぎるなよでないと・・・」
アーカード先生の方へ向き満面の笑みで雛「わかってますよ!せんせぃ!」
~fin
雛「あなたも、遊びたいの?」
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