第四話 JUMと翠星石
「一つ屋根の下 第四話 JUMと翠星石」
ん、久しぶり。どこ行ってたかって?ん~、まぁ戦ってた・・・ってトコかな。まぁ、どうでもいいよ、そんなのは。で、今日は何?ああ、うちの姉ちゃん達の話の続きだっけ。この前誰だった?カナ姉ちゃんか。確か、銀姉ちゃんがカナ姉ちゃんの媚薬入りヤクルトを誤ってのんで大変な事になってたんだったね。じゃあ、今日は翠姉ちゃんの話かぁ~。
「JUM!さっさと起きるですよ!朝ですぅ!!」僕の部屋のドアがガンガン叩かれる。うるさい・・・今日は休みの日だって言うのに・・・まだ寝とこう。「JUM!聞こえねーですか!!」まだまだ音が鳴り響く。聞こえない。僕には何も聞こえない。「・・・・さっさとおきやがれですぅ!!!!!」「ぐぶふぁ!!」仰向けに寝ていた僕の鳩尾に何かがめり込む。遠のきそうな意識の中で、目を開けると僕の鳩尾を思い切り踏んでいる翠姉ちゃんがいた。「げふっ・・・翠姉ちゃん・・・痛い・・・そして重ー」「JUM!それ以上いったら殴るですよ?ほら、さっさと起きやがれですぅ。」すでに殴っている。いや、翠姉ちゃんにすれば踏むと殴るじゃベクトルが違うのかもしれない。僕ははぁとため息をつくと、少しだけ仕返ししてやろうと思って言った。「どうでもいいけどさ。姉ちゃんパンツ見えてる。白と緑の縞々の。」不可抗力です。間違いなく。スカートで踏みつける翠姉ちゃんが悪い・・・よね?「んな・・・な・・・な・・・馬鹿ーーーーーーー!!!!!JUMの変態!鬼畜!さくらんぼ!!!」今度は顔面に拳をめり込まされ翠姉ちゃんは部屋を出てく。ああ、こりゃ違う意味で寝れそうだ・・・ところでさ・・・さくらんぼって何さ・・・
「・・・おはようJUM君・・・どうしたの?その顔。」食卓に向かうと蒼姉ちゃんが御飯に納豆をかけていた。基本的に朝食はパンが多い我が家では唯一必ず和食を食べてる蒼姉ちゃん。「何も・・・それより、僕の朝ご飯は・・・?」「フン!いくら休みの日だからってだらしねぇJUMには飯なんざ100光年はええですぅ!」台所から明らかに起怒った声を上げる翠姉ちゃん。まるで僕が悪いみたいだ。「うゆ・・・どうしたの?」雛姉ちゃんがパンをかじりながら心配そうに聞いてくる。「さぁ?」まさかパンツ見えてると言った何て口が裂けても言えないので黙秘権。「あら、JUM。ならば私の御飯分けてあげますわ。」キラ姉ちゃんがパンを一切れくれる。ところでさ、何で姉ちゃんは一斤も持ってるのさ?「私も・・・シュウマイ・・・あげる・・・」薔薇姉ちゃんもさ、パンにシュウマイ挟むのやめなよ・・・「ダメです!雪華綺晶も薔薇水晶も!JUMを甘やかすなですぅ!そんなだからJUMはチビチビなんですぅ!このままじゃJUMは社会不適合者になるですぅ!心を鬼にしやがれですぅ!」もう言ってる事が無茶苦茶だよ翠姉ちゃん・・・「あらぁ、いいじゃなぁい。じゃJUM。お姉ちゃんが食べさせて、あ・げ・る~。」銀姉ちゃんがヤクルトを片手に擦り寄ってくる。しかし、翠姉ちゃんの目が光る。「水銀燈!もし、JUMに勝手に御飯あげたら今日は飯抜きにするですよ!」その言葉に銀姉ちゃんはおろか、キラ姉ちゃんと薔薇姉ちゃんの動きがとまる。
台所事情を握っている翠姉ちゃんにはさすがに、このことに関しては誰も勝てないようである。「JUM!食べるなら自分で用意しやがれです!いつまでもピヨピヨ甘えてたらダメですぅ!」「全く・・・貴方は変にJUMに厳しくするように姉妹に言うのね。」真紅姉ちゃんが実に優雅に紅茶を飲む。「でも・・・カナ思うんだけど。JUMを一番甘やかしてるのは翠星石本人かしら。」あ・・・カナ姉ちゃん・・・それ禁句。むしろ、死亡フラグになりかねないよ・・・?「う・・・うる・・・・」翠姉ちゃんがピクピク震えてる。あー・・・こりゃダメだ。爆発するな。「うるせーーーーーですぅううう!!!いつ翠星石がJUM何かに甘くしたですかぁ!翠星石はいつもJUMに厳しいです!勘違いしやがるなですぅ!!」僕は席を立って部屋に戻る。翠姉ちゃんがこうなると、僕は完全に無力だ。他の姉ちゃんが止めるのを祈ろう。
「にしても・・・腹へったなぁ・・・」結局、用意すらできずに僕は空腹のまま部屋でパソコンをいじっていた。あの場面で自分のパンを焼く度胸は少なくとも、僕にはない。そんな時、ノックが聞こえてくる。「JUM・・・入るですよ・・・?」静かに翠姉ちゃんが入ってくる。手には御飯と味噌汁。そして、納豆と玉子焼きがあった。「・・・翠姉ちゃん・・・これは・・・?」「か、勘違いするんじゃねーですよ?雪華綺晶の御飯作ってたら作りすぎて余っただけですぅ。べ、別にJUMの為に作ったわけじゃねぇですよ。捨てるのも勿体無いからやるだけですぅ。分かったらさっさと味わって食いやがれですコンチクショー。」なんとも言い訳がましく僕の机の上に御飯一式を置いて、部屋を出ようとする翠姉ちゃん。去り際、振り返る。「その・・・朝はちょこっとくらいは翠星石が悪かったかもです・・・だから・・今日は一緒にお買い物いくです。しゃーねーから翠星石がJUMの食べたいもの作ってやるですよ。いいですね?」「ん・・・ありがとう、翠姉ちゃん。」翠姉ちゃんはそれだけ言うと、少し笑って部屋から出て行った。僕は翠姉ちゃんの持ってきた御飯を食べる。「やれやれ・・相変わらず嘘が下手なんだから・・・これじゃあ翠姉ちゃんが僕に一番甘いって言われてもおかしくないって・・・でもまぁ・・・いっか。美味しいから・・・」味噌汁をすする。何だか、いつも以上に美味しい気がした。END
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