第十五話 ここからが本当の地獄だ
「超機動戦記ローゼンガンダム 第十五話 ここからが本当の地獄だ」
「槐。準備が終わったのかい?」スペリオルや他の機体をディアーズに積み込む槐を見て白崎が言う。「ああ、全て調整が終わった。テストがてら私が行こうと思ってな。白崎、お前はどうする?」「僕はやめとくよ。まだラプラスが調整不足だからね。」白崎は積まれていく機体を眺める。バーズが10機ほど。槐のスペリオルガンダム。そして・・・「梅岡にはドイツの守備をさせておく。ふふ、私が帰っていたらお前の出番はもうないやもしれないな。」「それはそれでいいけどね。しかし君はつくづく恐ろしい男だよ・・・」「ふん、おだてても何も出ぬぞ。では、行ってくる・・・」積荷を終えた槐はディアーズに乗り込みディアーズは発進する。白崎はそれ見送ると工場に戻り破損したラプラスの調整に戻った。「さて・・・果たしてどんな結果になるかな・・・はははははは・・・・」
一方、こちらは中国のメイデンとSAIYA。「それじゃあJUM。俺達は先にロシア戦線へ向かってくる。お前達もなるべく早く来てくれよ。」「ああ、この積み込みが終わり次第急ぐよ。それじゃあ、またロシアで・・・」カカロットがロシアの戦線に向かって発進する。そして、くしくもそのロシアの地で槐の部隊とSAIYA、メイデンが激突することになる。
「ラディッツ。戦線はどうなっている?」ベジータは通信で先に偵察として出したラディッツと会話をしていた。「酷い有様だ。レジスタンスは壊滅に近い・・・一体なにが・・・・敵部隊発見!!数は戦艦1、MS18か?」「了解だ、すぐに向かう。ナッパ、出撃の準備をしろ。敵は恐らく手ごわいぞ。」カカロットが偵察隊の元に急ぐ。一応後続のメイデンにもベジータは情報を流しておく。そのときだった。「な・・・何だこいつらは・・・!べジータ!こいつらは・・・うわあああああああ!!!!!!」「!?ラディッツ!?おい、どうした!応答しろ!ラディッツ!?」急遽、通信がラディッツの断末魔とともに途切れる。それは彼の死を意味していた。「ラディッツがこんな簡単にやられるだと・・・副官、指揮を任せる!この俺が出る!!行くぞ、ナッパ!」べジータがMSデッキに向かう。ベジータの機体。金色に塗られたサイヤジンのカスタム機。「スーパーサイヤジン」「べジータだ。スーパーサイヤジン、出るぞ!!」偵察隊からの信号が途切れた辺りでべジータが出撃する。他の機体も続々と出てくる。「べジータ、三時の方向だ。ラディッツの報告と同じ規模の機影がある。」べジータがナッパの言葉どおりに向かう。しかし・・・それを阻むようにビームの雨が降り注いだ。「なにぃ!?なめるなぁあああああ!!!」スーパーサイヤジンが両腕をビームに向ける。スーパーサイヤジンには両手にビームを無効化するIフィールドバリアが搭載されている。降り注ぐ雨をバリアが防ぐ。しかし、数機はかわしきれずに撃墜する。ベジータは砲撃方向を目視し・・・そして唖然とした。いや、するしかなかったのである。「何だと・・・・アリスとはこれほどなのか・・・・はははっ・・・ここからが本当の地獄だ。」
「総員、第一戦闘配備!ロシア戦線でSAIYAがアリスと交戦。苦戦中の模様!ただちに援護に入る。」サクラダに警報が鳴り響く。パイロット達はそれぞれデッキに向かう。薔薇水晶と雪華綺晶も走っていた。「あっ・・・・・」薔薇水晶が歩みを止める。「どうした?薔薇水晶・・・おや。」雪華綺晶の目の先にはいつもしている眼帯が外れ、金色の左目が露出した薔薇水晶だった。「眼帯・・・とれっちゃった・・・んー・・・スペアは部屋にしかないのに・・・」「仕方ないだろう。今日はそのまま出るんだ。すぐに戦闘が始まる。」「うん・・・しょうがないよね。」薔薇水晶は渋々デッキに向かい、機体にのり機体を起動させる。「あら、薔薇水晶。眼帯はしていないのね?」出撃準備を終えて待機している真紅が言う。「うん・・・さっき取れちゃったの・・・」「そう・・でも、貴方そっちの方が素敵よ?とても可愛らしいわ。」そう言って真紅は紅茶を飲む。「あ、ありがとう・・・真紅。」薔薇水晶は少しだけ頬を染めると気持ちを切り替えて出撃する。「薔薇水晶・・・・行きます・・・」紫の機体が空中を待って出撃した。
「べジータ!状況はどうなっているんだ!?」「JUMか!すまない、こいつら・・・やばい・・・・くそぉ!」再び降り注ぐビームの雨を両手のバリアで防ぐ。両手のバリアもすでにオーバーヒート気味だ。「な・・・ちょっと待つですぅ・・・今のビームは・・・」翠星石の目が開かれる。そして、見た。目の前の灰色に塗られた・・・いや、これは敢えて塗装されてないのだろう。その中の唯一トリコロールカラーに塗られた気体が前に出る。「やぁ、メイデンの諸君・・・・どうだい?この催し物は。」スペリオルを駆る槐だ。各部に詰まれた銃器がスペリオルの火力を物語っている。「そ、そんな・・・・何故これが・・・」あの水銀燈すら動揺を見せる。その中の一機は黒い羽を持っていた。「信じられないかしら・・・」金糸雀は見た。巨大な鋏のような対艦刀と巨大な砲身をもつ機体、そして・・・音を奏でる機体を。「ローゼンガンダムシリーズの・・・贋作だと・・・?」冷静な雪華綺晶すらも驚愕している。槐の秘密兵器。それは七機のローゼンガンダムだったのだ。「贋作?その言い方は相応しくないな。私の手によって改良されたのだから・・・リファインと言うといい。」色こそ灰色だが、それは見間違うはずもない。スイギントウ、カナリア、スイセイセキ、ソウセイセキ、シンク、ヒナイチゴ、キラキショウだった。「データは充分。人工知能も君らの戦い方を分析させて作った特別品だ。しかし、私はコレが最強と信じているが・・・如何せん同じ機体。君らが存在する・・・故にリファイン(Re)ローゼンガンダムシリーズは灰色なのだよ・・・そして・・・君らを倒せばこの子達は色を得られるのだよ!!さぁ、行け!!」槐が命令を出す。するとReローゼンガンダムシリーズは一斉に動き出した。
「成る程・・・確かに私だな・・・」キラキショウがReキラキショウとサーベルで打ち合う。自分の太刀筋が分かっているのだろう。「くっ・・・私を狙うところは水銀燈らしいのだわ。」シンクはReスイギントウと戦闘を始める。逆も叱り、Reシンクはスイギントウへ。「槐・・・貴方は・・・!!」薔薇水晶が槐と対峙する。SAIYAはバーズとの戦闘で手一杯のようだ。「薔薇水晶・・・最後だ。私の元へ戻って来い・・・」「嫌。私は、貴方の人形じゃない・・・私が貴方を・・・討つ!!」バラスイショウがサーベルを向ける。槐はニヤリと笑った。「そうか・・・残念だ。ALICE。出番だぞ・・・お前は私を守ってくれるな?」スペリオルの目が青く光、青いビームサーベルを手に取る。「はははははははっ!!さぁ、はじめようか!カナリア。お前の真の力を見せよ!」カナリアと対峙していたReカナリア。カナリアが攻撃のワルツを奏でているのにReは今まで動きはなかった。しかし・・・Reカナリアが発した音波兵器は恐ろしい音だった。「う、うなだれ兵士のマーチ・・・?これを使うなんて・・・・いけないかしら・・・!!」カナリアが自ら信条に合わないため封印した兵器の一つ。うなだれ兵士のマーチ。人間の恐怖心を煽り、精神に以上をきたさせる兵器だ。
「うっ・・・くっ・・・何なのだわ、この音は・・・うっぐう・・・・」真紅の頭に不快極まりない音が響く。あついあついあついあついあつい いたいいたいいたいいたいいたいいたいたすけてたすけてたすけてたすけて しにたくないしにたくないしにたくない「ぐぅううう!!っあああ・・・・っく・・・はっ!?」真紅が苦痛に顔を歪める。その音は・・・真紅のトラウマは刺激する。そして、完全に意識を乱した真紅にReスイギントウが襲い掛かる。背部からミサイルを放つ。人工知能のせいか、フェザーファンネルではないが、似せたホーミングミサイル。そして、それは・・・「しまっ・・・・った・・・うああああ!!」シンクの右腕に直撃する。数発のミサイルを受けたシンクの右腕は粉々に砕け散った。「やめて・・・思い出させないで・・・怖い・・・助けて・・・JUM・・・JUM!!」真紅の精神が限界に達する。真紅はコクピットで体を震わせていた。もう、敵も見えていない。Reスイギントウがダインスレイブを掲げる。そして、それをコクピットに向かって振り下ろそうとした時だった。「いけない!!真紅!!!」槐の攻撃を掻い潜ったバラスイショウが割ってはいる。ダインスレイブはバラスイショウの右腕を切り落とした。
次回予告 槐の秘密兵器はローゼンガンダムシリーズの贋作だった。襲い掛かるリファイン機に苦戦を強いられる面々。そんな中、Reカナリアの音波兵器で真紅が絶体絶命の危機に陥る。しかし、それを救ったのはバラスイショウだった。次回、超機動戦記ローゼンガンダム 薔薇水晶 その想いは、受け継がれていく・・・
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