第十二話 静かな戦い
「超機動戦記ローゼンガンダム 第十二話 静かな戦い」
サクラダとSAIYAの旗艦カカロットが並んで進んでいる。次なる目標はアリスの軍事工場地帯中国。しかし、中国へ攻め込むには現在ミサイル基地と化している朝鮮半島を進まなくてはならなかった。「さて、べジータ。そろそろ朝鮮だな。準備はいいのか?」「ああ、問題ない。突破は十分可能と見ている。」JUMとべジータが通信で会話をかわす。「よし・・・柏葉。キラキショウとカナリアを除いて出撃させてくれ。」巴が了解と短く答えて二機以外を出撃させる。SAIYAもモビールスーツサイヤジンを出させる。「そろそろか・・・各機に告ぐ!これよりメイデンとSAIYAは中国進入のためにミサイルの雨を交わしながら一気に中国へ突入する!突入後は作戦通りキラキショウとカナリアに委ねる。いいか、みんなはミサイルの迎撃に全力を注ぐんだ・・・・行くぞ!!」ミサイル基地の射程に入る。敵を感知した基地のシステムは速攻で無数のミサイルを放った。「ピチカート起動!ベリーベル掃射!!着弾させるなよ!!」唸りをあげて飛来する多数のミサイル。これに反応した迎撃システムピチカートはミサイルにレーザーを放ち迎撃する。さらに対空機銃ベリーベルがピチカートをかいくぐったミサイルを打ち抜く。朝鮮の空にいくつもの花火があがる。「ちっ、汚ねぇ花火だ・・・ミサイル基地を攻撃する!気功砲!うてっ!!」「第二陣が来る前に数を減らすぞ!スィドリーム、レンピカ目標下方修正!てえええええ!!!」サクラダとカカロットの副砲が基地めがけて放たれる。しかし、その程度では止まるはずがない。
「ここは翠星石の独壇場ですぅ!いっけーーーーー!!」スイセイセキがフルパワーのGSを発射する。ビームの雨はいくつものミサイルをおとなしくさせる。「こういうのは僕は苦手だけど・・・少しでもやるしかないよね。」頭部バルカン以外は砲撃武器のないソウセイセキはミサイルを切った瞬間バーニア全開で離脱し爆発をかわしている。「あっちと、こっちと、そっちもなのー!え~~い!」ヒナイチゴを拠点に4つの有線ビーム砲が踊る。一つ落とせば次へ、もう一つ落とせば次へ・・・「くっ、左舷弾幕薄いぞ!何をやっている!!柏葉!残り距離は?」「ミサイル射程外まで残り1000・・・あと少しです。」「分かった!みんな、あと少しだ!頑張ってしのでいくれ!雪華綺晶、金糸雀!準備はいいか?」JUMが艦内に待機している二人に声をかける。「ああ、問題ない。」「だ、大丈夫かしら!カナにお任せかしらー!」雪華綺晶は相変わらずだが金糸雀は少し緊張気味のようだ。何故かと言えば、それは作戦内容にあったのだ。
「でぇ?今回も基地を主砲でぼっか~んてわけぇ?」今より少し前の時間、作戦会議中水銀燈がヤクルトを飲みながら言う。「いや、今回はソレをやると基地と物資ごと爆発しそうでマズイ。物資はレジスタンスが使いたい。」JUMが言う。そしてそれを可能にする機体がメイデンにはあった。「今回はキラキショウのローズウイルスを使っていく。いいか。まず、朝鮮のミサイル地帯は戦艦と他の機体で突破する。その後、北京基地の範囲外で俺達は待機。キラキショウとカナリアで襲撃をしてもらう。カナリアの音波兵器でレーダーを無効化して接近し、キラキショウが基地中枢にウイルスを巻く。基地のシステムを破壊すれば占領は容易だろう。内容は簡単だが、二人には結構な負担をかける。」JUMが雪華綺晶と金糸雀を見る。雪華綺晶は余裕って感じで腕を組んでいる。しかし、対照的なのは金糸雀だった。確かに、今までも似たような任務もあったが2人と少数で挑むのは初めてなのだ。「心配なのは金糸雀なのだわ。人工知能機なら金糸雀は無力化できるでしょうけど・・・有人機は。」真紅が心配そうに金糸雀を見る。カナリアには武装は最低限しか搭載していない。「だ、大丈夫かしら~。カナだって有人機の一機や二機くらい。ローゼンガンダムは伊達じゃないかしら~。」ムンと胸を張ってみせる金糸雀。しかし、やはりクルーには不安が残る。「・・・僕も行こうか?金糸雀の護衛くらいなら大丈夫だろうし。」「いや、ダメだ蒼星石。出来る限り最小限の数で攻めないと目立ってしまう。」蒼星石がうーんと顔をしかめる。確かに目立っては敵からの発見が早まってしまう。どうしても必要な機体のみで攻めるしかないのだ。
「よし、ミサイル射程外に出た。僕達はここで待機して後続がくれば迎撃だ。雪華綺晶、金糸雀。頼む。」「大丈夫だ、任せてくれJUM。成功後はすぐに連絡を入れる。」「か、か、カナにお任せかしらー!雪華綺晶、足を引っ張らないようにね!」白と黄色の機体が出撃し、北京基地へ向かう。「じゃあいくかしら!不協和音(ディスコード)!!」カナリアが音波兵器を展開させる。不協和音。特殊な電磁波を発生させてレーダー機能を無効にさせる。これにより、目視でしか機体を確認する事ができなくなる。偵察などに向いた音波兵器だ。「よし・・・一気に北京基地を急襲するぞ。」キラキショウがスピードを上げる。基地はもう遠くない。しかし、そう簡単には行かせてくれなかった。「!?金糸雀!敵機だ。ディスコードも目視されれば効果はない。どうする?」「ここはカナに任せるかしら!雪華綺晶は早く行って基地のシステムを破壊するかしら!」「・・・分かった!すぐに助けに来る・・・・気をつけて・・・」カナリアはスピードを落とし、恐らく一小隊であろう6機のバーズに向かう。キラキショウは尚もスピードをあげて、基地へ向かっていく。バーズではキラキショウには追いつけそうにない。となると、目標はカナリアだ。「そう・・・一機くらいならカナだってやれるかしら・・・・行くわよ!不協和音解除、迎撃のパルティータ!」音波兵器は同時に使えるのは一つのみ。金糸雀は不協和音を解除すると、新たに音波を展開する。迎撃のパルティータ。真紅が人工知能なら無力化できると言った音波兵器。対人工知能用で完全に回路をショートさせる事ができる。その中で一機のバーズにカナリアにライフルを撃つ。「あなたが隊長機かしら?カナだってやれること見せてあげるかしら。」カナリアはサーベルを抜いて隊長機と対峙した。
「カナリアのレーダー反応が出た。迎撃のパルティータに切り替えたか。私も急がないと・・・」道中、人工知能機のバーズがライフルを撃ってくるが、難なくかわしそのまま基地へ向かう。相手にしてる暇はないとういう事だ。「見えた・・・勝負は一度きり・・・・ローズウイルス起動・・・」中枢基地が目前に迫る。キラキショウは右目にある薔薇の毒を展開させる。「行くぞ・・・インビシブル起動!!」そしてその姿を完全に消し去る。雪華綺晶の計算で5秒後には基地のまん前。そこで毒をまく。(4・・・・3・・・・2・・・・1・・・・0!!)キラキショウの姿が現れ、瞬時に薔薇の棘がまかれる。棘は基地の所々に刺さる。さて、雪華綺晶にとって真に厳しいのはここからだ。急に現れた機体に防衛システムが作動する。「9・・・8・・・・7・・・・」キラキショウが急速で離脱するが、システムの反応も早い。追尾ミサイルが襲う。キラキショウは襲い掛かるミサイルをレイフルとバルカンで打ち落としつつインビシブルの使用不能時間を稼ぐ。「6・・ッ・・・5・・・4・・・3・・・」まだまだ膨大な数のミサイルが迫り来る。少しでもスピードを緩めれば追いつかれて花火と化すだろう。「2・・・・1・・・・インビシブル起動!」再びキラキショウの姿が完全に消える。目標を失ったミサイルは同士討ちをし、全て爆発した。「よし・・・これでいいはずだ。早く金糸雀の元へ急ごう。」
「くっ・・・このー!」カナリアがサーベルを振りかぶり隊長機に切りかかる。しかし、不慣れなのが丸分かりな攻撃だ。相手の力量を読んだ隊長機は急速にカナリアは接近、サーベルを突き立てようとする。「あっ・・・しまったかしら・・・」眼前に迫る光の剣。しかし、それはカナリアを貫く事はなく、逆に隊長機は胸部から剣を生やしていた。「無事だったな、金糸雀。」その声の主はサーベルを振り払いバーズを振り払うと姿を見せる。当然キラキショウだった。「雪華綺晶!ま、まぁ貴方がこなくてもカナはあれをかわして倒したかしら。」「ふふっ、そうだな。それより、サクラダに連絡を入れよう。システムが復旧されたら厄介だ。」「わ、分かったかしら・・・・JUM?こちら金糸雀と雪華綺晶かしら。作戦は成功かしらー!」カナリアは他の機体に比べると通信機能が格段に優れている。とことん支援機なのだ。数分後、サクラダとカカロットが到着しシステムの破壊された基地を占領した。意外なことに、工場や基地の人間はアリスに物資などを作らされてただけで、降伏を促したメイデン達に感謝を示していた。こうして、レジスタンス達は大量の物資を確保したのであった。
「金糸雀、雪華綺晶。お疲れ様。今回の手柄は二人のものだな。」JUMが二人を労う。金糸雀はエヘンと胸を張って言う。「楽勝だったかしら!最後も雪華綺晶が来なかったらカナが倒してたかしら。」雪華綺晶はふふっと笑う。そして金糸雀の頭を撫でるといった。「金糸雀。あなたは無理に敵を倒さないでいいんだよ。あなたの音は私達を幸せにしてくれる。」「雪華綺晶・・・も、もちろんかしら!カナの音はとっても綺麗だってみっちゃんも褒めてくれたかしら。」金糸雀がはしゃぐ。それを見て雪華綺晶も微笑む。「お姉ちゃん、カナ。みんなで武器とか見よう?色々あるよ。」そんな二人に薔薇水晶が言う。二人は仲良さげに手を繋ぐと薔薇水晶についていくのだった。
次回予告 無事アリスの軍事工場である中国を支配したメイデン。様々な武器を目の当たりにしクルー達は新しい武装を取り付けようとする。しかし、気になるのは静かなアリス軍の動向だった。次回、超機動戦記ローゼンガンダム 新しい力 その力は更なる戦いの為に・・・
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