第六話 双子の過去
超機動戦記ローゼンガンダム 第六話 双子の過去銃器から閃光が走る。走った閃光は船体を削り取り確実にダメージを与えていく。火薬の詰まった弾薬が艦に着弾する。するとあっという間に船体は爆炎に包まれた。「うあっ!?砲撃手!何をやっている!?」「ただいまの攻撃で右舷格納庫の外壁大破!ベリーベル1番から4番、13番、20番沈黙!」「隔壁!消化剤防御!砲撃手、これ以上着弾を許すな!メイメイ、照準後撃て!!」ラプラスによって再び目覚めた大量のバーズによりサクラダは被害を被っていた。「水銀燈!JUMが危険なのだわ!っと!」真紅の余所見すら許さない大量のバーズによる集中砲火。真紅はなんとか掻い潜ってはいるがいかんせん戦力不足だ。現在バーズと交戦しているのはシンク、スイギントウ、バラスイショウ、キラキショウの4機しかない。対してバーズは20機はいるだろうか。さすがに数が違いすぎる。「うゆ・・・雛も出るの!」「駄目かしら!中破した機体じゃああっという間に的かしら!うぅ・・・非力なカナリアが悔しいかしら・・・あら?この反応・・・もしかして!」ヒナイチゴはラプラスに中破にされ帰還。カナリアもこの数相手には出るだけ無駄だろう。しかし、金糸雀本人は何を思ったか機体から降りるとブリッジへ向かっていった。「っつ・・・予定外ねぇ・・・こんあ展開になるだなんてぇ。」スイギントウが漆黒の翼を展開しバーズの攻撃を防御する。しかし、降り注ぐ弾丸は徐々にスイギントウの装甲を削っている。「・・・ジリ貧・・・」バラスイショウが両腕に装備されているビームガトリングガンを乱射する。「白崎・・・相変わらず用意周到な奴ね・・・」キラキショウが眼前のバーズを切り裂きながら見上げる。そこにはウサギと交戦する緑と青の機体があった。「はははっ、いいのですか?お仲間がピンチですよ?お嬢さん方。」ラプラスのパイロット、白崎が余裕を見せながらいう。「3年前・・・お前が3年前の破壊した街を覚えているですか・・・?翠星石達の街を・・・」スイセイセキがフルパワーでGSを発射する。ラプラスに命中はしないものの、数機のバーズは巻き添えを食い結果的にほかの面々を助けている。「3年前・・・・?果て・・・。」「とぼけるな!!僕達は忘れたことはないよ・・・その機体を・・・お前が僕らの街を奪ったんだ!!」蒼星石が叫ぶ。しかし、白崎は冷たい笑みを浮かべながら言う。「いやいや、なぁに・・・3年前に滅ぼした街なぞ・・・ありすぎて覚えてないだけですよ。神が蟻を踏む事に理由がいりますか?いらないでしょう?実に下らない・・・・」「!!ふ・・・・ふざけるなあああああああああ!!!!!!」果たしてこのような顔をした蒼星石を見たことがあるだろうか。恐らく翠星石すらないんではないだろうか。ソウセイセキがガーデナーシザーを振りかざしラプラスに切りかかる。完全なる殺意。並のものならその殺気に圧倒され気がつかないまま真っ二つだったろう。「ははは、その威勢だけは認めましょうか。さすがはローゼンガンダム。大した性能ですよ。」ラプラスがビームサーベルで切り結ぶ。ソウセイセキは何度も攻撃を続けるが受け流されてしまう。そして回避sたと思えば瞬く間に回りこんで切りかかってくる。「蒼星石!離れるですよ!!いい加減落ちやがれですぅ!」再びGSが放たれる。しかし、今度も命中しない。「狙いはいいですね。しかし・・・それで私を捉えるなんて無駄な事ですよ。ふふ、いい事を思いつきました。3年前・・・まぁ、私は覚えてませんが・・・このような光景だったのではないですか?」白崎はニヤリと笑うと基地に向かって砲撃を始めた。焦げ臭い・・・建物が焼ける匂い・・・草木が焼ける匂い・・・そして・・・生き物の焼ける匂い・・・アリスの乱で、僕達は全てを失った・・・そう、自分とその半身以外を・・・全てを失った僕と姉は荒野を彷徨っていた・・・残骸しかない荒野。そう、建物のだったもの。草木だったもの。生き物だったもの・・・僕らももしかしたこうなっていたのかもしれない。荒野を彷徨ってどれだけたったろう。老夫婦は僕らを迎え入れてくれた。再び温もりを手に入れたんだ・・・翠星石ははじめは老夫婦もちょっとだけ怖かったです。何でこんな子供を親切にしてくれるのか分からなかったです。でも、しばらくしておじじとおばばが話してくれたです。おじじとおばばにも子供がいたです。でも・・・その子は交通事故で死んでしまったらしいです。アリスの乱のずっと前に。だから、おじじとおばばは翠星石と蒼星石をとても可愛がってくれたです。本当の子供みたいに。とてもとても嬉しかったです・・・奪われたものが返ってきた・・・そう思ってたです。でも・・・アリスは再び牙を向いた・・・3年前、白崎を筆頭とする部隊は街を襲撃。理由?そんなものきっとない。強いて言えば気まぐれ。双子の幸せは再び破壊された。シェルショックと言うらしい。近くに砲弾などが落ちたりすると人間の神経はズタズタになったりするらしい。「ああ・・・かずき・・?かぁずき!かずき!!」「おじいさん?僕だよ?蒼星石だよ?」妹が老父を揺さぶるものの、同じ事を繰り返すばかりだ。「はぁ・・あああ・・・・」「おばば!?しっかりするです!蒼星石!おばばが・・・おばばがぁ!」老母は過労かショックか。心臓は動いているがまったく目覚める気配はなかった。その後、救助に来たメイデンに双子は引き取られた。老夫婦は今も病院で治療されている。「あ・・・・あ・・・やめろ・・・やめろ・・・やめろ・・やめろおおおお!!!」業火に焼かれるヨコハマ基地。蒼星石は体を抱きしめると目を瞑る。見えない、見たくない。翠星石も同じように体を抱きしめてガタガタ震えている。「おや?壊れてしまいましたか?あっけないですね。楽しめそうだったのですが・・・つまらない。」ラプラスが動かなくなった二機に銃を向ける。引き金を引けば二人は消え去るだろう。しかし・・・不思議な事があれば・・・二機を狙っていた銃がいつの間にか見えないモノに切り落とされていた事だろう。白崎は目を見張ると瞬時にその場を離れる。数秒後、ようやくその正体が現れた。「成る程・・・あなたがいましたね。雪華綺晶・・・」白崎の目の先。白を基調とし、右目に薔薇の毒が埋められた機体。「インビシブル・・・不可視の名を持つ機能でしたね。ローザミスティカドライブの副産物で、数秒とはいえ完全に消える事ができる・・・いやはや、やっかいな機能ですねぇ。」「白崎・・・やはり貴方、やっぱり裏切ったのね・・・」「裏切り?これは可笑しい。私たちは初めからこっちですよ?寧ろ貴方と妹が勘違いしていただけでしょう?」白崎がニタァーっと笑う。雪華綺晶の目は厳しい。「・・・白崎・・・あの人もいるんだね・・・」続いて薔薇水晶が接近してくる。「おやぁ?いいんですか?私などに構って。戦力差があったはずですが・・・おっと・・・これはこれは。」白崎がレーダーを見るとバーズは残りわずかだった。そして・・・アリス軍機でない機体が増えていた。「残念だったわね、白崎。ヨコハマでこんな大きくドンパチやったせいか他のレジスタンスが応援に来たのよ。」キラキショウがライフルをラプラスに向ける。バラスイショウも同じようにサーベルを向けている。「確かに・・・誤算ですね。大人しく退くとしましょうか。そうだ、薔薇水晶。彼は待ってますよ・・・来ませんか?」瞬時にライフルの弾が放たれる。コクピットめがけて撃たれたものの、ラプラスは回避する。「妹をたぶらかすな!道化ウサギめ・・・」「私は・・・あの人がいようとアリスと戦う・・・例えあの人が立ちふさがっても・・・」薔薇水晶が唇を噛む。すると、白崎はハハハっと笑うとあっという間に後退していく。「面白い・・・実に面白い・・・またお会いする日が楽しみですよ。データもとれましたしね。」と、捨て台詞を残してラプラスは撤退した。結果、他のレジスタンスの応援はあったものの、メイデンは作戦通りにヨコハマの制圧に成功したのだった。「全く・・・貴方が暴走するなんて、らしくないわね。蒼星石?翠星石ならともかく。」「そうねぇ。冷静な貴方がねぇ・・・翠星石ならともかく。」「雛、怒った蒼星石にビックリしたの!翠星石ならともかくなの。」「ごめん、みんな。面目ない。」「きぃいいい!!何で揃いもそろって翠星石ならともかくなんですかー!?」メイデンとSAIYAがヨコハマとオオサカを占領したのはレジスタンスの間で瞬く間に話しになり他のレジスタンス集まってきた。戦いでのダメージを癒すと共にメイデンはミーティングを行っていた。「お前、今まで何回暴走したかわかってるのか?」JUMがハァとため息をつく。「う・・・うるさいですぅ!JUMにそんな事言われる筋合いは・・・」「まぁ、今回は理由が理由だからな。不問でいいよ。んじゃ次の話。無事作戦が成功したが・・・」「休暇よねぇ?私はリュウキュウがいいわぁ~。季節も夏ですしねぇ。」水銀燈がニコニコしている。すでに気分はバカンスなんだろう。「ん・・・まぁ、修理が終わってからだけどな。みんなもリュウキュウでいいのか?」JUMの問いに特に意義はなさそうだ。こうして、少しの間少女達は少女に戻るのであった。次回予告 修理も終わり無事リュウキュウに到着したメイデン。久しぶりの休みにはしゃぐ少女達。いつの間に買ったのだろう水着もお披露目。しかし、そこに奴がやってくる・・・次回超機動戦記ローゼンガンダム 少女達の休息 その思い 忘れるな雛苺!
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