あいつがオレでオレがあいつで
~休日 午前~
ジ(……ったく。翠星石の奴、自分から約束押し付けておいて遅れるってのはどういう事だ……)翠「―――― はぁ、はぁ……お、遅くなった……ですぅ……」ジ「おまえなぁ! こんな寒い中に二時間も人を待たせるなよ!」翠「ご、ごめんなさい……ですぅ」ジ(本当に反省してるのかこいつは……って、なんか普段とは違う感じがするぞ。 ……幾つか見ないアクセサリーつけてるな。他にもなんか……)翠「……な、なにジロジロ見てる……ですか」ジ「……お前、顔赤いな。もしかして風邪引いてるんじゃないか?」翠「これは、ここまで走ってきたからですぅ! と、とにかく、これ以上時間を無駄にしたくないないから行くですよ!」ジ「おい、遅れたのは僕のせいじゃな……聞いてないな、あいつ」
~休日 午後~
ジ「…………今日は買い物の荷物持ちじゃなかったのか?」翠「良い物が無いのだから仕方ないですぅ」ジ「だからって園芸展や喫茶店に行っても買い物にならないだろ」翠「憂さ晴らしですぅ! そっちも楽しんでいたのに一々文句が多いですよ!」ジ「別に文句を言いたい訳じゃ……ただ不思議に思ったから……」ジ(普段ならもっとやかましいのに、何を気にしているのか口数も少ないし……。 それにやっぱり、顔が赤くなるんだよなぁ。目線が合いそうになると慌てて逸らすし。 なんだかこっちまで恥ずかしくなってくる……いや、可愛いなんて思ってないぞ僕は……!)翠「……ふ、ふん! こここ、これだから元ヒキコモリは扱いづらいのです!」ジ「…………お前」翠「……あ……」ジ「扱いづらくて悪かったな……」翠「い、今のは違う―――― 違うのです!」ジ「違うってなにがだよ。何も違わないだろ…………もういい。今日は帰らせて貰うぞ」翠「……ジュ、ジュン……!」ジ「ッ! …………じゃあな」
~休日 帰り道~
ジ「…………」ジ(……悪口言ったのはあいつなのに…… なんであんなに辛そうな顔するんだ……卑怯だろ……!)ジ「……今日のあいつは一体何がしたかったんだよ……」翠「…………」ジ「!? お、お前いつの間に…………な、なんだよ」翠「……あんな事を言いたくて、今日来たんじゃない……」ジ「…………翠星石」翠「傷つけたかったんじゃない…… 待ち合わせの場所に走ってた時も、色々な場所を見て回っていた間も、 今日が楽しい一日になるように願ってた……あんな別れ方をしたかったんじゃない……!」ジ「ま、待てよ、落ち着け。僕はもういいから――」翠「でも、でも……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……!」ジ「おい! こんな所で泣くなよ、お前やっぱりおかしいぞ……!?」翠「ごめ……う、うぅ……ぅ……」ジ「~~~~! ああもう! 悪かった、僕が悪かったよ! だから泣くな、止めてくれ!」
翠「あ―――― !!! ……ジュ、ジュッ……か、身体! だ、抱き締めて……ッ!?」ジ「うるさい、突っ込むな! これ以上泣いたら顔潰れるくらいまで腕を締めるぞッ!」翠「……これじゃ、服が濡れちゃう……」ジ「気にすんな。目の前で泣かれているよりずっとマシだ。 ……それにお前をこうしていると……」翠「え……?」ジ「……ああもう! なんか今日のお前を見ていると変な気分になるんだよ! ずっと僕の顔見ているくせに、目を向けるとそっぽ向いて恥ずかしがるし……! どうしていきなり―――― お前、そんな事する奴じゃなかっただろう!?」翠「…………」ジ「クソ、何言ってるんだ僕は……今のお前見ていると僕までおかしくなってくる…… 照れるなよ、変な期待しそうになるんだよ、このままじゃ馬鹿みたいな勘違いしそうに……!」翠「……勘違いじゃない」ジ「!」翠「…………好き、だから」ジ「……信じるぞ」翠「うん…………んっ」
~翌日 登校中~
ジ(……ほとんど勢いとはいえ、昨日はキスまでしてしまった……。 こ、これはあれだよな、告白だったんだよな、僕達付き合う事になったんだよな。 よ、よし……今度は僕が誘うぞ。映画のチケットも買ったし……いや、気が早かったか……!?)翠「…………」ジ(―――― す、翠星石……! 来たぞ、勇気を出せ、翠星石もやれた事なんだ……!)ジ「よ、よう翠星石、おはよう」翠「…………」ジ「……き、昨日は色々あったよな。正直僕も戸惑ってるんだけど……」翠「……なに言ってるですか」ジ「や、嫌だった訳じゃないんだ! 不安はあるけど後悔はしてな……え? なに言ってるって……ほら、昨日のアレだよ、アレ」翠「……なにも無かったです」ジ「なにも無かったって―――― お、おい、まさかお前、昨日の事無かった事にするつもりじゃ……!?」翠「ジュン! さっきからなにを訳の分からん事をのたまっているですか!? 最初からなにも無かったのです! それ以上でもそれ以下でも右も左もないのです! それ以上昨日の話を続けたらただじゃおかねーですよ!」ジ「そんな……あんなだったけど、昨日は本気だったんだぞ……」翠「す、翠星石だって昨日は―――― ジュンの馬鹿ァァァッ!」
ジ「翠星石ッ…………う、嘘だろ、本当は嫌だったのか……? 僕の決意は……!?」蒼「……ジュン……君……お、おはよう」ジ「…………蒼星石。翠星石は昨日の夜になにかあったのか?」蒼「ご、ごめんなさい!」ジ「いや、いきなり謝られても……事態分からないだろうけど、お前のせいじゃないし」蒼「う、あ、それは……そうなんだけど……そうじゃなくて……翠星石も悪くなくて……」ジ「……はぁ。ならやっぱり先走り過ぎてたのか。チケットどうすればいいんだ……」蒼「と、当然ジュン君だって悪くないんだ……って、チ、チケット?」ジ「ああ、映画のチケット。翠星石を誘おうと思ってたんだけどあれじゃぁ……」蒼「…………」ジ「……興味あるのか? ……あー……もういいや、今週末なんだけど暇なら……」蒼「―――― ええ!? あああ、ううう……!」ジ「……別に無理に誘ってる訳じゃないからな。他に予定があるなら気にするな」蒼「そうじゃないんだ! そうじゃないんだけど…… 僕は、僕は―――― うあああああああああああ……ッ!」ジ「ど、どうした蒼星石! まるで心労で今にも倒れそうな中間管理職の悲鳴だぞ……!?」
昼休み・人気の居ない校舎の階段で
J「蒼星石って、スカート短くしないんだな…何か以外…」(膝の上に蒼星石をのせてじっとスカートを見る。)蒼「どうして?僕校則は守るよ。」J「いや…動きやすそうなのが好きかなって思って…」蒼「う~ん…確かに見た目は動きやすそうで元気に見えるかもしれないけど…階段で人目を気にしたり、色々大変だって…翠星石が言ってた。」J「ふ~ん…色々あるんだな…」蒼「それにね…あまりに短いスカート穿いてると…すぐ先生に目を付けられるから…大変なんだよ。僕は校則何一つ破ってないから、目も付けられず、ジュン君とこうしてどうどうといられる…」(ぽふっとJUMの胸にもたれる)J「そ…そうか…」(今何気に黒い事言わなかったか…?」蒼「それでもジュン君は…僕にミニスカート…穿いて欲しい?」J「い…いや別に僕は蒼星石が蒼星石らしければ別に…でもちょっと見てみたいかも…けど…」蒼「…けど…?」(JUMの手をスカート越しに自分の足に沿わせながら)J「って…何してるんだよ。」(あぁ…我慢してたのに……やわらかい…)蒼「べっつにぃ…僕に…ドキドキしないかな…って思って。」J「…お前の足…誰にも見せたくないから……そのままでいいよ…」(いつの間にか自分で手を動かして、蒼星石の足を触っている)蒼「そうだね…ジュン君は別にスカート越しに妄想しなくても、いつでも全部触れるんだもんねぇ…」(ニヤニヤ)J「な……誰が妄想なんて…」蒼「でもしてたでしょ?まだ付き合ってないとき。そうじゃないと、この手の説明がつかないよ♪」J「………うん。」(くっそー!!)
最初はちょっとした出来心でした。前日の夜から翠星石はずっとその事を話し続けていて……羨ましかったんだと思います。布団の中で計画を立てて、まずは鋏で彼女の夢を少し××しました。髪の毛は付け毛を足して髪留めで誤魔化したんです。それだけだとかえって目立つと思ったので、他にも有りっ丈の装飾品を身に付けて……。瞳の色が最大のネックでしたけど、案外気付かれないものですね。ごめんなさい。悪い事をしている自覚はあったんです。本当にありがt(ry
THE END
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