原点の味?
J「今日は何をご馳走してくれるんだ?」蒼「麻婆豆腐だよ。トビキリ辛いやつ。」翠「本場の調味料を仕入れてきたです。今のうちに覚悟しておくですよ。」蒼「それじゃ料理してくるから待ってて。」J「ああ、おてやわらかに頼むよ。」JUMをリビングに残して2人はキッチンに向かった。訪ねてくる前にあらかたの準備はしておいたので後は火に掛けて仕上げるだけの状態だ。蒼「姉さん、何で鍋を二つも用意してるの?」翠「JUMのは特製のスペシャルブレンドですぅ。」蒼「でもこの調合って僕が知ってるのとは随分と違うんだけど。」翠「あったりめーです。薬効がすごいバージョンだからですぅ。」蒼「本当に大丈夫なの?」翠「薔薇水晶から教わったんだから間違いねーです。 それにあっちの方もえらいことになるらしいですぅ。」蒼「姉さん!そんなのいけないよ。」翠「これを食えばJUMもすごくなるですよ。」蒼「ホントに?・・・じゃあ、ちょっとだけだよ。」自信満々の翠星石に半ば引き摺られる形で蒼星石も賛同した。翠星石の手にした瓶から大小様々な粒が鍋に注がれていく。しばらくかき混ぜたところで紫色の煙が立ち昇ったが翠星石が別の粉を一振りするとそれも収まり見た目にはわからなくなった。翠「さ、お客様用の料理も無事完成です。」蒼「僕達の分もできたよ。」翠「間違えないように色違いのお皿に盛り付けて・・・完璧ですぅ。
翠「それじゃ行くですよ、気取られるなです。」蒼「姉さん、顔。それじゃ何か企んでるのバレちゃうよ。」翠「う、いけねぇです。『は~いスマイル~』これで大丈夫です。」何かのお呪いなのか蒼星石にはわからなかったが翠星石は普通の表情に戻っていた。しずしずと食卓に料理を乗せていく。J「はやかったな。お、いい香り。」翠「これが原点の味です。しっかりと味わいやがれですぅ。」蒼「それじゃ・・・。」「「「いただきま~す」」」挨拶を済ませたあと2人は手を止めたままJUMの動向を窺った。匙で掬って口に運ぶさまをまじまじと見つめる。JUMの喉の動きを確認したところで翠星石が問いかけた。翠「どうですか?」J「うん、おいしいよ。それに思ったほど辛くなくて驚いた。」翠(あれ?)蒼(どうかしたの?)翠(おかしいです。)J「ん、なんだ、食わないのか?」翠「何でもねぇです。ちょっと蒼星石と山椒取ってくるです。」連れ立って席を外す2人。キッチンに引っ込むとJUMの様子を窺いながら聞こえないように話し出した。
翠「一口食べた瞬間に効果がでるって聞いてたです。」蒼「でも平気みたいだね。これは失敗ってコトかな?」翠「調合間違えたですか?う~ん、ちょっと薔薇水晶に確認してみるです。」そう告げると翠星石は一目散に飛び出していった。蒼「なんだ失敗か。ちょっと残念。」蒼星石がリビングに戻るとそこには机に伏したJUMの姿があった。蒼「JUM君、どうしたの?」J「蒼星石、それがその、なんだか急に体が・・・。」蒼「えっ、あっ、それじゃ成功してたんだ。」J「な、どういうことだ?」蒼「あ、いや、そ、姉さんがね、待って、アーッ。」・・・翠「蒼星石、あれであってたです。まれに個体差で遅れることがあるって・・・。」蒼「・・・。」翠「JUMはどこです?」蒼「・・・ソファで寝てるよ。すごく疲れたみたいだから。」翠「疲れたってどういう・・・。」蒼「うん、姉さんの言ったとおり、本当にすごかった・・・。」翠「ちょ、いねぇい間にだなんて蒼星石だけずるいですぅ~orz」
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