幼馴染の二人
夕焼けに染まる教室・・・聞こえる二つの声・・・・・・そして重なる二人の影・・・いや、いや、いや、いや
めぐ「あら、おかえり水銀燈、今日は早いのね」いつも通り迎えてくれためぐに返事もせず私は自分の部屋へと駆け込んで制服のままベッドに飛び込み枕に顔を埋めた。目を閉じるとさっきみた教室の光景がまぶたの裏側に浮かぶ・・・幼馴染のJUMと一緒に帰ろうと思って教室に行って見たのはJUMと真紅が楽しそうに談笑する姿、そして重なる二人の唇・・・それを見た瞬間、私はその場から逃げ出した。
JUMとは家が隣同士で物心ついたころからずっと一緒だった。私は色素が薄くて髪が銀色だったせいもあって小さなころはよくい虐められた。そんな時いつも庇って助けてくれたのがJUMだった。JUMはジャンクだった私といつも一緒に遊んでくれたし、いつも側にいてくれた。そして、私はそんなJUMにいつからか惹かれていった。でも、私はJUMにその思いを告げることはなかった。告白して受け入れられればもちろん嬉しい、でも、もし拒まれたなら今までの関係でいられなくなるそれが無性に怖かった。恋人とも友達とも違う幼馴染という微妙な距離感、他の人より少しだけ近いその距離に私は満足していた。その関係を壊したくなかった。これからずっとこの関係のままいられると思っていた。でも、それは今日終わってしまった。転校生の真紅今年の四月に学園に転校して来た彼女はJUMとあっという間に親しくなった。JUMは真紅と隣の席になったせいかこき使われいた
私はそれが無性に気に食わなかった。私とJUMの間に入ってくる真紅が大嫌いだった。JUMもそうだと思っていた。でも違った。今日それを見せ付けられた・・・また、あの光景が目に浮かんだ。「ふふ、わたしってお馬鹿さん・・・ううぅ・・」私はいつの間にか涙を流して泣いていた。ひょっとした帰っている途中で泣き出していたのかも知れない。鏡台の鏡を覗き込むと涙でぐちゃぐちゃになった私の顔が見えた。「ひどい顔・・・本当にジャンクねわたし・・・」私の部屋の窓からは隣のJUMの部屋が見える。午後7時・・・部屋の明かりは消えている。
次の日一晩泣き明かした私はJUMを誘って久しぶりに一緒に下校した。事の真相をJUMの口から聞きたくて彼を自分の部屋に招きいれた。「しかし、お前の部屋に来るのもずいぶん久しぶりだな」「そうね~、JUMは最近真紅とばっかりいるもんね~」「なんか含みのある言い方だな・・・」「別に、で~もぉ、ちょっと気になる噂を聞いたのよねぇ~」「・・・なんだよ、噂って」JUMはすっと私から目を逸らした。かまわず私は続ける。「う~ん、JUMと真紅が付き合ってるってう・わ・さ、知らない?」「はぁ?、そんな噂初耳だぞ」「あらJUMは真紅にまるで下僕のようにこき使われてるのに最近は文句いわないじゃな~い」「それは、諦めたんだよ、いくら言ってもあいつ全然聞いてないし」そういった顔は嬉しそうに見えた。煮え切らないJUMにだんだんイライラしてきた。だから私は奥の手をだした。銀「で~も~、真紅とJUMがキスしてるのを見たって今日聞いたわよ」勿論聞いたなんていうのは嘘これは実際に私が見たのだ、嘘をついてもすぐにわかる。
「っな、知るかよ、でたらめだろ」「・・・本当に?」「本当だよ、大体噂なんて当てにならないだろ。」「・・・嘘」「え?」「わたし見たのよ、昨日、放課後、教室であなたと真紅がキスしてるところ!!」「・・・お前、あれ見てたのか」「見てたわよ、見たくもなかったけど・・・しっかり見たわよあなたとあいつがキスするところ!!」私はいつの間にか泣いていた。完全に理性の糸は切れて関を切ったように次々と口から言葉が吐き出される。「はっきり言ったら、僕は真紅と付き合ってますって!!」「もし、仮にそうだったとしてもそんなことお前には関係ないだろ」「関係あるわよ、わたしはねJUMが好きなの、昔からずっと好きなのよ」「・・・グス、だから、はっきり言ってよ、でないとわたし、自分の気持ちに決着つけられないでしょ・・・ううぅ・・・」そこまで一気にまくし立ててわたしは泣き崩れた。JUMは面食らったように立ちすくんでいた。これでわたしはJUMの隣にただの幼馴染としてもいられなくなったのだ。「・・・その確かに昨日、真紅とキスはした。」どれくらいそうしていただろうか暫くしてから漸くJUMがポツリポツリと話し始めた
「それから、真紅に私のパパートナーにならないかとも言われた。」「・・・グス、そう・・・おめでとう・・・これd」「話は最後まで聞けって、でも断ったよ」「え?」「だから、断ったんだって、ごめん僕は水銀燈のことが好きだからって」「・・・嘘」「嘘じゃないよ、本当に昔からずっと好きだった。」「でも、でも、わたしジャンクだし」「水銀燈はジャンクなんかじゃないって僕が一番よく知ってるよ」「ねぇ本当に、本当?」「ああ、本当だ、だから泣くなってお前に泣かれるの一番嫌なんだから」「うぅ・・・ひっくひっく、無理よ当分泣きやめそうにないわよ、ひっく」「ああ、もう」そう言うとJUMはわたしをぎゅっと抱きしめた。JUMの鼓動の音と体温が伝わってくる。JUMはそうしてわたしが泣き止むまで抱きしめ続けてくれた。ずっと欲しかったJUMの初めての恋人という居場所をわたしはやっと手に入れた。
FIN
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