翠星石短編12
もう日が暮れようとしている河原で淳と水銀燈が寄り添うように腰をおろしている。翠星石は土手の上に立って、じっとそれを見下ろしていた。眼下の二人は幸せそうだった。翠星石の胸に様々な想いが去来しては渦巻き、それは段々膨れ上がっていって、何時の間にか翠星石は其の手に石を握りしめていた。歪む視界の中で、石を持つ手を大きく振りかぶり、投げ――――ようとして、誰かに手首を掴まれた。振り向くと真紅だった。真紅は黙って首を横に振り、ゆっくりと手を降ろさせた。翠星石の右手から、握りしめていた石がポロリと落ちる。(そうだ……。そうだったんだ。私は淳が好きだったんだ……。)張り詰めていた何かが切れ、翠星石の目から堰を切ったように涙が溢れだした。其の涙に、いつしか絞り出されるような嗚咽が混じり、真紅の胸に顔を埋めたまま、翠星石は赤ん坊に戻ったように泣いていた。哀切が胸を締め付け、湿った胸の奥から絞り出されるように、涙は後から後から湧いてきた。彼女は、自分が素直になれなかった事、すべては遅すぎた事を悔やんで泣き、そして自分の淳を想う気持ちの重さ故に涙を流した。翠星石が泣いている間、真紅はずっと優しく抱き締めながら髪を撫でていてくれていた。やがて嗚咽がおさまり、翠星石が涙で濡れた顔を上げると、真紅は優しく微笑んで翠星石の右手を開かせ、さっき捨てさせた石の代わりにそっと手榴弾を握らせた。
蒼「あれ、翠星石のパソコン、つけっぱなしじゃないか……って、これネットゲームかな? ログ残ってるけど……」――ジェイ:そうなんだ。同じクラスの子がねぇ……――翠夢:はいですぅ……危なっかしくて目が話せないというか……――ジェイ:わかるよ翠夢さん。僕のクラスにもそんな子がいてね――翠夢:そうなんですか!? ジェイさんはどう接してるですか?――ジェイ:それが僕も君と同じでね。素直に接するのが恥ずかしくて、ついツンツンしちゃって……――翠夢:翠夢も同じですぅ……――ジェイ:でもまあ、後になってみるとそういうのもいいかな、なんて思っちゃうんだよね――翠夢:ジェイさんはその人のこと好きですか?――ジェイ:……どうだろう。少なくとも嫌いじゃないかな。翠夢さんは?――翠夢:多分、翠夢もジェイさんと同じと思いますです蒼「…………」翠「ただいまですー……って、蒼星石何してるですか?」蒼「翠星石、パソコンつけっぱなしだよ」翠「ちょっとAFKしてたですぅ」蒼(なんだろAFKって……) ※AwayFromKeyboardの略。要するにパソコンから離れるの意。翠「それじゃちょっと狩りしてくるです」蒼「そのジェイさんって人?」翠「はいですぅ。どっかの誰かさんと違って優しいいい人ですぅ」蒼「ああ、まあ……楽しむといいよ。それとさ、翠星石」翠「なんですか?」蒼「おめでとう。ごちそうさま」翠「……?」――ジェイ:あ、そうだ翠夢さん。今度ギルドの面子でオフ会あるんだけど、どう?
の「さ、おやつの時間ですよ~。」雛「わ~いなの。うにゅ~がたくさんあるの。」J「僕たちの分もあるんだからな。」翠「こら、ちびちびあんまがっつくなですぅ。」雛「んっく、おいし~の。」の「あらあらヒナちゃん、あんこがついてるわよ。」のりは雛苺の頬についたあんこを指ですくい取るとその指をそのまま口に運んだ。雛「えへへ、ありあと。」翠(はっこれです!)何を思ったか急に勢いよく食べはじめた翠星石。雛苺が対抗しようとするが体躯の差もあって流石にかなわない。雛「も~っ、ヒナのぶんなくなっちゃうの~。」の「まだあるから大丈夫よ~。」翠(よし、準備万端ですぅ)J・翠「おい・・・」頬にうまくあんこをつけた翠星石はJUMに声をかけようとしたが同じタイミングで声をかけられた。見つめあう二人、その頬にはあんこがぺったリ付いていた。翠(か、かぶったですぅ!?・・・ならこうです!)同じことを考えてたかと一瞬たじろいだがそれならばと翠星石は出方を替えることにした。翠「な、なにみっともねぇ食べ方してるですか。 ちびはほんとに世話の焼けるやつですぅ。」JUMの右の頬に手を伸ばしてついてるあんこをすくい取り、その指をそのままJUMの口に突っ込んだ。J「な、むぐ・・・・・・ちう。」予想外の行動だったのかJUMは驚いていたがその意図を汲み取ると指についたあんこを丁寧に舐め取る。JUMはその甘い指を味がなくなるまで吸った。翠「・・・あぅ、もういいです。」指の腹を舌で擦られる感覚に耐えられなくなった翠星石はゆっくりとJUMの口から指を引き抜いた。名残惜しそうに糸を引く指を自らの口でくわえなおす。J「そういうお前だってついてるぞ。」翠「え、ど、どこですぅ?」今度はJUMがあんこを取る番。翠星石はわからないふりをしてそう促した。J「ふう、しょうがないな。」JUMは翠星石の右の頬についてるあんこを直接舌で舐め取った。点々とついているあんこを丁寧にすくい取っていく。翠「はぅ、それは翠星石のですぅ。ちゃんと返すですぅ。」JUMの舌に集められたあんこをとりかえそうと肩を掴んで引き寄せる。短く舌を垂らして受け取る準備を整えた。雛「あー、翠星石ずるいの。雛もしたいの~。」翠「ちび苺!今いいとこだから邪魔すん(ry」JUMは雛苺に向いている翠星石のあごに指を添え向きなおさせるとそのままあんこを送り込んだ。それに応えて翠星石も懸命に舌を動かして飲み下した。あんこがなくなったところで崩れ落ちる翠星石を受け止め椅子に座らせる。雛「おわった?次は雛のばん~。」J「ああ、こっちへおいで。」終わる
「・・・・・ほ、保守なんてしてあげないですぅ!・・・・・・・ッ・・・・・・・・保守・・・・。お、お前の為なんかじゃないですぅ!翠星石が保守したくなったからしただけですぅ!」
春が来て、新学期が始まりました。 始業式が終わりてれてれと帰る翠星石と蒼星石に、春風が吹きます。キツいやつ。「きゃぁぁぁぁっ!?」 翠星石の制服のスカートが、彼女の視界をふさぎました。スラックスを選んだため被害を免れた蒼星石が、あわててフォローに入ります。 ……入るには入ったのですが。
ひゅっ、と軽妙な口笛。「ごち♪」
押さえこんだスカートの向こうに、大胆不敵かつお魚くわえたドラ猫のごとく嬉しそうに笑み崩れる女生徒が一人。 そして、艶やかなぬばたまの黒髪を風の中に翻し、笑点のテーマを機嫌よさそうに口笛で吹きながら悠々と去っていくのでありました。てんてけてけてけすってんてん。ぱふ。「……あのアマ」「や、やめなよ、翠星石」 蒼星石は腕を掴んで引きとめるものの、翠星石はそれを引きずってずかずかと後を追います。 蒼星石のローファーがずるずる音を立て、翠星石が音高く踏み鳴らす跫(あしおと)が背後に迫ろうとも、黒髪の彼女は平然と口笛を続けるのでした。 てってーれてんてけてれれん。すててけてってって~。 翠星石入魂の超合金如雨露が一閃。中に収められた教科書ノートがガッと鋭い音を立てます。
しかし、宙に一筋の黒髪が舞っただけなのでありました。
「ごきげんよう。なにか御用かしら?」 鼻にかかった猫撫で声。わずかに首をかしげて如雨露をかわした相手は、余裕綽々で振り返ります。ほの暗い妍の冴え渡る、影のある美少女でした。 何の御用、と問われて翠星石、ぐっと言葉に詰まります。「……な、なんかむかついいただけです!」「翠星石……」 姉のフォローは慣れたもの、いくつもの窮地をとっさの機転で切り抜けてきた優秀なる妹御でも、今回は少々苦戦なのでした。「すいません。姉が大変失礼を」 苦笑いで詫びを入れる蒼星石に、にっこりと微笑みが返ってきます。対する姉は、何うやむやにしてまとめに入ってやがんだゴルァ、みたいな視線をビシビシと容赦なく。「気をつけてねぇ? 春だから多いのはわかるけど」 翠星石のこめかみで血管が何本かぶちぶち音を立てたのを、小気味よさげに聞きながら彼女はさらにもう一声。「清楚でお似合いよ? 今夜勝負?」
暴れる翠星石を必死で羽交い絞めにする蒼星石。それを尻目に、笑点のテーマは悠々と歩み去っていくのでありました。
「えぇい口惜しや! 離せ、離すです蒼星石! 憎っくきあ奴にせめて一太刀!」「落ち着いて! 落ち着いてってば! 危ないから! 殺るならせめて闇討ちで!」「おのれー! 逃げるか卑怯者っ! 名前ぐらい名乗りやがれですーっ!」 その罵声にくるっと振り向き、ちょっと学生さんとは思えない破壊力の流し目がしゃなり。「水銀燈よ? よろしくね」
スーパーでアルバイト中の翠星石
JUM「すいませーん・・・ってなんだ翠星石か」翠「ななななんでJUMがここにいるですか!!」JUM「なんでって・・・姉ちゃんに買い物頼まれたんだよ」翠「そ、そうですか。それでなんの用です?翠星石は忙しいんだからさっさとするです!」JUM「一応客なのにひどい態度だな・・・まあいいけど。その・・・次の休みっていつか教えてくれないか?」翠「・・・へ?」JUM「頼むよ」
翠(翠星石の空いてる日を聞いてるですか?まさかデートの誘いじゃ・・・(///))
翠「す、翠星石がここでバイトしてるのは土日だけですぅ(///)」JUM「・・・すまん知りたいのは店の定休日だ」
翠「翠星石の日まであと一週間ですよ」ジ「緑の日な」翠「どしどし待ってるです」ジ「だから別にお前の日じゃないぞ」翠「……」蒼「僕も待ってるよ」ジ「蒼星石まで」翠「4月29日は翠星石の日」蒼「僕の日だって事も忘れないでね」
緑の日だけでなく、地球と双子を大切に
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