第六話『薔薇水晶』
長い縦穴を抜けた先は薄っすらと光の差し込む森の中。真紅は久々の光を、いかにも眩しそうに手で防ぎながらも、安心した様子でふぅ、と息をこぼすのだった。 "The Unknown" 第六話『薔薇水晶』 出てきた場所はそれほど深い位置ではなかったらしく、少しばかり歩いたところで視界は一気に開けてきた。そこにあったのは…「これが、古代都市…」 伝承では、『原初の女』が魔女を封じる際に犠牲となったと言われている都市。真紅の目の前に、恐らくその一部と考えられる建造物がいくつも存在していた。煉瓦造りの重厚なつくりの家々にしっかりと舗装された道路は当時、人々がそう低くない生活水準を保っていたことを思い起こさせる。 また、その建造物の並びは非常に考えられたものであり、激務に次ぐ激務の日々で芸術品などをあまり見る機会のない真紅の目にも、非常に美しい町並みであることは理解できた。 ほっ、とするのもつかの間、真紅は慌しく各家を改め始めた。運が良かったのだろうか、彼女の目的のものはすぐに見つかった。
このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー と 利用規約 が適用されます。
1文字以上入力してください
本文は少なくとも1文字以上必要です。
1文字以上入力してください。