外伝. いぬのきもち
Wild Bunch! のサイドストーリー( ゚д゚) <本編とは一切関係無し( ゚д゚) <時間軸も本編とは違う( ゚д゚) <主人公が人間ですらない( ゚д゚ ) < れでぃ、ごぉ
…真紅と雪華綺晶は買い物。雛苺は…よく眠っている。巴とオディールの二人は…まあ、保安官だけあって忙しいのだろう。今は居ない。(…さて…今なら…抜け出すチャンスだね…)僕は寝ている雛苺を起こさないよう気をつけながら、そっとソファーから起き上がる。開いたドアの隙間から滑るように外に出て…前足を使って外からドアを静かに閉めた。…どこに行くのかって?もちろん、仕事さ。こう見えて僕は、保安官助手に任命されていてね。 外伝. いぬのきもち 町の中心にある酒場。その裏路地に身を隠すように身体を滑り込ませる。程なくして…猫背の情報屋が目の前を通った。決して目立たぬように、だが、確実に通る声でそいつを呼び止める。「へ…へへ…旦那じゃあねえですかい…アッシは何もしてやせんぜ…?」誰にでも尻尾を振るような…そんな情けない奴だが…だが、捜査の基本である『情報』。それを手に入れる為にはコイツを当たるのが一番である。僕はたった今捜査している事件の情報、それが何か無いか尋ねる。「はあ、それでしたら…アッシより、タヌの旦那の方が詳しいかと…なんでも旦那も独自にこのヤマ当たってる、って噂ですぜ」…タヌさん…保安官助手の先輩として町の正義の為に動いてくれるのは嬉しいが…もう引退して長いし、体も弛みきっているんだろ?無茶はしないでくれよ…猫背の情報屋に礼を渡し、タヌさんの所へ向かう事にした。「おお!くんくん!よく来てくれた!」名前の通り、狸のように丸くなったタヌさんが僕を迎えてくれる。タヌさん…貴方が例の事件を探ってると聞きました。手短にそう用件を伝える。「ううむ…だが、どのようにして犯行に及んだのか…それがさっぱり分からんのだよ…」皺の増えた顔にさらに深く皺を寄せながら、低く唸る。僕はその様子を見ながら…凛々しい笑顔でこう告げる。なら、全ての解決の瞬間を見せてあげましょう。その代わり、今日予定されてる『集会』の場所を教えてもらえませんか?―※―※―※―※―鋭い目つきの連中が、毛を逆立てながら威嚇してくる。だが…彼らも、僕には勝てないと知っているのだろう。それ以上のことはしてこない。タヌさんは小さく震えながら僕に身を寄せてくる。…お若いレディーならいざ知らず…これはちょっと頂けないな。そうこうしてる内に…集会場の一番奥…廃材が積まれた場所に辿り着いた。。「これはこれは、くんくん保安官。本日はわざわざこのような所まで何をしに来られたのですか?」一つの影が山積みにされた廃材の上から見下ろしてくる。「保安官『助手』だよ。ペロリーナ男爵」相手の些細なミスを、優雅な物腰で訂正する。「そして…雛苺の靴を返してもらおうと思ってね」ペロリーナはニヤリと笑い…そして、こちらを見下ろしたまま答える。「にゃはは…何を言い出すかと思えば!私が盗ったという証拠でも?誤認逮捕は信頼を地に落とす事になりますぞ!?」「そうだぞ!くんくん!…それとも何か証拠が!?」タヌさんが横から大きな声で咆えてくる。僕はニヤニヤこちらを見下ろすペロリーナを見ながら…静かに答えた。「ワカメだ。…ワカメを巧妙に使ったトリックだよ…」ペロリーナの表情から一瞬にして笑みが消え…鋭く僕を睨みつけてくる。「君はあの時、開いていた窓から侵入した。そして、バスルームに大量の乾燥ワカメを置いたんだ。そしてそのまま身を潜める…ワカメが水で膨れ上がり…誰かがそれを発見してパニックが起こる瞬間、その時まで。後はその混乱に乗じて、雛苺の靴を盗み、再び窓から外に逃げる。…こんな事を思いつき、尚且つ、実行できる身のこなし。それは君しかいないんだよ。…ペロリーナ男爵」「…状況証拠でしかありませんな…」ペロリーナが硬い声で答える。「そう。たしかに状況証拠でしかない。でも、問題は無い。なぜなら…君は罪を認めるからだ」「ほう…?」ペロリーナが楽しそうに片方の眉を持ち上げる。「君にとって、雛苺の靴なんてどうでも良かったんだ。重要なのは…そう、重要なのは僕に推理をさせ、ここまで来させる事。僕との『ゲーム』をする事なんだよ」「……クッ…ククク…にゃははは!素晴しい!そこまでお見通しとは!そうでなくては、これから私のライバルとして名を残す価値が無い!」そう叫び、その場でスクッと四本の足で立ち上がる。「今回は、ほんの挨拶です!…また会いましょう!くんくん保安官!」言うと同時に身を翻し…消えるように姿を隠した…。「…やれやれ…これから厄介な事になりそうだね…」誰に言うでもなく、呟く。先程までペロリーナが鎮座していた場所。そこに唯一残されていた雛苺の靴を咥えて…家に戻る事にした。―※―※―※―※―「トゥ!モ!エ~!」雛苺がテンション高く巴に抱きつく。「あのね!無くなったヒナのお靴が見つかったのー!」巴はそのまま雛苺を抱き上げ、その足元に視線を送る。…確かに、数日前から見つからなかった筈の靴を、雛苺が履いている。「…どこに有ったの?」巴のその疑問に(何故か)誇らしげに真紅が答えた。「くんくんが見つけてきてくれたのだわ!」そして、ソファーの上で寝転がるくんくんの頭をワシワシと撫でる。「やっぱり、くんくんは天才なのだわ!」頭をワシワシされ…その犬は少し迷惑そうに首をモゾモゾさせ…でも、内心嬉しいのか、尻尾をパタパタ振っていた。
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