『魔界』
J「久しぶりに帰って来たでぇ東京へ……っと」笹「おう、久しぶりだなJUM。大阪出張から帰ってきたのか?」J「おう、笹塚。今日帰ってきたところやで」笹「何だすっかりエセ関西弁が板についたな」J「ほっときや」笹「で、今日はどうしたんだ」J「久々に帰ってきたから、飲みに行こか思うてな」笹「何だそうか。そう言えば、水銀燈がそこのバーで働いてるぞ」J「水銀燈が? 顔出して見るかのぉ」笹「すまんが俺はこれから用事があるから、じゃあまたな」J「おおきにな。じゃあの」J「……バー『魔界倶楽部』?」銀「はぁい。ようこそバー【魔界倶楽部】へ」銀「このヤクルトはサービスだから、まず飲んで落ち着いてねぇ」銀「ええ、バーボンハウス『もどき』なのよぉ。御免なさいねぇ」銀「美人は何をしても許されるって言うしねぇ、許してもらうつもりも無いわぁ」銀「でも、このSSを最後まで見たとき、貴方は、きっと言葉では言い表せない『一発オヤジギャグ』みたいなものを感じてくれると思うわぁ」銀「言いたい事も言えないこんな世の中で、そんな生暖かさを忘れないで欲しい、そう思ってここのバーテンダーを勤めさせて頂いているわぁ」銀「じゃあ、ご注文をお伺いしようかしらぁ」J「……何や水銀燈、バーボンハウスかいな」銀「あらぁJUMお帰りなさぁい」J「あぁちょうど今日帰ってきたとこや。早速やけどバーボンのロック」銀「バーボンのロックねぇ、畏まりましたぁ」J「……ふぅ。なぁ、水銀燈」銀「なぁに?」J「何となく気になったんやけどな、ここのバー何でこんな名前なんや?」銀「……あぁ、あれねぇ。ここのマスター、趣味が『魔界観測』なのよぉ」J「何やそれ」銀「それでねぇ、趣味が高じて『日本魔界学界』の学会員になったんですってぇ」J「そんな学会あるんかい」銀「で、魔界って一つだけじゃないそうよぉ」J「二つも三つもあるもんなんかい」銀「それどころじゃないわぁ。30以上もあるそうなのよぉ」J「何でやねん」銀「だから魔界に名前をつけたそうなんだけどぉ」J「どんな名前やねん」銀「順番に『魔界イ』・『魔界ロ』・『魔界ハ』…という感じねぇ」J「ネーミングセンス無いにも程があるちゅうねんな」銀「で、今は36番目の『魔界ア』まで見つかっているそうよぉ」J「どこにそんなにあるねん」銀「でもぉ、マスター曰く『残念だけど、そのほとんどが本物の魔界じゃない』だそうよぉ」J「魔界にパチモンとかバッタモンとかあるんかい」銀「学会員は『似非魔界』と呼んでいるわぁ」J「もう何てツッコんだらええねんか分からへんわ」銀「でもねぇ、21番目の『魔界ナ』だけは唯一、本物の魔界と目されているんですってぇ」J「何を基準にほんまもんパチモン言うてるんや」銀「で、その21番目の『魔界ナ』は、他の魔界と区別して『本魔界』と呼ばれているそうよぉ」J「………」J「ほんまかいな……」~了~
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