第三回「スポーツと僕」
もしも蒼星石がツンデレ好きだったら第三回「スポーツと僕」紅「あら、蒼星石。まだ帰らないの?」蒼「やぁ、真紅。いやさ、そろそろ帰宅部を卒業しようかな、と思ってね。」紅「何か部活を始めようと言うのね。オタクなあなたが、一体、どういう風の吹き回しかしら?」蒼「実は、昨日の深夜アニメを見た時、スポーツの中には究極の萌えが存在するかもしれない事に気付いたんだ。僕は、変わるかもしれない…。」紅「の〇ピー騒動にも劣るくだらない理由ね。まぁ、脱帰宅部は悪い事ではないけれど。」蒼(来たっ!挨拶代わりに軽くジャブを飛ばすとは…流石は僕が認めたツンデレ…。今日も楽しみにしてるよ……。)紅「そう言えば、最近、翠星石を見掛けないけれど、グレてでもいるのかしら?」蒼「ここだけの話なんだけどね。彼女は自宅で修業中なのさ、君に負けない為にね。」紅「修業…?どうせくだらない理由でしょうに。留年しないよう程々にね、とあなたから言っておきなさい。学業だって決して暇なものではないわ。」蒼(ん~イマイチかな。どうも最近、真紅はデレのキレが悪いような気がする。)蒼「彼女が男子剣道部の部長…?どういう事だい?」ベ「いや実はな、剣道部員は男子が3人、女子が2人という少人数の中、合同でやってるんだ。」笹「恥ずかしい話だが、彼女の実力は俺達とは比べ物にならないくらい遥かに上だ。その為、男子も含めて仕切ってんだよ。」ベ「このままじゃ団体の試合は無理。だから部長は部員集めに躍起になってるんだが…」笹「以前はそれなりに多かったんだけどな、部長が入部してから、所属してた部員達は、みんな彼女の鬼っぷりを目の当たりにした途端、次々とやめて行き、更に、その噂がたちまち広まり、今では誰も近寄りたがらない部になっちまったのさ。」蒼「彼女はツンツンの塊というわけか。普段、見てる限りではカタツムリのようにおとなしい生物だと思ってたんだけど…。そう言えば、あと1人の女子は来てないのかい?」ジ「ハンドル握ればなんとやらだよ…。あぁ?副部長か…。あいつなら…。」巴「私語はそこまで。練習開始よ。早く面を付けなさい。副部長はまた来ていないのね……まったく、こまった子……。」ジ&ベ&笹「は、はいっっ」蒼(凄いツンだな。デレの入る余地が全く無い…。) 巴「あなた、入部希望者?」蒼「いや、まだ決めてないんd…ですけど…取り敢えず、部の見学をさせてください。」巴「そう…それなら、ゆっくり見ていくと良いわ。」蒼(これは凄まじいツンの波動だ…!同い年なのについ敬語を使ってしまう…!)巴「さぁ、かかってきなさい。」ジ&ベ&笹「はいっっ」蒼「えぇ!? 3対1ですか!?しかもいきなり練習……運動部は走り込みが基本では…。」巴「これでも練習にならないくらいよ。それに、足腰なんて普段から鍛えていれば良いものよ?」蒼「部長は面や小手を付けないんですか?」巴「必要ないもの。」ジ「やあぁぁあああ!!!!」巴「これでは駄目ね…胴。」バキィ!!ジ「ぐはぁっっ」蒼(ふ、吹っ飛んだ!?)ベ「スキありぃぃぃいやあぁぁあ!!!!」巴「スキだらけ…面。」バキィ!!ベ「ぶぐぅほっっ」グキッ!蒼(なんか、変な音も聞こえたんだけど……。)笹「邪ッッ!!チェリャアッッ!!!」巴「やる気あるの?」バキィ!!笹「!!!!」蒼(呻き声も上げずに倒れた…!?)ジ「ゲホッ…ゲホッ…!」ベ「た…倒れた首が起こせん……。」笹「…………。」巴「何してるの?早く、かかってきなさい。これでは情けないわ…。」ジ「く…まだまだぁ!!」ベ「うおぉぉぉお!!」笹「…………。」「ぐふぅっっ」「ぴぎぃっっ」「…………。」「があぁっっ」「ぺぼらっっ」「…………。」「うぐぅっっ」「ばぼふぅっ」「…………。」「ぐげぇっっ」「ぱびんっっ」「…………。」、、、、―数時間後―ジ「あ…ありがとうございましたっっ」ベ「あ…あひひゃひょうふぉひゃいはひはっっ」笹「…………。」巴「やはりまだまだ練習不足……いえ、それ以下ね。明日も遅れずに来なさい。さようなら。」蒼「ちょ、ちょっと待ってください、柏葉さん!」巴「なにかしら?」蒼「これ程、ツンのオーケストラを繰り広げておきながら、デレが皆無とはどういう事ですか!」ジ「な、何を言ってるんだ?蒼星石…。」ベ「ふぉうひょう…。」笹「ん…ここは…?」蒼「こんなの、上等な料理に蜂蜜をぶちまけるが如き行為に他なりません!」ベ「そいつは違うぜ、蒼嬢。俺達が何故、こんな目に遭っても彼女に付いて行くかわかるか?」ジ「おまっ…歯ぁ抜けてたのになんで急に喋れんだ!?」べ「代えの入れ歯さ。蒼嬢、何故なら俺達は、彼女は弱い俺達に強くなって欲しいと心から思っている、という事を死ぬほど理解してるからなんだ。だから俺達は、どんなにキツくても彼女に付いて行くし、何とかして強くなろうとしている。つまり、俺達と彼女は壊れる事のない絆で結ばれているんだ。」笹「なんだ…もうこんな時間か…。つーか、なんでベジータは寒い台詞を恥ずかしげもなく喋ってるんだ?」蒼「なんで…?ツンばっかりでデレがないんじゃ、まったく萌えないじゃないか…そんなのツンデレじゃないよ!」巴「それは……違います……。」蒼「そんなの嘘だ!僕が見た限り、あなたはまったくデレていなかった。それでどうしてツンデレと言えよう!?」巴「ツンは、刺々しい態度を言います。時には相手を傷つけたりヘコませたりする行為でしょう。それでは、デレとは?」蒼「え……?」巴「デレは、相手に好意を示す事をいいますが、態度や言動で好意を示す事だけがデレなのでしょうか?」蒼「ち、違うのかい…?じゃあ、デレって何なんだ…?わからない……。」巴「あなたが、デレと見立てたものは、求めてやまないツンデレとは、そんなに単純なものだったのですか?そんなにちっぽけなものだったのですか?」蒼「……?」巴「我がデレは、ツンとひとつ……。」蒼「……!」巴「故に、デレは無くとも良いのです。」ベ「つまり《無デレ》だ。」ジ「話にまったくついて行けないんだが…。」笹「おい、終わったんなら早く帰ろうぜ?」蒼「そうか…デレをツンの中に生かす境地《無デレ》。それを極める事は、究極のツンデレや萌えの天下無双への道となるかもしれない……。現に、柏葉さんは《無デレ》の境地で恒久の絆、つまり永遠なる萌えを確立している……。柏葉さん!いえ、先生!僕を剣道部員に……あなたの弟子にしてください!!!!僕もあなたについて行きたい!!!!」ベ「うん、うん…。」ジ「良いのか?これで…。」笹「帰り、マック行こうぜ~。」巴(なんだか、よくわからないけれど、取り敢えず部員確保に成功……と。)―その頃の副部長はカラオケ中だった―雛「まっだー♪言わっなーいで♪呪ー文めーいたデレ言葉♪愛ーなんて♪ツンのように重い♪」続く
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