+ 休日 +
+ 休日 +(百合要素アリ)日曜日の朝。「ぁ…あの蒼星石…これは何のつもりです?」「せっかくの休日、君と有意義に過ごそうと思ってね」「だから…何故それで押し倒す必要があるのかと言っているのですよ!!」翠星石の怒り声が響く。何度このやりとりを繰り返しただろうか。「ちょっと抵抗しないでよ」ジタバタと暴れる翠星石を蒼星石は必死に押さえつける。しかし尚も翠星石は暴れ続ける。「…仕方ないなぁ」
蒼星石は一息つき、翠星石の服に手をかけた。「そっそうせ…ひぁ!?」服の中に手を潜り込ませそっと腹部を撫でる。翠星石は体から力が抜けていくのを感じた。「やっと大人しくなったね」「…ぁ……」「フフッ……」蒼星石は翠星石の口元に顔を寄せる。そして二人の唇が重なろうとした…その時
重なるまであと数センチというところでインターホンが鳴った。「あの、蒼星石」「何?」「…インターホン鳴ってるですよ」「…こっちの方が大事。それにそのうち諦めて帰るでしょ」なんとも理不尽な考えである。ピンポーン、ピンポーン、ピンポーンしかし鳴り止む様子は見せない。「蒼星石」「…チッ」蒼星石は来客を確かめるため玄関へと向かった。「ふぅ、助かったです(いっ今蒼星石が舌打ちしたような気が…)」翠星石は身なりを整え蒼星石を追いかけた。
「誰ですかね?」「さぁ…」言いながら玄関を開ける。すると「まったく客をあまり待たせないでほしいのだわ」「うふふ~遊びに来たわぁ」「カナも来たかしらー」「ヒナも~」「……」そこには真紅をはじめ、水銀燈、金糸雀、雛苺、薔薇水晶が居た。「また随分と大勢ですね」計五人。五人とも中学からの友人である。
「どうしたんだい?」蒼星石が問う。「あらぁ、さっきも言ったでしょ?遊びに来たのよ」「どうせ暇を持て余してるだろうと思ってカナがわざわざ遊びに来てあげたのかしら!」「へぇ…」翠星石は一瞬蒼星石の眉間が寄ったのを見逃さなかった。「(…目が笑ってないですよ蒼星石)」「とりあえず中に入れてちょうだい」「あっスマンです」翠星石は慌てて真紅たちを招き入れた。
「ヒナね~皆で食べようと思ってうにゅー買ってきたのー」笑顔で話す雛苺。「なんて可愛いのかしらー」みっちゃんのごとく頬ずりする金糸雀。「かっ金糸雀!ほっぺがぁー」「あーもう!静かになさい」「ほら、せっかく買って来てくれたんだから今から皆で食べましょう?」「……水銀燈の…言うとおり…」水銀燈は雛苺から苺大福の入った箱を受け取り一人一個ずつ配った。「やっぱりうにゅーはおいしいのー」「こら雛苺、口にものを入れてしゃべるのはやめなさい」「翠星石」「どうしたです?蒼星石」「口、あんこついてるよ」蒼星石は翠星石の口元についているあんこをペロリと舐めた。「そそそそ蒼星石ぃ!?///」「相変わらず見せ付けてくれるわねぇ」「…いいなぁ…私も…水銀燈に…」「何か言った?薔薇水晶」「…な…何でもない…」頬を染め俯く薔薇水晶。それから中学校時代のことなど他愛の話をし、なんだかんだで五人が帰っていったのは四時頃だった。
「何だか突然の訪問でびっくりしたですが楽しかったですね」「……」「蒼星石?」「よっこらせ」「へ?」ドサッ小さな音を立て翠星石は近くにあったソファに倒れた。それと同時に視界が反転する。つまり蒼星石が翠星石を押し倒した状況。朝とまったく同じシチュエーションである。「あは…あははははは」翠星石の頬に冷や汗が伝う。「思わぬ邪魔が入ったけどよく考えれば一日は長いしね」ニッコリ効果音つきで微笑む蒼星石は何よりも黒く見えた。「…あ…の…その…ですねぇ」「いただきます」この後翠星石はたっぷりと可愛がられ、蒼星石にとってはとても充実した一日となった。終わり 遅くなってすみませんでした;;
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