違う世界でも構わない。
ココロに浸る思い。
それはこらえ切れず溢れ出すでしょう。
流れ星に願いを託しましょう。
きっと届くと信じて・・・。
春は過ぎ去り、いつかは冬が訪れる。
それでも世界は回り続けます。
呪文めいたその言葉。
どうか、あなたの、思うが侭に・・・。
言葉の鎖に縛られた、
儚い想いは籠の中。
心は涙を流してる。
願いを届けられぬまま。
同じ青空見ていたい。
私が恋している限り。
高校生最後の日。
卒業証書を片手に、金糸雀はジュンを校舎裏に呼び出していた。
一人待つ金糸雀にかかる声。
「よう、お前はみんなと写真撮らないのか?」
そっけない言葉。とことん鈍感な男だ、と溜め息をつく金糸雀。
それでも彼女の鼓動は速く、切なく揺れていた。
深呼吸。ジュンの瞳を見据える。
心は決まっていた。
伝えたいことは、ひとつ。
「ジュン・・・、カナはあなたのことが・・・好きです。」
普段とは違う声。そして彼にとっては意外だったその言葉に、ジュンは言葉を失う。彼等の周りには、通り抜けてゆく春風の音のみ。
・・・・・・・・・・・・。ジュンは驚いたような表情をし、すぐに俯いてしまう。「ごめん、金糸雀・・・。僕は・・・。」
そう言い続けようとするジュンを制止する金糸雀。「謝らないで・・・。ジュンには笑っていてほしいかしら。」
瞳を細め、想いを巡らせる。
『あなたはいつもそうかしら・・・。悪くもないのに謝ってばかり・・・。
答なんて、はじめから分かってたかしら。それでも、どうしても伝えたかった・・・。
カナ、臆病だからずっと言えなくて、 最後の最後にこんな形になっちゃったけど・・・。』
金糸雀は顔を上げ、できるだけ明るい笑顔をつくる。いつも見せていた、最高の笑顔。
「さ! お別れのときくらい笑わないと損かしら!カナは先にみんなのところに行ってるかしら~!ジュンも早く来るかしら!」
金糸雀はその場を駆け出す。
走りながら金糸雀は気付いた。
彼女の頬に、暖かい雫が伝っていたことに。
『あ、あれ?カナ、泣きたくなんかないのに・・・。笑って・・・いた・・いのに・・・。』
堪えきれないそれは、彼女の心を潤していった。
しとしとと降り続く、雨のように・・・。
でも、金糸雀は哀しくても、悲しくはなかった。
大きく息を吸い、何も無い青空を仰ぐ。
とても、とても澄んでいた。
あなたへの恋が沈んでも、
あなたへの愛は霞まない。
心は風に吹かれてる。
白い雲が背を押してゆく。
私が笑顔で
いる限り。
FIN
彼方からの呼び声がすべて届くとは限りません。
ならば待ちましょう。
百年でも、千年でも・・・。
求める運命は、いつか必ず出会うもの。
それが喜びの歌となるか、恐怖の雄叫びと化すか・・・。
扉の向こうを見てみることです。
それは、思いもよらぬ拾い物になるかもしれませんので・・・。
それでは、ごきげんよう。
このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー と 利用規約 が適用されます。
1文字以上入力してください
本文は少なくとも1文字以上必要です。
1文字以上入力してください。