薔薇乙女なスガシカオ
はるのそらわ、おもったよりもずっとひろいの。ひなはともえとさんぽするのがだいすきなのー。なつのおもいでわ、ん~と、ゆうやけぞらがとってもきれいだったのーあきわなんだかさみしいきぶんなのー。はっぱさんがみんなさようならしてるのー。ひなもいつかわともえやジュンとさよならしなくちゃいけないのー……さみしいの。ふゆわともえといっしょにゆきであそんだのー。ともえがかしてくれたマフラーがあたたかかったのー。ともえもひなもあったかいおふろがだいすきなのー。きょうのゆーきときのうのいたみでひとわあしたえむかえるんだって。けどいたいのわいやだからだれかといっしょにひなはいくの。みんなそうよ。しんくだってすいせいせきだってそうよ。みんなでいけばだいじょうぶなの。あしたえむかういみをさがしてるってしんくがいってたの。ともえもじゅんもがんばってるの。だからひなわふたりのあしたにできることをさがしたいの。だからねもうひなわみんなちょっといっしょにいたいの。それがひなのいちばんのおねがいなの。うにゅーよりたいせつな、たいせつなおねがいなの。
「しゅんかしゅうとう」
ただ一つ、私が望むことは寒い日、冷えた手を暖めなさい。あと紅茶もいれなさい。何一つ、未来が見えなくたって貴方がいればいいから。私達がもう少し『愛』についてうまく、話せるときが来たら……二人で一緒に暮らしていきましょう。素晴らしく、素晴らしく毎日が過ぎて、嬉しい時は共に笑い、悲しい時はその悲しみを分け合うのだわ。私と、ジュンがもう少し、愛についてうまく……ジ「……真紅? どうしたんだ、ヘッドホン付けながら僕の顔を睨み付けて」真「……いい曲ね。このCD借りていくわ」ジ「って勝手に持っていくなよ! 」真「……ジュン、私は……」ジ「ん、何か言ったか?」真「……紅茶をいれてちょうだい」ジ「へいへい……」真「……ジュン、私は貴男と愛についてうまく語れる日が来ることを……」真紅式「愛について」
僕が翠星石と別れて暮らすようになってもう一月半が経った。大学を卒業した僕らの進路が別れたのだ。翠星石は自ら希望を叶え、ガーデニングを中心とするお花屋さんになった。彼女は僕も一緒にと誘ってくれたが僕は断った。これは彼女への、そして自分に対してのけじめだった。僕はとある会社に就職した。その仕事は毎日外回りで大変だがとてもやりがいのある仕事だと思う。始め、不安と希望で、そして一人暮らしの淋しさからかなかなか寝付けなかったのも今じゃ懐かしいくらいだ。彼女はよく僕に手紙をくれる。僕がいなくて寂しいだとか、今日は自分が繕った花を喜んでくれたとか。僕はその手紙を貰うたびに嬉しい気持ち半面なんだか寂しい気分になる。なんだか心に雨が降ってしまったように。June、夏が来る気配だけがもう、すぐそこまで近づいてきているよ。June、雨上がりの街には珍しく虹が掛かったよ。June、君に書く手紙には「僕も元気だよ」と書き始めたけど、僕はそれでいいと思うんだ。「June」
私達は位置に着いて、横一列にスタートを切った。長女も末女も関係ない。人生の生き方を決めるのは年齢が絶対的じゃないから。だけど私には長女としての意地があったし、姉妹達の誰よりもすぐれていると自負していた。誰が躓けば、それを馬鹿、と嘲笑った。だけど、それは初めだけ。気が付けば誰かに抜かされている。抜かされまいと足掻きを見せるほど泥沼の様にはまってゆく。誰かを許したり、大切な人を守ったり……今じゃ何一つ満足できない。相変わらず駄目な私。ずっと目指してた理想の私はもう少し格好良かったけど、私が歩いてきた日々と道のりを本当は『私』って言うらしいわ。世界中の溜め息と私と貴女の小さな挫折に捧ぐ。『あと一歩だけ前にすすもう』一歩でいい。だけどその一歩はとても重い。こんな私、蹴りたくなるくらいキライ。ねぇ、私達が目指したのってきっと誰かと同じ色の未来じゃないのよ。誰も知らない世界へ向かう勇気を『未来』って言うらしいの。だから……「真紅、私は……」『だから、あと一歩だけ前に進もう』progress...め「私が貸したCD聞いて水銀燈出ていっちゃった……どうしたんだろう」もしかしたら、とあるアーティストの『前進』という名を付けられたCDを見ながらめぐは思う。彼女は……歩みだしたのかもしれない、と。
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