翠星石短編38
幼女のすいせーせきとジュンにーちゃん翠「にーちゃん、だっこ」ジ「はいはい」ムギュ翠「にーちゃん、ぽかぽかですぅ」ジ(翠星石はふかふかだなぁ)翠「・・・にーちゃん、すいせーせきはおーきくなったら、にーちゃんのおよめさんになるです」ジ「ん? 何か言った?」翠「な、なんにも言ってないのですよ!」ジ「そっか。ところで、そろそろ9時だよ。ねんねしなきゃ」翠「にーちゃんといっしょにねんねするです。にーちゃんと一緒じゃなきゃやーです」ジ「強情だなぁ」ムギュジ「じゃあ、一緒にねんねしよっか」翠「はいです」~翠「すいせーせきがねんねしたあとで、勝手に一人で起きてゲームしちゃだめなのですよ?」ジ「ぎくうっ」ほ
翠「腹がすいたですぅ」蒼「もうお昼だね、何を食べようか?」翠「台所は暑くて、用意するのも面倒ですし、何か頼みますか?」蒼「さっきCMしてたピザでも頼もうか?」翠「良いですね、早速電話するです」蒼「僕がかけるよ」翠「いいから翠星石に任せるですよ」ピポパポ ピ翠「あっあのそのピザを」翠「メニューメニューあっその蒼星石何にするですか?花丸ピザに…」翠「名前は翠星石…あっうっし、しばざきですぅ」翠「住所…蒼星石住所…いやあっ桃種町1ー2ー3」翠「電話…蒼…あぅ0xx-xxx-xxxx…ですぅ」翠「そうですぅ…はいですぅ…お願いしますですぅ」ピ翠「ふぅ、楽勝ですぅ。」蒼「頑張ったね姉さん」
翠「あっちいですねー、寝苦しいったらねーですぅ。たしか冷蔵庫にジュースが残ってたはずですが…」ジ「Zzz…」翠「コイツは…いくら暑いからって台所で寝てるとは…しかも腹まで出して。こりゃー翠星石が一つ世の中の厳しさとやらを教えこんでやりますかね、ひひひ」ゴソゴソ翠「腹に氷をくっつけるものいいですし…朝起きた時のトラップでもいいですねぇ…うーん」ジ「ん…翠星…石…すー…」翠「ほう?翠星石の夢ですか。事と次第ではダメージが倍増するですよ?」ジ「ありが…とうな…いつも…くー」翠「へ!?…え、あの、その…」ジ「Zzz」翠「………」チュンチュンジ「ん…あれ?台所なんかで寝てたのか…お?タオルケットなんて持ってきてたかなぁ…」
翠星石「うーん、んん・・・アツいですぅ・・・」ジュン「ん、起きたか、翠」翠星石「・・・ジュン・・・なんでこんなに部屋が暑いです?」ジュン「お前昨日のこと覚えてないのかよ」翠星石「昨日ですか?///ムフッ ジュンとのとろとろでラヴラヴなエッチしか思い出せないですぅ///」ジュン「・・・昨日、お前クーラーのリモコン壊しただろ」翠星石「そういえばそんなこともあったですか でももう忘れたですぅ!」翠星石「ジュン!暑いです、なんとかするです!」ジュン「お前なぁ~(夜はあんなに従順なのにこの性悪女は)」翠星石「部屋に籠って翠星石を遊びに連れてってくれないジュンが悪いんでっすぅ!」ジュン「だから昨日一日ちゃんと相手してやっただろ?(性的な意味で)」翠星石「ふ~んだ!翠星石は海というところに行ってみたいんですぅ~」ジュン「あ~・・・そういや人間になってからまだ一度も海いってないな」翠星石「ですぅ!だからさっさと翠星石を海へ連れてくですこのチビ人間!」ジュン「お前も人間だろ・・まぁいいか どうせ暇だし色々練習もかねて少し遠出してみるか」翠星石「!! やった~ですぅ~!じゃぁさっそく用意を あ゛ぁ」ジュン「ん?どうした」翠星石「水着がないです・・・」ジュン「あぁ そうだったな でも俺金ないぞ・・・」翠星石「うぅ・・ グス」ジュン「姉ちゃんに借りれるか聞いてみる」翠星石「ぐ・・・いたしかたねーです ノリのお古で我慢するですか」ノリ「あら、お二人さん昨日も激しかったみたいね~お姉ちゃんなんだか寂しいわ~」翠星石「な、な、なにを言うですか!あれはジュンがどーしてもっていうk ムグゥ」ジュン「はいはい、な~姉ちゃん、昔の水着とかってない?翠星石が着れそうなの」ノリ「え?私の昔の水着? あったと思うけど・・・」ジュン「あったら貸して欲しいんだ」ノリ「翠星石ちゃんとプールにでもいくのね、わかった探してくる」翠星石「・・・・・・コンチクショウですぅ・・・」ジュン「・・・胸が・・・・ガバガb 痛っ! 蹴ることないだろ!」ノリ「あらあら、これはちょっとだめかしらね また今度買ってあげるから気を落とさないで」翠星石「・・・・・・しかも小学校のスクール水着・・・」ジュン「ぷっ たしかに翠の胸、もみ心地全然ないからなっていってぇぇ!!」翠星石「だまれですぅ!このエロエロ人間!!うわぁああん」ノリ「だめよ~ジュンくん 女の子のこといじめちゃ」ジュン「むぅ・・悪かったな(・・もう人形サイズじゃないんだからいい加減手加減覚えてほしい)」ノリ「それじゃ~お姉ちゃんお買いもの言ってくるから仲良くしてるのよ~」ジュン「いつまで水着のまま押入れに入ってんだよ」翠星石「・・・・」ジュン「大きくなってカバンに入れないからって押入れに籠ることないだろ」翠星石「・・・・」ジュン「悪かったって、あやまるから」翠星石「・・・・」ジュン「・・・そこネズミいるぞ」 ガタン!翠星石「・・・・」ジュン「・・・・」ジュン「俺は・・・胸ない翠も 好きだぞ」翠星石「・・・・・って・・・ぃ・・ですぅ・・・」ジュン「ん?」翠星石「・・・愛し・・るって言え・・・・ぅ・・」ジュン「あぁ 愛してるぞ翠星石」 ガラッジュン「お、出てきたか うおっ」 んちゅ、れろれろ むち゛ゅぅ~ ちゅっちゅぅ~ち゛ゅっ んん んむぅ~・・・・・・・・翠星石「・・・胸の小さい人間は嫌いじゃないですか?」ジュン「・・・あぁ」翠星石「・・・ほんとは大きいほうが好きなくせにぃ!」ジュン「胸じゃなく俺は本当に翠星石が好きなんだよ」翠星石「!ジュン、愛してる!!」
翠「福田総理電撃辞任会見ですか…」蒼「随分と突然だなぁ」翠「TVも特別番組を放送してるですよ」蒼「ちょっとした騒動みたいになってるね」翠「やっぱりみんな注目してるんですかね…」 (――翠星石も記者会見をしたら注目されるですかね? でも私は総理じゃないですし、電撃的なことは…。 はっ!電撃といえば結婚ですぅ。芸能人がよくやってる電撃結婚があるですよ。 『噂の美少女・翠星石、電撃結婚!お相手は同級生の桜田ジュンさん!!』とか……。 ――って、なんでチビが出てくるですか?す、翠星石は別に…)蒼「翠星石、急に黙ったりしてどうしたんだい?」翠「へっ?な、なんでもねぇですよ…。別に電撃結婚とかは考えたりしてないですぅ」蒼「結婚?それはどういう事なのかな?! これはじっくりと話を聞かせてもらわなければいけないね…」――この後、翠星石は蒼星石から色々と質問責めにあったそうです…。
新学期が始まって数日。気晴らしに私は夕方の散歩に出掛けた。随分と過ごしやすくなった外の空気で夏休み気分を換気してしまおうという魂胆…というか建前。本当は夏休み気分なんてもうとっくに霧散してしまっている。休み前とでは学校の雰囲気が明らかに変わってしまっていたからだ。部活動もこの夏で引退となり、いよいよ高校受験に向けた勉学の日々がそこには待ち受けていると覚悟はしていたものの。私の覚悟はクラスメイト達に比べるとどうやらかなり浅いものだったらしく。なんだか場違いなキャラクターでさんざん空回りをしたこの数日間。はぁ。とため息をついてみると後ろから ワン! と、大きな犬の鳴き声がした。驚いて振りかえるとどこかで見たような犬がこちらに走りよってくる。「えと…ホーリエ?でしたっけ?」クラスメイトの真紅の飼っている大型犬。数回見た程度だが嬉しげに返事をするようすを見るに間違いないらしい。「おまえこんなところで何してるです?まさか真紅から逃げてきたですか?」ふと頭に澄まし顔のクラスメイトの顔が浮かんだ。「まぁ気持ちはわからんでもねーですね。」そういってこぼれた笑みは今日はじめてのものだったかもしれない。「まてー」頭を撫でてやっていると角を曲がってこちらに向かってくる人影があった。ちょうど沈みいく太陽が重なってしまった逆光状態のため誰かまでは判別できない。……声は男の子のものだ。 「ホーリエ!よかった…置いていくなよも…うげっ!」逆光に目が慣れてくる。慣れなくても反応でわかっただろうけれど。「桜田ジュン…」てっきり真紅が現れるものと思ったが、目の前には別のクラスメイトの姿があった。おそらくまた真紅にいいように使われているのだろう。情けないやつですぅ。「情けなくて悪かったな!ほっとけ性悪!」ついつい口に出てしまっていたらしい。悪いことをした、本当のことを言ってやるのは可哀想だというものだから。それにしても真紅には従順なくせに私にはめちゃんこ逆らってくるメガネチビ野郎。相変わらず可愛くないやつ。「これでよし」ホーリエの首輪にリードを取り付けてジュンはようやく息をつく。黙ってその光景を見ていた私に視線を向けた彼はなんだかいぶかしげな表情をつくる。「?なんですか?」そう問いかけると彼の表情はまた少し変わって…「なんかちょっと…オマエ元気なくないか?」 ドキリとした。ズバリ今の私の状態を当てられたからとかそういうことじゃなくて。彼の表情がはじめて見るものだったから。ドキリとした。「な、ななっなんですかっその顔は!チビ野郎なんかに心配されるとは心外ですぅ!」慌てて絞り出した憎まれ口はいたく彼の感情を逆撫でてしまったらしく彼の表情は見慣れたものに変わった。「はいはい。チビでわるぅございましたね。」そう言うや踵を反して立ち去ろうとするジュン。「あっ!待つですぅ!」何故か私は条件反射のようにホーリエの首輪に手を掛けて食い下がった。「キャイン」リードを引っ張るジュンと首輪に手を掛けた私の板挟みにあい苦しげな声を出すホーリエ。「あっ!こら何してんだよっ!」振り向いたジュンの顔は驚きに染まっていた。「えっ?あわわわ」慌てて首輪を放した私はホーリエの頭を撫でる。「スマンですぅ、ホーリエ痛かったですか?」 ホーリエはなんてことないとばかりに柔らかい表情で私を見てくれる。「ったく…やっぱりオマエ今日ちょっと変だぞ?学校でだってなんだか浮かない顔だったし」その言葉に私は視線を上げてジュンを見つめる。「私のこと見てたですか?」「み、見てたっていうか見えたっていうか。」「そうですか見てたですか」「見・え・た!見えたの!」顔を赤くして必死に弁明する姿がなんだか可愛くて私は思わずクスクスと笑みをこぼしてしまう。「顔真っ赤ですぅ♪」「オマエだって真っ赤だよ!」「私のは夕日が当たってるだけですよぅ♪」「そ、そんなことあるか」言葉と同時にぐいっと前に出てきて自分の身体で影を作ろうとするジュン。「な!?」「ほらやっぱり真っ赤じゃないか!」 あまりにも近くに迫った彼の顔にふたたびドキリとする。にこりと嬉しげに笑う表情がほぼ至近距離。こんなの顔が赤くなるにきまってる。「?…どうした?」いつもならもっと口撃を返すはずの私にまたまた違和感を感じたのだろう。でも私はどうしても言葉を返すことができない。どきどきと鳴り止まない心臓。見上げたままに固定されてしまった視線。冷静を装った思考回路もおかしくなってしまったのがまるわかりだ。眼鏡で隠れてたけど瞳は綺麗じゃん、とかなんだ私より背は高いんだ…良かったぁ、とかもうそんなことしか考えられなくて、それがおかしなことだという考えだって起こらないものだから…ふと我に帰った頃には私は少し背伸びをして彼に口づけをかましていたのだった。それからのことはあまりよくわからない。走って逃げたことと帰るなり部屋に閉じ籠もっていること、食欲がないことと今も顔が真っ赤に染まったままだろうということは間違いないだろう。ただまったくわからないことが一つだけある。それは私が桜田ジュンに恋をしてしまったのかどうかということ。好きかどうかもわからない全てが衝動で、全てが幻であったような感覚の中ただはっきりと残る唇の感覚にもだえ、私は一人時節遅れの熱帯夜を過ごすのであった。
ある日の放課後、翠星石が教室で本を読んでいた。そこにJUMがやって来て――。J「へぇ~、お前も読書とかするんだな」翠「な、なんですか、その珍しいものを見たみたいな言いぐさは!」J「いや、実際珍しいからさ。何を読んでるのか気になったんだけど――。 『彼に作ってあげたいお弁当レシピ』か…」翠「勝手に盗み見するなですぅ!」J「お前、そういう相手がいるのか?」翠「そりゃあ、翠星石も年頃の乙女ですから、好きな人ぐらいはいますけど…」J「そうか……」翠「どうしたんです?はは~ん、さては翠星石に好きな人がいることが分かって ショックに打ちひしがれてるって奴ですか?!」J「バ、バカなこと言うなよ!お前に好きな奴がいようがいまいが、僕には一切関係ないんだからな!!」翠「その言葉、そのまま全部お前に返してやるですぅ! もう話してても仕方ないですから、翠星石は帰るですよ!!」J「ふんっ、好きにしろ!」 そんな訳で、この日はケンカ別れした二人だったが、次の日のお昼休みに翠星石がJUMに“ある物”を差し出して――。翠「今日のお昼はこれを食べるがいいですぅ♪」J「いきなり、何だよ?」翠「お弁当ですぅ。昨日のあの本を見て作ってやったですよ」J「えっ?」翠「…まーったく、本当に鈍感な奴ですね!お前を…JUMを 翠星石の恋人候補に選んでやったって言ってるですよ。 お弁当を受けとるのか、受けとらないのか、早く決めちまえですぅ」J「分かったよ…。お弁当も、翠星石の気持ちも受けとらせてもらうよ」翠「…本当ですか?翠星石でもいいんですか?!」J「うん。ありがとう、嬉しいよ」翠「…はいですぅ(///)。そうと決まれば、明日からは毎日お弁当を作ってやるですから、 ちゃんと食べるですよ!」
僕が翠星石と別れて暮らすようになってもう一月半が経った。大学を卒業した僕らの進路が別れたのだ。翠星石は自ら希望を叶え、ガーデニングを中心とするお花屋さんになった。彼女は僕も一緒にと誘ってくれたが僕は断った。これは彼女への、そして自分に対してのけじめだった。僕はとある会社に就職した。その仕事は毎日外回りで大変だがとてもやりがいのある仕事だと思う。始め、不安と希望で、そして一人暮らしの淋しさからかなかなか寝付けなかったのも今じゃ懐かしいくらいだ。彼女はよく僕に手紙をくれる。僕がいなくて寂しいだとか、今日は自分が繕った花を喜んでくれたとか。僕はその手紙を貰うたびに嬉しい気持ち半面なんだか寂しい気分になる。なんだか心に雨が降ってしまったように。June、夏が来る気配だけがもう、すぐそこまで近づいてきているよ。June、雨上がりの街には珍しく虹が掛かったよ。June、君に書く手紙には「僕も元気だよ」と書き始めたけど、僕はそれでいいと思うんだ。
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