巴メイデン231~240
231雛「トモエー、これあげるのー!」巴「え?これは…映画のチケット?」雛「そうなの、これでジュンと一緒にデートするといいの!暗闇の中で二人は急接近して、きっと…」巴「え、デデ、デートって…あ、いや…私、その…一応人形ってことになってて…」雛「そんなのどうにでもなるのよ!(cf:107)それじゃあ早速ジュンを誘って…」 巴「ちょ…そんな…っていうか、これ雛苺のでしょう!?ほら、もらっちゃ悪いし……」雛「うゅ?もらい物だから遠慮しなくていいのよ」巴「もらいもの?誰からもらったの?」雛「えっとねー、フランスから来たオディールっていう巴くらいの子がくれたの! オディールいっつもいろんなものくれるのよ、お菓子とか…」巴「……雛苺、もうその人に会っちゃダメよ」雛「うぃ?どうして?」巴「その人はね……雛苺のことをさらって食べてしまうつもりなのよ!」雛「ほぇ!?」巴「フランス人はゲテモノ食いだから」雛「ええ!?でも、オディールはそんなことしないのよ~!」巴「甘いわ雛苺。フランス人なんてわがままであまのじゃくで協調性のかけらもないの。そうに決まってるわ」雛「へ、偏見よトモエ…それにオディールは……」巴「だいたいもので釣ろうってところが気にくわないわ。愛もお金で買えると思ってるんじゃないかな…」雛「え~……そんなことないと思うの……」巴「それにしてもこんないたいけな小さな子を…きっとオディールは根暗で友だちがいないのね」雛「トモエ……その……」巴「自分に構ってくれる人がいないものだから、無垢で優しい雛苺を…最低…」雛「あう~…」オ「雛苺に会おうと来てみたら…知らない人が私のことボロカスいってる……」
232巴「映画のチケット…前回からなんだかんだでもらっちゃった…あとは桜田くんを誘うだけ……ねぇ、桜田くん」J「ん?なんだ、柏葉」巴「その……今度の日曜日にね……」J「日曜日に?」巴「え…」J「え?」巴「え…え…」J「うん」巴「英検の参考書を買いにいくの」J「そうなんだ」巴「そうなの」J「……」巴「……」巴「失敗した。桜田くん微妙な顔でこっち見てた。ひどい屈辱…」雛「どっちかっっていうとそれはジュンの方だったと思うの」
233巴「オディール?あ、雛苺にちょっかいだしてるフランス人…。 いくら友だちがいないからって、小さい子に手を出すようになったらおしまいね。 フランス人はプライドが高いというけれど、彼女にはそんなものなんてないみたい」雛「う、うぃ……」オ「巴さんって、あの黒髪でなきぼくろのある? ……地味で暗そう、いかにも日本人って感じだわ。きっとユーモアなんて理解できないんでしょうね。 あの子雛苺に相応しくないわ、一人でお茶でも飲んでたらいいのよ」雛「あ、あぅー……」J「へぇ?そんなに仲が悪いのか?全然そんな風に見えないけどなぁ…ほら、今も」巴「フォッセーさん、おはようございます」オ「ふふ、オディールでいいですよ。おはようございます。今日も一日頑張りましょうね」巴「ええ、それじゃまた」J「仲良さそうに挨拶してるし」雛「……トモエ、今、オディールと会ったみたいだけど…」巴「おはよう、雛苺、桜田くん。そうね、会っちゃった」J「え?会っちゃったって……嫌なのか?」巴「嫌っていうか……」J「いや、いい……表情でわかった。僕にはやっぱりヒキコモリがお似合いだということもわかった。社会は厳しい」雛「こ、こんな関係ばっかりじゃないのよ?」
234巴「宝くじ…当たるかな」J「買ったのか」巴「……父が意外とこういうの好きで」J「そうなんだ。うちも今年はちょっと買ったみたいだ」巴「当たったらどうしよう……」J「すごいよな、3億とか……考えただけで夢が広がるよ」巴「そうね。ふふ、桜田くんなら、どんなことに使う?」J「僕?そうだなぁ…時々コンビニに行ったりはするんだけどさ、ファーストフードあるじゃん、からあげくんとか。 あれを心ゆくまで食べてみたい。高いから普段は遠慮しちゃって…」巴「発想がすでに貧乏くさい」
235巴「柿崎さんは、いつくらいに水銀燈と知り合ったんですか?」め「そうねぇ……あれは忘れもしない、雪の降る、クリスマスの夜のことだったわ」巴「ロマンチックですね」め「その日はひどく肌寒くてね、私はそのときも病院にいたんだけど、なんだか嫌になっちゃって、 ほら、クリスマスっていろいろあるじゃない。教会に行けばお迎えがくるかしら、なんてバカなこと考えたのよ。 ほんと寒かったわ。当たり前よね、部屋着だもの。まぁ、このまま教会の中で凍死するのも、それはそれでいいかな、なんて思ったりね。 そうしたら、教会の前で、一人で涙ぐんでる女の子がいたの」巴「その子が水銀燈?」め「そう。そのときあの子が言っていたことは、今でも忘れられないわ……」巴「どんなことを言ってたんですか?」め「それはね――――」銀「なによなによなによぉ!クリスマスパーティーやってるなんて私聞いてなかったわ! みんなして水銀燈のこと仲間はずれにして…ヒクッ…。 ふ、ふん!いいわ、そんな幼稚なこと、こっちから願い下げよ、ふん…くだらない、くだらないわぁ…!えぐ…うぅ…」巴「なんか生々しいんですが」め「私もねぇ、ほら、ずっと病院に閉じこもって、友だちなんてできたことなかったし、親との関係もよくないし、 もうバリバリシンパシー感じちゃって…これもう運命?みたいな」 巴「そ、そうですか……」め「ちなみにあなたと桜田くんもけっこう好きよ?」巴「マジですか」
236巴「具合はどう?」J「ぼちぼちだけど、なんでそんな服着てるんだよ」巴「桜田くんが風邪ぶり返したっていうから」J「たしかにそうだけど、だからって柏葉がナース服を着る必要は……」巴「私、かたちから入るタイプなの」J「そういう問題じゃ……まぁいいや。実際辛いんだ、鼻水とまらないし、喉痛いし、熱まで出るし……」巴「どうしよう……私のナースコスが、熱が出るほど桜田くんを興奮させちゃったなんて……」J「人の話聞いてたか?」巴「その上部屋にティッシュが散乱してるし……」J「鼻かんでるからな。後で片づけるよ」巴「もう…いくらたまってたからって…安静にしてないと、だめじゃない…」J「風邪だって言ってるだろ。頬赤らめるなむかつく」紅「巴の言動よりも、ジュンがいつになく辛辣なことの方が気になるのだわ」蒼「しんどいときに変なこと言われると本気で腹がたつからね」
237巴「風邪、まだなおらないの?」J「ああ、ゲホゲホ」巴「…そのうえ、お姉さんも風邪ひいたって聞いたんだけど」J「そうなんだ……僕の風邪うつしちゃったのかも……ケホッ」巴「だいじょうぶ?……私もずっといるわけにもいかないし、誰か他に看病できる人は……」J「別に寝てれば治るだろうし、いいよ。それに、みんなも風邪ひいたみたいで……」巴「え?そうなの?」J「ああ。水銀燈は前からずっと風邪ひいてるし(cf:224)、雛苺もまたこじらせたみたいで、 最近真紅や翠星石たちも熱が出たらしい。これも僕がうつしたのかも……なんだか申し訳ないよ……。 薔薇水晶とかは元から体弱いから、この時期はしょっちゅう風邪ひいてるし」巴「え……じゃあ、元気なのって、私だけ……」J「そうかもな。柏葉って昔から体じょうぶだよなぁ……」巴「みんな風邪ひいてるのに…私だけが……」J「ん?」巴「……私、ちょっと本格的に風邪ひいてくる」J「変なとこで競うなよ日本人」
238J「ガラガラ…ペッ」巴「どうして家にいるのにうがい?」J「風邪治りかけはいいんだけど、相変わらずのどが痛いのなんので…」巴「痛くなってからうがいしても遅いよ…」J「そうなんだけどさ…何もしないよりかはマシだろ?」巴「まぁね……でも、寝てた方がいいんじゃない?」J「うーん…そうはいっても、もう熱はひいたし」巴「ほんとうに?」J「ああ」巴「それじゃ、確かめるね」J「え?確かめるって…か、柏葉!?」コツン巴「…………」J「…………」巴「まだちょっと、熱があるよ」J「……柏葉のおでこも、熱いよ」巴「……うん、だって……」J「だって……?」巴「私、風邪ひいたの!ついに!頑張ったわゲホッゲホ」J「寝ろよ」
239巴「ねぇ、雛苺…」雛「ダッ」巴「ひ、雛苺…!?ど、どうして逃げるの……」J「そりゃお前、風邪ひいてるから……」巴「マスクしてるからうつさないよ」J「いや、それなんだけどさ……」巴「なに?」J「柏葉のマスク姿、どことなく歯医者っぽいんだよな……」※【お願い】【笑って…】>>184さんが便乗してくれました。巴短編6の9つめ
240巴「さてと…もう冬休みだね」J「はいはい関係ない関係ない」巴「……桜田くんは、年賀状書いた?」J「それはひょっとして嫌味で言ってるのか?」巴「ご、ごめんなさい…そんなつもりじゃ……」J「誰も僕に年賀状なんて送らないだろ」巴「そ、そんなことないと思うけど……」J「……まぁ、真紅や翠星石は……送ってくれるか……」巴「え、うん……それに……」~~回想~~梅「みんな、明日から冬休みだけど……先生、みんなに年賀状送るからな! みんなも是非先生に送ってくれ!」巴(またか……)梅「それと、桜田のことだけど…先生、桜田にみんなで年賀状送ったらどうかと思うんだ。 桜田は一人じゃないんだってことを教えてやるんだよ。うん、これはいい、先生も送ろう! それじゃあみんな頼んだぞ、先生との約束だ!」~~回想終わり~~巴「……ごめんなさい、桜田くん……私には、どうすることも……」J「え?なにが?」
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