Another RozenMaiden 第10話 激突
Another RozenMaiden 話10話 激突 雨脚が強まり、突如雷が鳴る。その轟音を戦いの合図とし、紅「はっ!」気合と共に飛び掛ってくる真紅。銀「飛び込んでくるなんて、おばかさんねぇ、真紅ぅ!」これに対し、私は両翼を開いて無数の黒い翼を飛ばす。荒れ狂う翼の渦。私の攻撃に気づいた真紅は、とっさにステッキから無数の薔薇の花弁を生み出す。紅「この程度!無駄よ!」真紅は、すかさず花弁を身に纏い私の翼を受け止める。全身に纏う花弁を盾に、尚も荒れ狂う無数の羽根の渦を強引に突破する。私との距離を詰める気だ。気づくのが一瞬遅く真紅に詰め寄られてしまう。この隙を逃さず、真紅がステッキを一閃する。銀「やるわね!真紅ぅ!」とっさに上空へと浮き上がり、真紅の攻撃をやり過ごす。紅「水銀燈!逃がさないわよ!」かわされるや否や、地面を蹴り上空へと舞い上がる真紅。私は一気に距離を詰められ、戦いは接近戦に持ち込まれてしまう。銀「しつこいと嫌われるわよ!」私は虚空に手を伸ばし、指先に自分の羽根を集める。羽根は一本の剣に変わり、私はそれを取る。紅「はあっ!」ガキイィィン!気合の篭った真紅の一閃を受け止め、銀「喰らいなさい!」返す刃でそのまま真紅を狙う。打ち合いのまま、二人戦いは膠着してしまう。そんな戦いの最中、真紅が私に問いかけてくる。
紅「何故、貴女はJUMを傷つけるの?」銀「真紅ったら、本当におばかさんねぇ。私はJUMを気に入らない。ただそれだけよ!」言葉と共に、私は渾身の一撃を真紅目掛けて打ち込む。紅「嘘!私は見たわ。貴女がJUMを避け始めてから、 JUMの名を呼びながら泣く貴女の姿を!」真紅が打ち返してくる。私はその一撃を剣で受ける。とても重い。銀「黙りなさい!だったら何だと言うの?今更、戻れる訳がないわ!」紅「戻れるわよ!JUMは、まだ貴女のことを愛している!」銀「!!」JUMは私より、蒼星石を選んだのではないの?私は真紅の言葉に気を取られ、一瞬隙を見せてしまう。その瞬間、私の剣目掛けて真紅がステッキを一閃してくる。力を失った私の剣が、ステッキの一撃で折れてしまう。ステッキはそのまま勢いを落とさず、私のわき腹に命中する。紅「水銀燈!」一撃を受けた私よりも、真紅の方が驚愕を露わにしている。銀「うっ!」肺から漏れる息。体が急降下をし始める。私はまだ負けていない。私は両翼に力を込めた。
少し時間を遡ったJUMの部屋。先程から何かを叩く音が微かに聞こえる。JUM「風か?」机を向き勉学に集中すれば、その音が耳につき集中力を解かれてしまう。苛立ちに顔を上げるが、音の出所は分からない。不意にJUMの視界、窓の先に赤い光の塊が横切る。JUM「あれは・・・・・・真紅の人工精霊。」JUMはペンを走らせる手を止め、窓を開ける。JUM「寒いのか?」窓を開けたものの。ホーリエはJUMの部屋に入ろうとはしない。替わりに、ホーリエは突如強い光を放つ。JUM「うわっ。」閃光に目を閉じるJUM。赤い光がJUMの心に流れ込む。突如、暗く沈んだ真紅の表情がJUMの心に浮かぶ。JUMはその表情に見覚えがあった。それは真紅の想いを拒絶したあの瞬間。JUM「真紅・・・・・・・・。」心が痛み、JUMは思わずその名を呟く。JUMの言葉へ応えるかのように幻影の真紅が口を開く。紅「今から学園に来て・・・・・・お願い。」JUM「今からって、こんな時間なのにか?」問いかけるが、幻影である真紅は答えない。答えの代わりに、幻影の真紅はその手を伸ばすとJUMに頬に触れる。すると、その表情からは想像もつかないような暖かさがJUMの胸にこみ上げる。JUM「真紅・・・・。」JUMの呼びかけに反し、次第に薄れ消えてゆく真紅。赤い光が消え、気がつけばホーリエはJUMの前から姿を消していた。JUM「今からって・・・・今、何時なんだよ。」時計が示すのは午前0時。JUM「0時か・・・・。まさか、本当に学園で待っていたりしないよな・・・・。」机に戻ろうとするJUM。しかし、先程の真紅の表情がJUMの脳裏に蘇る。
JUM「・・・・世話の掛かる奴だ。」JUMは悪態を吐くと、出かける支度を始める。支度を終えたJUMは水銀燈の部屋の前に立つ。部屋の扉は半開きだ。JUM「水銀燈、起きているか?」中を覗かないよう注意して声を掛ける。応答が無い。少し待ってみるが、一向に返事が返る気配は無い。JUM「寝たのかな。」半開きのドアから、部屋の中を覗き込む。白、黒、灰色。モノクロ調の世界が目に飛び込んでくる。しかし、そこには白黒の世界を彩るべき者の姿は無い。JUM「居ないのか・・・・。」JUMは部屋を後にし、階段を下りる。玄関に着いた時、水銀燈の靴が無いことに気がついた。JUM「出かけているのか・・・・!?」再びJUMの脳裏に真紅とのやり取りが蘇る。JUM「・・・・・・まさか!」JUMは玄関を飛び出す。突如雷が鳴り、一挙に雨脚が強まる。JUMは傘を掴むと、それを開きもせず学園に向けて走り出す。運命の輪は既に回り始めていた。Another RozenMaiden 第10話 激突 終Another RozenMaiden 第11話 愛情 に続く。
このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー と 利用規約 が適用されます。
1文字以上入力してください
本文は少なくとも1文字以上必要です。
1文字以上入力してください。