再会 三番目
コンクリートジャングルの広がる都心。 時刻は、丑の刻。 灯りも街灯以外の灯りは、殆どなく…… 時たま、下の自動車道を自動車が通り過ぎるだけ。 夜空には、妖しく蒼白い光を輝かせる満月。 月輪の下で、何かが飛ぶ。 その何かの影は、二つ。 一つは大きく。一つは小さい。 その二つの影は、ビルの壁へと着地し重力を無視した形で立ち上がる。 対峙する大きな影と小さい影。 大きな影の口から、不可思議な音が漏れる。 それを合図として、小さな影が最初に動いた。 小さな影の手には、巨大な戦斧。 その戦斧が、大きな影目掛けて振り下ろされるが…… 大きな影は、軽くビルの壁を蹴り宙に舞い、戦斧の攻撃を嘲笑うかのように避ける。 宙に舞う大きな影の背から、コウモリの様な翼が生えると大きな影は、相変わらず口から 不可思議な音を漏らしながら、蒼白い月が浮かぶ夜空へと消えた。 小さな影は、巨大な戦斧を担ぎなおしつつ大きな影が消えた方を見て小さく舌打ちをした。 ため息を一つつき、ビルの壁を軽く蹴ると小さな影も同じように夜の空へと消えるのだった。 『今日、東京都×××の×××の路地裏で、大量の血痕が見つかりました。 現場に、遺体等の存在は確認できず……警察は、血痕の量から殺人事件として捜査を開始しました。 また、血痕から血痕が残された時間が深夜と言う事で…… 警察からは、深夜の外出は控えるようにと、注意が各所で呼びかけられているます。 では、次のニュースです。 奈良県の××山に祭られていた……』 ブツンッと、テレビの電源が切られる。「やれやれかしら……」 テレビのリコモンを持ったまま金糸雀がため息をつく。 コトッと小さな音を立てリモコンをテーブルの上に置くと足元に置いてあった鞄を手に取り そのまま自宅を後にしたのだった。(……あれは鬼だった。しかし……黒い鬼など見た事がない……) 歩きながらに、金糸雀は考え思案する。「おはよう。金糸雀」 不意に、後ろから声をかけられ金糸雀は、その場に一時的に止まり顔だけ後ろに向ける。 其処に居たのは、笑顔を浮かべた蒼星石。「おはようかしら。蒼星石」 しばらく、二人の間に会話は無く。ただ、肩を並べて歩いているだけだった。 そんな中最初に口を開いたのは、蒼星石。 「夢を見たんだ」「夢?」「そう、夢。おぼろげだけど……何処か山みたいな場所に僕がいるんだ」 蒼星石は夢の内容について語りながら、金糸雀と肩を並べて歩く。「そして僕は、赤ん坊を抱いていて……目の前に一本角の鬼がいて…… 何かを話しているんだけど、おぼろげで良く聞き取れなかった。 聞き取れたのは、『こうなる運命』と『美衣』……そして『遥か未来を』だけ。 結構何かかしら話してたんだけど……覚えてるのはこの三つだけ」「ただの夢……とは結論付けられないかしら?」「夢って、元々起きている時に見たモノを夢としてみる訳だから…… それに、僕は美衣って確か……二代目の真名なんだよね」「真名を呼んでいたと言う事は、二代目のかしら?」 金糸雀の質問に、蒼星石は肩をすくめてさぁ? と言う。 そもそも、八乙女蒼星石の歴史で二代目の文献だけ殆ど無いのだ。 まるで意図的に、二代目と言う存在を消そうとしているかのように。「二代目については、殆どわからないんだよね」「そう……その夢は一体何を暗示しているかしら?」「わからない。でも……そうだな。なんかその鬼は頼もしかったよ」 蒼星石は、笑顔を浮かべて金糸雀に言うと同時に遠くから学校の鐘の音が聞こえてくる。 二人は、顔を見合わせて学校に向かって走り出したのだった。
【NGシーン】 蒼星石は夢の内容について語りながら、金糸雀と肩を並べて歩く。「そして僕は、スェードゲルミルに乗って……斬艦刀だけを武器にエアロゲイター達を戦う事になったんだよ。 まさに激戦で……エアロゲイターをカナリ屠ったんだけど…… やっぱり、無理をしすぎたのか、スェードゲルミルは大破しちゃって動けなくなったんだ。 もう終りかな……って思ったら……皆が来て、エアロゲイター達をパパーッと倒しちゃった」「……昨日、スパロボやってたかしら?」「うん。ちょっと熱中してやりすぎちゃった」「思いっきり、何処かの山みたいな場所と関係ないかしら」「そうだね~。はぁ……いいなぁ……斬艦刀」「妖刀ムラマサで我慢するかしら」
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