第2回:北海道
第2回:北海道道内:某大型ホテルにて…雪「第2回は…はるばる海外までやってきました♪」薔「海外って…津軽海峡を超えただけ……北海道の方に失礼……」雪「ほんのジョークですわ♪なんせ日本を代表する美味の宝庫に来たのですからテンションも上がってますの♪」薔「まぁ…確かに北海道といえば…名物は一つや二つじゃないしね……」雪「例えば何ですか?」薔「えっと……クラーク像とか時計台…函館の夜景に流氷…アイヌ文化に温泉に…」雪「ばらしーちゃん、私は食べ物のことを聞いていますの!」薔「…地元の文化に触れる…ってのはどうしたの…?」雪「さて…なんのことやら?」薔「……」雪「そ…それはそうと、北海道には夕張メロンにジャガイモにジンギスカン…小樽のお寿司に味噌ラーメンなどなど数え上げれば体中の指が足りないほどの美味しい名物がありますのよ。」 薔「まぁ…確かにそうだね……」雪「ですが今回は始めに、冬の北海道を代表する名物をいただくとしましょう♪」薔「冬の……あ!」雪「ふふっ、お気付きになったようですわね?ならばせーの…」雪・薔「「蟹!」」雪「正解!素ばらしーですわ、ばらしーちゃん♪」
薔「この時期…よくテレビでやってるからね……でも、もう夜だよ……?」雪「うふふ、ならば明日の朝は早速市場に参りましょうか♪」薔「…まぁ、私も蟹は大好きだからいっか……」雪「でわでわ…景気付けにホテルのバイキングを制覇するといたしましょうか♪」薔「……」翌日、朝市にて…雪「ばらしーちゃんばらしーちゃん!見てください!こんなに美味しそうな海産物がいっぱい♪」薔「はいはい……ふあぁ…眠…」雪「もう!しゃっきり目を覚ましてくださいまし…えいっ!」バサッ薔「ちょっ……上着返して…しばれる……」雪「目が覚めましたか?」薔「覚めた覚めた……覚めたから早く返して…くちゅん!」雪「はい。」薔「もう……でも、本当に色んなものがあるね…」雪「あぁ…プチプチのイクラに数の子…ホクホクのホタテやコリコリのイカ…もうたまりませんわ♪」薔「それに…やっぱり北の海…見たこともない魚も多い……これなんて特に変わってる…」雪「本当…すみません、これは何てお魚ですの?」店員「あぁ、ハッカクです。」雪・薔「「ハッカク?」」店員「正式名はトクビレっていうんですけど…ほら、体が八角形に角張って見えるでしょ?」
薔「なるほど…だからハッカクか……」店員「しかもこいつは北海道でしか穫れない魚で本州とかには滅多に出回らない地魚なんです。」雪「それで、美味しいんですの?」店員「えぇ、こんな外見に似合わず脂の乗った白身でなまら美味しい魚ですよ。」雪「ならばこのお店にあるだけのハッカクと地魚をくださいまし♪送り先はこちらの住所までお願いしますわ。」そう言うと雪華綺晶は懐からメモと札束を差し出した店員「(゜Д゜)」後に薔薇水晶はあの時の店員さんの唖然とした表情は一生忘れられないと語った…雪「さぁ、気を取り直して本番と行きましょう!!」薔「気合い…入ってるね……」雪「当然ですわ、なんせ私が朝食を我慢したのなど…何年振りでしょうか…」薔「そういえば…いつものお姉ちゃんなら…さっきの魚もその場で貪りつくのに……」雪「うふふ…空腹は最高の調味料ですわ……実はさっきからお腹が減りすぎてばらしーちゃんがシウマイに見えますもの…」薔「……やめて。」雪「あぁ…空腹で世界がぐるぐると廻る…廻る…」フラフラ…薔(このままじゃ…ヤバいかも…)
その時であった…雪「むむっ!!」薔「…どうしたの?お姉ちゃん…」雪「くんくん…こ、この匂いは!!」ダッ薔「あ、待ってお姉ちゃ……って速ッ!」雪華綺晶は先ほどフラフラのの様子が嘘のように凄まじいスピードで市場の道を駆け抜けて行った薔「はぁ…はぁ…も、もう…駄目…」必死に姉の後を追いかけた薔薇水晶であったがついに雪華綺晶の姿を見失ってしまい歩みを止めた薔「もう……知らない場所に妹を置き去りにするなんて……ん?」すると薔薇水晶の鼻にも胸をすくような香ばしい匂いが漂ってきた薔「いい匂い…くんくん……」薔薇水晶は匂いに誘われるように市場を歩いていった。するとその視線の先に満面の笑みを浮かべながらある店の入り口に立っている姉の姿が見えてきた薔「あぁ…やっと見つけた……お姉ちゃん!!」雪「ふぇ?ど…どうしたんですの?珍しく大声なんか出して…」薔「どうしたもこうしたもない……私を置き去りにするなんて……この鬼……」雪「それは…その…深い事情がありまして…」薔「へぇ……妹を…ほっぽらかしにするような……?」雪「いや…その…えと…つまり………………えいっ!」薔「むぐっ!」
雪華綺晶は突然薔薇水晶の口に何かを放り込んだ薔「っ!?………もぐもぐ…ごくん…」雪「どうですか?」薔「すごく……美味しいです…」雪「でしょ?なんせ焼きたてですからね♪」雪華綺晶が目を向けた先には七輪の上で香ばしい匂いを放っている蟹の足があった薔「この匂いは……焼き蟹だったんだ…」雪「こんな美味しそうな匂い、空腹の私には我慢できませんわ♪」薔「なるほど…悔しいけど……妙に納得…でも…これ…食べていいの?」雪「えぇ。試食用みたいですから。しかし焼きたてを試食できるなんて…やっぱりはるばる北海道まで来た甲斐がありましたわ♪」薔「じゃあ…もう一口……」薔薇水晶は七輪の上からホコホコと湯気が立ち上る蟹の足を手に取ると、その身を口に運んだ薔「んっ……」瞬間、口の中に炙られたことでより一層香ばしさが際立った蟹の旨味がほとばしる。それはまさに至高…気付けば薔薇水晶は目を閉じ言葉を発することもなくその至福の味を噛みしめていた。やがてそれを喉の奥に飲み込んだ時、薔薇水晶はほうっと溜め息を吐きながらただ一言「すごい…」と呟いた
「気に入ったかい?お嬢ちゃん方。」ふいに店の奥から初老の店員がやって来て2人に話し掛けた雪「えぇ、はるばる北海道まで来た甲斐があるというものですわ♪」薔「ゴチになってます……」店員「はっはっは、蟹をお求めから奥の生け簀に来なさいな。そこから選ぶといい。」雪「是非♪」雪華綺晶は某・いい男にホイホイついて行く専門学校性の如く店員に付いて店の奥へと入っていった。薔薇水晶もまた姉を追って店の奥へ進とそこには大きな生け簀にびっしりと放された活き蟹がいた雪「まままぁ♪なんて素敵な光景なんでしょう!!」雪華綺晶はその光景に左目をキラキラと輝かせながら歓声を上げる。生け簀の中では大型のタラバガニをはじめ、中型のズワイガニ、小型のケガニがわさわさと脚を動かして水中を歩き、店員はそこに網を入れるとそのうちの一匹を掬い上げた 雪「っきゃああああぁぁ♪」薔「わぁ…おっきい……」店員「ほぉら、こいつが今旬のタラバガニ。それもとびっきりの上物だべさ。」網の中の大きな蟹は2人の目の前でわさわさと蠢く薔「ちょっと…グロいかも……」雪「何を言いますの!?こんな…こんなにも美味しそうなのに…あぁっ…」
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