ハチミツレモン
ここはとある進学塾の自習室今もハッキリ覚えてる。不思議な子だった。勉強していたら背中をつっ突かれる感触が僕の神経を伝わる。(・・・!?)振り向くとそこには女の子がのど飴を持って立っていた「・・・あげる」
-ハチミツレモンキャンディ-
J「あ、ありがと・・・」彼女は自分の席へと帰っていった。(ハチミツレモンか・・・)
彼女の名前は薔薇水晶いつも自習室か、事務室で事務さんやチューターに絡みながら勉強してる。薔「・・・単語、ヤバイ・・・」J「動きながら勉強すると頭に入りやすいらしいよ?」そう僕が言うと、単語帳を見ながら歩き出す。事務室のドアとカウンターまでの道を一回りして彼女は、薔「・・・nipple・・・乳首・・・覚えた」J「そらよかったw」こんな感じの不思議な子だった。
彼女は別の学校に通っていて、あまり接点はない。ただここ最近になって話しだすようになっただけだった。元々コミュニティの狭い・・というか意図的に狭めてる僕にとっては変わったことをやってたなと思う。薔「・・・お腹痛い」J「なら早く帰ったら?」薔「・・・お迎え9時まで来ない」J「薬は?」薔「・・・持ってない」J「・・・どうしろと?」薔「・・・わかんない」
本当に不思議な子だった。話してると外見からは想像もできない不思議な空気をかもしだし、僕はその中に居心地の良さを見い出していた。
J「なぁ、私立の教科何使うんだ?」薔「・・・英語と国語と数学」J「数学使うの!?」薔「・・・うん」J「すげぇな・・・僕なんか数学全然解けないし」薔「・・・私立の数学なら大丈夫」J「ふ~ん」
僕らが名前を呼びあうことは一度もなかった。
J「もうすぐセンターだな」薔「・・・どうしよどうしよどうs(ry」J「焦りすぎw」薔「・・・もうだめぽ」J「大丈夫だって」センター前で緊張してるのかというと、僕はそうでもなかった。なるようになれと。でもここまで落ち着いてられるのは彼女のおかげかもしれない。
(アメのお返しするか・・・)
J「じゃあこれでも食べて落ち着いて」薔「・・・ありがとう」
そう言って、彼女が笑って返してくれた。正直ドキッとした。
(こんないい笑顔も見れたし、センター突破できるかな)
僕はそんなことを考えていた。僕は・・・ホントは、彼女のことが好きだったのかもしれない。・・・でも、これくらいの方がハチミツレモンみたく、甘過ぎず丁度いい感じが僕にはよかったと思ってる。後悔は、していない。終
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