In the Library-Kleine Beere-
秋といえば、何を思い浮かべるだろうか?「みんなー、秋だから本を読むのー」やっぱり読書かな。In the Library-Kleine Beere-昼休みや、放課後は基本的にこの場所に座って本を読む。この学校の図書館は、やたらと広い。貸し出しカウンターを任されてから半年。2年生に進級してからのこと。最近は、「罪と罰」を読んでいる。「ヒナ~、何読んでるのかしら?」同じ図書委員のキm・・・もとい、金糸雀が話しかけてきた。同じ2年生で同じ図書委員。読む本も、どこか似通っている。雛「罪と罰なのー」金「そんな難しい本よく読んでるかしら・・・」雛「そんなことないのー」私はよく、"ズレてる"と言われる事が多い。金糸雀と読む本は似通っているとはいえ、たまに人が読まないような本をよく読む。そこに意味があるのかと言えば、そうではない。ただ、読みたいという衝動に駆られたから。それだけのこと。
雛「ねぇカナ、ラスコーリニコフは誰を殺したと思うの?」金「金貸しじゃないかしら?」雛「うゆ?」金「金貸しを殺したと言う事実はそこに転がってるかしら」雛「ヒナね、ラスコーリニコフは誰も殺してないと思うの」金「へ?」雛「ラスコリーニコフは自分を殺したと思うの」金「自殺ってことかしら?」雛「それは違うの。確かに、金貸しは殺されてるの。でも、ラスコリーニコフは自分を貫けなかったの」金「かしら?」雛「ラスコリーニコフは自分自身を正当化できなかった、だから死んだの」金「何言ってるかわかんないかしら!」雛「うゆ・・・ごめんなの」金「もっと簡単な本読むかしらー!」やっぱり、ズレてるのだろうか。
--そんなある日メガネをかけたさえない3年生かな?が本を借りに来た。時事問題の本を借りに。雛「こんにちはー!なのー!」J「これ、借りれるかな?」雛「大丈夫なの。図書カード出してなの」J「ほい」雛「おっけーなのー。返却は2週間後なのー!」傍で見ると、何となく知的な3年生だった。雛「あのー、ちょっといいですか。なのー」J「ん?」雛「罪と罰、知ってるの?」J「ああ。夏に読んだから知ってるよ」雛「じゃあね、ラスコリーニコフは誰を殺したと思うの?」J「金貸し・・って言うのはあまりにも陳腐かな」雛「うゆ?」J「ラスコリーニコフは誰も殺してない。殺したのは・・・神様かな」--自分の信じるものへの裏切り。だから、殺したのは自分の中の神様。聞いてよかった。彼は、私の答えをもう一つレベルを上げてくれた。
J「満足?」雛「うん♪ありがとうなのー!」J「どういたしまして」--2週間後雛「あ、こんにちはなのー!」金「かしらー」J「返しに来たぞ。それからさ、コレ探して欲しいんだけど」雛「うゆ?」金「図書委員一の頭脳派、策士金糸雀にお任せかしら~」J「じゃあ頼む」金「かしら~」金「ひええええええええ!」J「!?」雛「カナー!どうしたのー!」蔵書庫を見ると、少し時期の早い雪崩がおきていた。J「ぶっ・・・何が策士だよw」雛「さすがカナなのー」金「そんなこと言ってないで助けてかしらー!!」私もそうだけど、やっぱり私の周りの人って"ズレてる"のかな。ま、それでも毎日が楽しく過せてるから満足してる。こんな日々が続けばいいな・・・In the Library-Kleine Beere-おしまい
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