蒼星石×翠星石
僕は私。私は僕。心の繋がり。体の繋がり。──切れることの無い、絆。-Twins~半神~-
僕と姉さんは双子だ。女の子らしい姉さん。男の子みたいな僕。ちょっと鈍い姉さん。ミスをあまりしない僕。文系が得意な姉さん。理系が得意な僕。草木を育てる姉さん。伸びた枝葉を剪定する僕。双子なのに、正反対な僕達。そんな正反対な僕達にも共通点がある。色の違う瞳、栗色の髪、寒色を好む事──大事な事を素直に言えない性格。僕達の絆に入る傷は、多い。きっと、他の人ならその絆が切れてしまう程。だけど、僕達の絆は切れない。むしろ、傷付くほどに強くなる。何回も衝突して、その度に傷付いて、そして傷を舐めあって理解する。『ああ、姉さんはこれほど痛かったんだ。僕だけが痛いんじゃない』きっと僕達は、この先死ぬまでこんな事を繰り返すんだろう。傷ついて、傷つけて、お互いに慰めあって──そして、その末に、果てる。きっと、他の人に僕達の関係は理解できない。でも、自分たちがわかっていればそれでいい。姉さんも、多分、同じ気持ち。「─翠星石?」隣を歩く姉に視線を向ける。呼びかけられた姉が僕を見つめる。交錯する、視線。互いが互いを射抜いて、心の底まで見透かして。ふっ、とどちらからともなく笑った。「どうしたですか、蒼星石。翠星石を見つめても何も出んですよ」茶化すような姉の物言い。不思議と不快感は、無い。心地よい僕達の日常。「翠星石」もう一度、問い掛ける。足を止め、お互いに視線を交錯させたまま、一呼吸…二呼吸。短くも長い時間。空の上で、鳶が鳴いた。「大嫌い」にこ、と笑って言う僕。大して驚く風でもなく、さりとて怒る様子でもなく、それを受け止める姉さん。それは、きっと後に続く言葉を知っているから。僕と姉さんの共通点。「─大嫌いだけど、誰よりも大好きだよ」「─大嫌いだけど、誰よりも大好きですよ」見事に、ハモった。そう、僕達は双子。正反対だからこそ、お互いが必要なそんな関係。僕達はお互いが半身同士。多分きっと、召されるのも一緒。愛する相手も、幸せを感じるのも──もしかしたら、悦びすらも一緒かもしれない。傍目には少し異常な、禁忌の絆。でも、僕達はそれでいい。お互いが居れば、それだけで生きてゆける。どちらからともなく、手を取って、指を絡めた。つがいの小鳥が、身を寄せ合うように。視線を交し、微笑みあって、僕達は歩いてゆく。どこまでも、いつまでも。
※ホラー的表現が最初の一文に含まれております。
両目を突き破リ、夥しい血とともに翠星石の体内から錆びたハサミの刃が飛び出した。蒼「~~~~~~~~~~」悲鳴をあげようとするが全く声が出ない。しばらくしてようやく体が自由を取り戻した。蒼「姉さん!姉さん起きて!姉さん!」蒼星石は飛び起きて隣のベットで眠る翠星石を揺り起こした。翠「うーん、どうしたですか?こんな夜中に・・・。」蒼「姉さんよかった。無事だったんだね。」翠「無事も何も寝てたですよ。それでどうしたですか?」蒼「夢を見たんだ。姉さんが、姉さんが・・・。」恐怖と安堵のせいなのだろうか、蒼星石はそれ以上何も言えずただ泣いていた。翠「・・・まったく、怖い夢くらいで泣くなんて蒼星石は子供ですぅ。」口ではそういいながらも翠星石は落ち着かせようとそっと手を握った。翠「もう大丈夫ですよ。」蒼「う・・・うく・・・姉さんゴメン。」しばらくして泣き止んだが蒼星石は何処となく落ち着かない様子だった。翠「しゃーねぇから今日は翠星石が一緒に寝てやるです。」蒼「・・・うん、ありがと。」促されるままにベッドに入った蒼星石は次第に自分を取り戻していく。蒼(さっきのは夢、悪い夢だったんだ。もう忘れよう。)姉の腕に抱かれながら蒼星石はこの穏やかな時間がずっと続くようにと願った。終わり
蒼「今日のおかずは何かなー♪」雛「わー蒼星石のお弁当おいしそうなのー、この唐揚げもらってもいいー?」蒼「うん、いいよ。翠星石の手作り弁当はとってもおいしいからね」金「この卵焼きも砂糖たっぷりでおいしそうかしらー!いただいてもいいかしら?」蒼「ど、どうぞ」薔「焼売…」蒼「う、うん…」雪「何でも良いからお腹すいた」蒼「あうぅ…」結果残ったもの…白米蒼「翠星石がつくってくれたお弁当が…うぅ」翠「まったく蒼星石は仕方ないですねぇ。そんなこったろうと思って私の弁当箱に多めにいれてきてやったですから、一緒に食べるですぅ」蒼「…翠星石、有難う!だから大好きだよ」その後…翠「皆、今日は有難うです。これはお礼のケーキです」雛「わーい、有難うなのー!」薔「翠星石、策士…」翠「これで楽してズルして蒼星石のハートをゲットですぅ!」金「それはカナの台詞かしらー!」
翠「今日の晩メシはシチューです。蒼星石。皿によそって持ってってください」蒼「わかったよ」ドロ~。翠「ちょ!なに白メシの上にシチューかけてるデスか!?」蒼「え?僕、このほうが好きなんだけど・・・」翠「蒼星石はなにもわかってないデス!蒼星石はカレーの時もご飯とルーをグッチャグチャにしてたデス!シチューは ご飯の上にかけない。カレーは白米とのコントラストを楽しむ!なぜこのローカルルールが理解できないデスか!?」蒼「・・・野菜を食用以外に使用してる人に言われたくないなぁ。誰が処分してると思ってるの?」翠「////////」
翠「なんかこの茄子のバターいため塩辛くないですか?」蒼「あ、それ姉さんの部屋にころがってた茄子」翠「ちょwあれは・・・(///)」蒼「なんかヌメってたけど食べ物は大事にしなきゃだよね!?ところで何やったらあんなヌメルの?」翠「うるせぇです!蒼星石には関係ねぇです(///)(まさかあれを食わされるとは思いもしなかったですぅ・・今度から後始末はちゃんとしようですぅ)」
翠「ふいー、肩がこったですー。よっこらせっとですー。」蒼(最近、翠星石なんか疲れてるみたいだなあ・・・・・・。)水「あら、カットマンじゃない?どうしたの難しい顔して?」蒼「人に嫌なあだ名つけないでよ。最近さ・・・・・・」蒼「ねえねえ、翠星石、こっち向いてよ。」翠「なんですか?うっ!」蒼「翠星石のほっぺた柔らかいねー、どう?疲れ取れた?」翠「姉をからかうとは・・・許せんです!!」蒼「からかってなんかないって!さっき水銀燈が疲れを取るのにアビスバッ!」
翠「翠星石がババくせぇです!」蒼「カットマンって・・・僕そんなに鋏のイメージ強いかな・・」水「私はそんな酷いことぉしないわよぉ?」
翠「蒼星石~!これ着てここに座るですぅ」蒼「なにこれ・・・」翠「お内裏様のコスプレですぅジュンにつくらせたですぅ。翠星石はお雛様のコスプレするです」蒼「なんで僕が・・(僕も女なんだけど・・)」翠「なんでもです、早くきるですよ~」蒼「しょうがないな~・・・(僕もお雛様がよかったな・・)」
翠「かきこwかきこwですぅ♪」蒼「こんなよなかに何をやってるんだい?姉さん」翠「うるせぇです、翠星石が保守しなきゃこのスレはおちちまうのですぅ」蒼「早く寝たほうがいいよ・・明日も学校だし」翠「うるせぇですぅ、蒼星石は早くねるですぅ」蒼「早く寝ないと襲っちゃうよ・・・ボソ」翠「今の冗談ですよね・・?」蒼「さぁ?」ジッ獲物を見るめ翠「怖いですぅ目がマジですぅ~こっち来んなです」蒼「あぁもう我慢できない♪♪♪いっただきま~す♪♪♪」翠「ひぃぃぃぃ~いゃああああああああ」何があったのかは知らないが次の日から翠星石と蒼星石の立場が逆転したそうです・・翠「保守です」蒼「翠星石♪♪」翠「ひぃぃぃぃやめろですぅ;;」蒼「ふ~ん?僕に逆らうのかい^^^」翠「ご、ごめんですぅだから止めてくださいです;;」蒼「やだ♪いっただきま~す♪(弱い翠星石モエスwww)」翠「いゃゃぁあああですぅ(///)」
蒼星石「翠星石、これ。いつもお菓子作ってくれてるから」翠星石「わぁ! 新しいエプロンです! 良いのですか?」蒼星石「うん。日ごろのお礼も兼ねてね」翠星石「ではでは、翠星石も蒼星石へお礼のプレゼントがあるのです! ちょっと待ってるですよ!」蒼星石「え? え、気にしなくていいのに………」翠星石「姉からの真心こもったプレゼントです! うっけとりやっがれです~♪」蒼星石「(あんなにはしゃいで、なにを用意してくれたんだろう)」翠星石「じゃじゃん! これです! さぁっはやく開けるです♪」蒼星石「う、うん。じゃあ、失礼して・・・(がさごそ)」翠星石「似合うと思って、買ったのですよ~」蒼星石「………翠星石」翠星石「はい?」蒼星石「僕の見間違いじゃないならこれ、下着セットだと思うんだけど………」翠星石「はい! ちゃんとブラとショーツとキャミソールのセットです! さぁ着るのです、蒼星石!」 その時彼女は輝いていた。
キッチンに並ぶ姉妹は、とても似ていて、だからとても似ていない。 手際よく動くたびに、ひとりの長い髪はふわふわと舞う。 その傍で、短く切られた髪がやはり揺れていた。「まったく、蒼星石はとんでもねーお人好しです」「そう?」「そうです。いいですか? 蒼星石は、女の子なのですよ?」「うん。僕も、男の子に生まれた覚えは無いよ」「でしたら、ぬぁんでこんなに沢山、ホワイトデーのお返し用意せにゃならんほど、貰うのですか!」 翠星石は妹しかもった覚えはありません! と、憤りながらもメレンゲをがしがしかき混ぜていく。 手つきに無駄が無いところが、素晴らしい。「ごめんね。手伝ってもらっちゃって」「蒼星石が謝ることはないです」 腹立たしいのは、彼女にバレンタイン、チョコをあげにあげまくった見知らぬ少女達だ。「こんなに必要とは、わが妹ながらモテモテです」「っていうわけでもないんだけど………。とりあえず、名前とクラスがわかる子にだけでもお返ししなきゃ、悪いしね」「律儀ですねぇ、蒼星石は。バレンタインなんてあんなもん、あげる側の自己満足でしかないというのに」 姉の辛辣な物言いに苦笑で返し、絞り袋の中へメレンゲを入れていく。
「………蒼星石」「ん?」「蒼星石は、女の子です」「わかってるよ?」「わかっていやがるなら良いですけど! 蒼星石は、女の子なのですから、きゃーきゃー言う女子連中の、理想の王子様になんてならなくても良いんですからね!」 蒼星石は、蒼星石のまんまが一番なのです。 少しばかり拗ねた、というよりも、どことなく照れくさそうに翠星石はキッチンペーパーの上へメレンゲを搾り出しながら言った。「うん、そうだよね」「そうです。蒼星石は蒼星石でしかないのですから」 えばりながら言う姉に、蒼星石は微笑んだ。 気にしていたのを察してくれていた姉に、心の中で礼を言う。 そうと振舞ったわけではないが、蒼星石は校内で『王子様』的位置に気づけばいた。 別段蒼星石が望んだわけでなく、周囲が勝手に彼女の雰囲気とイメージで祭り上げていったのだ。 王子様だから、優しくなければいけない、紳士でなければいけない、笑顔で受け止めてくれなければいけない。 少女らしい傲慢さは、ゆるくゆるく、蒼星石の首を絞める。
これで反抗できる性分であればよかったが、蒼星石の性格上、好意からとわかっている分強く拒否は出来ていなかった。 そのため、バレンタインでは大量のチョコレートを笑顔で受け取るような破目に陥ってしまったのだ。 大して食べないくせに。「翠星石」「はい?」「大好きだよ」「知ってますよ?」 彼女は笑顔で応じた。 それは、チョコレートをあげた少女たちが望んでも得られなかった言葉。 大好きだよ。 なによりの理解者に感謝をこめて、蒼星石はもう一度呟いた。終了。
水銀燈「………律儀よねぇ、蒼星石って」翠星石「それは昨日、さんっざん翠星石が言ってやったです」金糸雀「うっわ~。物凄い列かしら。あれぜーんぶ、蒼星石にチョコあげた人たち?」翠星石「じゃないですか? 予備も含めて結構作りましたから、並んでる人には行き渡るでしょうけど」薔薇水晶「でも、なんか人増えてる………」真紅「並んでいる子達が、連絡を取り合っているのだわ。このままでは際限なく増えてよ。止めなくて良いの?」翠星石「と、止めるですよ! 真紅たちも協力してください!!」水銀燈「嫌よぉ。私が出て行ったら、私までお返ししなきゃならないじゃないのぉ」翠星石「水銀燈のファンの子達は、水銀燈からのお返しなんて欠片も期待しちゃいねーです!」水銀燈「そうでしょうけど、なんっか含みのある言い方ねぇ? 翠星石?」彗星駅「う………っ。し、真紅は手伝ってくれるですよね?!」真紅「申し訳ないけど、遠慮させて頂戴。下手に私たちが出て行けば、混乱するだけだもの」金糸雀「カナも、あれはちょっとパスかしら~」翠星石「くっ。いーですいーです! 双子の姉として、蒼星石のピンチは放っておけないです。翠星石だけで行ってくるです!!」水銀燈「行ってらっしゃぁ~い。ファンの子達に、嬲り殺されないよぉにねぇ」翠星石「嫌なこと言うなですーーー!!」
みそ汁で朝食を
土曜日の朝。おじいさんとおばあさんはいつものように早起きで、いつもより少し遅く起きた僕が一階に降りると、二人でお茶をすすりながらテレビを眺めていた。
「おはようございます。おじいさん、おばあさん」「おはよう」「翠ちゃんがまだ寝ているから、起こしてきてくれる?その間に朝ご飯をあっためておくから」「はい」
先に洗面所で顔を洗ってから、すぐに2階に戻って翠星石の部屋の扉を叩く。
「翠星石!朝だよ!」
反応が無い。まだぐっすり寝ているのだろう。
「あけるよ?」
どうせ聞こえていないだろうけれど、一応声をかけてからそっと扉を開く。とたんに部屋からむわっとした空気が流れて驚いた。原因を求めて辺りを見回すと、案の定、机の近くに置かれたオイルヒーターが付けっぱなしだ。昨日の晩が少し寒かったのでそのまま寝てしまったんだろう。振り返って布団の方を見れば、掛け布団を蹴っ飛ばしてひどい格好で眠る姉の姿。
「もう…」
ため息をついて近寄る。お腹丸出しのこの寝姿では、さすがにかわいいなあとかそういう感想は逆さに振っても出てこない。いや、逆にこの無防備っぷりが良い、という考え方もあるかもしれないけれど。それも子供の頃から見慣れてしまっては、いまさら感慨深くも何も無いよね…
「起きて!翠星石!朝ごはんだよ!」「…はろ…にゃ…朝ごはん…赤いものか…お前が本物の猫かー!…むにゃ」
がっ!…何この寝言。っていうか叫んだ時に振り回した手が鼻に当たった。痛い。鼻を押さえながら下を見ると、翠星石はいまだすぴょすぴょと幸せげな寝顔で眠っていた。鼻の痛みも治まったので、仕方なくもう一度…今度はゆさぶりながら声をかける。
「ほら起きて!もう朝だってば!!」
ゆさゆさ。手をかけているのはもちろんお腹。間違っても胸じゃない。…さっきの報復に、いっそわき腹や弱い所をくすぐりまわしてやろうか、とか素肌そのまま触るのもあれだし別の所を触って起こした方が…とかちょっとだけ思わないでもなかったけれど。しかし朝から何をする気だ自分、というセルフツッコミによりその選択肢は回避。素直に揺さぶり起こす。…が、起きない。それでもあきらめずに揺さぶっていると、再び寝言の気配。
「ただ…ただき……かみねこーーーーー!!!」
がごっ!!!!!!!!!! 跳ね起きた翠星石の頭が…顔に……
「…蒼星石…ふあ…あれ?何で私の部屋にいるです?」
のたうちまわる僕をよそに、翠星石は欠伸をしながら不思議そうな顔で問う。
「だから…起こしに…」
そしていまだにじんじんする顔から手を離した瞬間、零れ落ちる赤いもの。時が止まった。…しばらく経って、畳が殺人現場に変わった頃、僕らは慌てて動き出す。僕は机の上のティッシュに手を伸ばし、翠星石は、蹴っ飛ばした布団を慌てて手繰り寄せ、壁際に逃げる。…逃げる?
「え…なんで逃げるの」「蒼星石、いくらなんでもそれは変態です! 恋人になったとはいえ姉の無防備な寝顔を見て鼻血ふくような子に育てた覚えはないです!!」「ちょ、まってそれ凄い誤解!」「朝からあんなことやこんなことをしようとしてたですね!見損なったです!」「だからなんでそうなるの!ない!ないから!!…一応」
さっきちょっとだけいたずらしようとしたことを思い出して、いまいち強くはいえなかった。
「…そんなの信じられるかです!!!」
…結局。その強く言えなかった一言のせいで、僕はその日一日変態妹呼ばわりされたあげく、学校では話を聞いたみんなからかわれる羽目になった。水銀燈にいたっては、「若いから仕方が無いわよねぇ」とか良くわからないことを言いながら頭をなでてきた。そこでまたひと悶着があったのは別の話。
最終的には誤解はとけたものの、まだしばらくはからかわれ続けるんじゃなかろうか。そんなことを考えてうなだれる僕の隣で、今翠星石はまたすぴょすぴょと幸せそうに眠りこけている。人をあれだけ大変な状況に追い込んだのにもかかわらず、その元凶はいたって平和な顔。僕はため息をついて、朝から丸出しで冷えたであろうお腹に毛布をかけてあげた。そしてひそかにその寝顔に誓うのだ。
明日はもっと迅速かつ可及的速やかに叩き起こしてやる、と…
味噌汁で朝食を2
おはようございます薔薇水晶です。時は朝…今日は水銀燈のおうちからお送りする、サルでもできるお手軽簡単料理教室…今朝は水銀燈のお母さんが外にお泊りでいらっしゃらないので…私が朝ごはんを作って二階へ上がり、優しく揺り起こして水銀燈と朝からラブラブ計画…………は。早くしないと…もうすぐ水銀燈が起きてくる時間…まず、白いご飯…は、昨日の晩のお残りがあります。お漬物もあります。アジのひらき…もラプラスに持たせてもらいました…これは網で焼きます…ここに足りないもの…そう、おみそ汁…おみそ汁の作れる女性は家庭的…私のそんな魅力で銀ちゃんノックアウト…よし。がんばろう。まず お湯を沸かします…そしてだし…を入れるんだっけ。ごそごそ。…うん、そう。ラプラスのお料理メモ…役に立つ。可愛いウサギのメモ帳だし……だし。だしのもと……ないなあ。メモに寄ればだしはにぼしから取るらしい。…から、にぼしを入れておけばきっと大丈夫。次。煮立ってきたら味噌を……これかな?でも酢味噌…きっと大丈夫、味噌だから。おたまに半分くらい…入れる。どぼん。かきまぜて…次は具。ワカメがいい、ってかいてある…でもそのくらいではきっとたりない。水銀燈が今日一日元気ですごせるような具を入れてあげたいと思う。具……元気…にんにく。ぴーんにんにくの皮…はきっと食べられないから剥いて、入れる。あと、ワカメもいれる…小さいなあ。一つまみじゃ足りないかも…一掴みくらい入れれば足りるよね。他に元気になるもの……うなぎ…はさすがに無い…は、そういえばこの前のお昼にみ○さんが…納豆は体にいいって言っていた。OK納豆。どば。冷蔵庫にとろろ昆布。これもきっと体にいい…ざば。もずくもある…これも体にいいって言ってた…○のさんはほんとにためになることを言う………
…うん、煮立ってきた。…でもなんだろう。ワカメが一杯でおつゆが見えない。一掴みはちょっと多かったかな?…少し水を足そうかなでも、鍋の大きさが足りないかも。ちょっと大きいのに変更。ざばあ。よし、また煮立ってきた。味見…あれ?なんか味が薄いなあ…そう、前にラプラスが料理の基本はさしすせそって言ってた。きっとそれを加えたら美味しくなるのかもしれない…よし。いれてみよう。さとうと、しょうゆ…お酢、せ …せ?せ…せ…なんだろう。せ…せいしゅ?お酒。そ…そういえばお塩が入ってない。ソルト…そがお塩?ううん、いいやいれとこう多分最初の4つがちゃんとしてれば大丈夫だよね…入れて、と。水銀燈はお酒が好きだからお酒は心持ち多めに…あ、好きなもの、といえばヤクルトも入れたほうがいいのかな…ううん、この前乳酸菌が死滅するからあっためちゃダメ、っていってたね。だからこれはデザート…よしできた。完成完成。じゃあ、水銀燈を起こしに…「おはよぉ…ママぁ?…って今日はお出かけだったわねぇ…」欠伸をしながらリビングに入ってくる水銀燈。丁度起きて来たみたい。残念。優しく揺り起こす計画が…でも、ご飯はちゃんと出来たから食べてもらおう。アジのひらきも…あ、まだ焼いてなかった。しょうがない…具も一杯入ってるしおみそ汁をおかずに食べてもらおう…今度から気をつけなきゃ。「あらぁ、薔薇水晶朝ごはん作ってくれたのねぇ。ありがとぉ」「…座ってて。今そっちに運ぶから…」ご飯をよそってお漬物を小皿に。そして朝のめいんでぃっしゅのおみそ汁を注いで持っていく。
「おみそ汁…」「作ったの?凄いわねぇ…料理苦手だと思ったのにいつの間にか頑張ってたのねぇ」水銀燈はにこにこしながらおわんの中を眺める。でも、ワカメばっかりで中のみそ汁自体はほとんど見えていない。「ごめん…ワカメちょっと多すぎちゃった」「あら、私ワカメ好きだから問題ないわよぉ。じゃあ、いただきまーす」水銀燈が、私が心を籠めたおみそ汁を口にする。中の具を一緒に箸でかきこむ。お椀を置く。箸をおく。動きが止まる。……そのまま横に椅子ごと倒れた。慌ててかけ寄ると、水銀燈の顔が青い。大変だ。「水銀燈!…大丈夫!?…おいしくなかった……?」抱き起こして顔を覗き込むと、しばらく放心していた様子の水銀燈が動き出す。「ちゃ、ちゃんと美味しかったわ…ちょっとめまいがしただけよぉ」私の手を借りて何とか椅子に座りなおしたが、いまだに顔が青かった。「…体調悪い?今日学校休む?」めまいで倒れたりなんて、大変だ。熱か風邪かもしれない。もしやインフルエンザ?
「う、ううん、大丈夫よぉ?」「でも心配だよ…じゃあ、おみそ汁に元気になるもの一杯入れたから、たべてから行こう…?」そのことばに何故かぎょっとした顔をする水銀燈。でも、じっと見ているとにっこり笑って「わかったわぁ。じゃあありがたく頂くわねぇ」そして、水銀燈は一気におみそ汁を食べ終わり、ヤクルトと、冷蔵庫をあけて出した1リットル紙パック入りピルクルを一気飲みしてから急いで着替えに行った。水銀燈、大丈夫なんだろうか。でも、にんにくも納豆もすあまももずくもとろろ昆布も入れたのだから、きっと元気になるよね?そう思って、私はお皿を洗い、残ったみそ汁に蓋をした。以上、薔薇水晶の愛の手料理教室でした。…ちなみに、水銀燈はやっぱり無理がたたって、学校についてすぐ倒れてしまいました。元気になってもらうために、私は明日も愛の手料理を持って水銀燈のおうちにいこうとおもいますまる
翠「あれ? どこ行くですか? 蒼星石」蒼「んー、ちょっと、ね。学校まで」翠「………双子の姉としての命令です。今日は一日、家で大人しくしていやがれです」蒼「僕も、そうしたいのはやまやまなんだけどね」翠「じゃあそうすれば良いのです! わざわざ狼共に喰われに行く必要はありません!」蒼「………でもね、そうすると、絶対、先輩達、うちに押しかけてくるよ?」翠「そしたら、二階から如雨露で水でもぶっかけてやります」蒼「翠星石………」翠「去年だって、中学の時だって、ボロボロのズッタボロのボロ雑巾にされたあの恐怖を忘れたのですか、蒼星石!!」蒼「………そうだね」翠「だいたい、制服のボタン代だって莫迦にならんのですから。今日は一日、大人しくしているです」蒼「………翠星石。君、僕と制服のボタン代、最初にどっちの心配した………?」 自分だろうとわかっていつつも、ちょっと悲しくなる双子の妹だった。
「翠星石」「なんですか蒼星石」「えい」「っぴゃー!?」「…薄いグレーか」「こここ公衆の面前で何しやがるですか!!」「ただのコミュニケーションじゃないか」「コミュニケーションにも程があるです!」「あらあら、相変わらず仲いいわねぇ…でも蒼星石、ちょっと間違ってるわよぉ」「丁度いい所に現れやがったですね水銀燈。蒼星石になんとか言ってやるです!」「水銀燈…間違ってるって何が?」「グレーじゃなくてし・ろ。スカートで影になってグレーに見えちゃったのねぇ」「んな…そ、そっちですかあ!?」「くっ…不覚……」「ふふふふ、お馬鹿さぁん。状況を冷静に判断できなきゃ駄目よぉ」「そういう問題じゃねーです!蒼星石も心底悔しがるんじゃねーですよ!!」「翠星石の事で間違うなんて…僕としたことが…!」「ち・な・み・にぃ…それっ」「へ?…うわあ!」「蒼星石…乙女としての恥じらいは何処へ行ったですか…」「…はいてないのねぇ…」「え……わわわわわ、み、見ちゃだめだよ!これはその、翠星石と学校で…あわわわ。」「そーうーせーいーせーきー?」「はいはい、仲良い事ぉ。あっついあっつい…やってらんないわぁ」「す、翠星石さん?背後に変なオーラが見えるのは僕だけかな」「煩悩退散!そこへ直れですー!!!」「ひゃわあああああああああああ!!!」
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