ドッペルその5
ジ「なんとか夢の中でも意識は保たれてるようだな。でも、どうやって制御するんだろう」ジ「……とりあえずこの暗黒世界的な風景をもっと明るい世界にしてみるかな。そんなイメージをつくればいいのかな」草原のイメージをした。すると自分しかスポットライトが当たってないような世界から地平線まで続くような草原へと変わった。ジ「あれ?意外と上手くいくもんだな。翠星石とかも呼べるかも」ジ「でもどうやって呼ぶんだろ?翠星石をここに呼び寄せるような感じでいいのかな?とりあえずやってみるか」ジ(翠星石…翠星石…翠星石…ここに…)翠「ジュンは何してるですか?」ジ「あれ?今日は静かだな。昨日のような派手な登場はしないのか?」翠「そんなこと言われたって翠星石が知るわけないですぅ。でも昨日はなんか無理矢理連れてこられたような感じでしたが、今日は誰かに誘われるような感じでしたよ」 ジ「とりあえず成功ってところかな」翠「ジュンが呼んだですか?」
ジ「ああ。一人じゃつまらないからな」翠「そうですか。でもまた惜しかったですぅ」ジ「何がだ?」翠「なんでもないですぅ。気にするなですぅ」ジ「でも、翠星石と夢の中でも一緒だと現実と区別がつかないな」翠「そうですねぇ。夢の中でも一緒にいられるなんて普通じゃできませんからね」ジ「そのへんはこの能力に感謝しないとな」翠「えへへ~ジュンといつでも一緒ですぅ~」ジ「はははっ、そうだな」翠「抱きついても怒らないんですか?」ジ「怒るわけないだろ?ここは僕の夢の中、誰もいないからな」翠「見られなかったらいいんですか?」ジ「まあ…ね」翠「それならいつまでもここにいたいですねぇ」ジ「はは、それは困るかな」翠「じゃあ、しょうがねーからこのままぎゅーってするです」ジ「ああ、ぎゅー」翠「~~~~~」ジ「こんな感じか?」翠「もっとするですぅ」ジ「はいはい、ぎゅー」
?「ノオオォォォォーーーーー!!!!!!」突如何処からか謎の呻き声(?)が聞こえた。ような気がした。ジ「風が強いな」翠「そうですねぇ~」?「挙げ句の果てに無視するのくぁぁぁぁーーー!!」同時に周りが草原から廃墟のような場所へと変わった。少し肌寒く暗い。ジ「だっ!誰だ!」?「現実世界だけでは飽きたらぬばかりか夢の世界でもいちゃつくとは愚か極まりない!!!」ジ「お前は白崎か!見てたのか!!?」白「わざわざ此方から出向いてみれば既に夢のフィールドは開きまさか中で抱き合うなどまさに愚の骨頂!!!!」ジ「凄まじい早口だな」白「さらにこれを聞きながら抱き合い続けるその根性!!!」ジ「なんだよ!お前に関係ないだろ!」翠「じ、ジュン落ち着くですぅ」白「これぞまさしくトォォォリビィィィゴホッゲフッガフッガハゲフッ」ジ「は?トリビ?鳥火?フェニックス?」翠「んなわけないと思うですよ」白「ゴフッガフッゲフゲフ」ジ「死にそうだな。息継ぎぐらいしろよ」
白「はぁっ、はぁっ。少し興奮で我を忘れそうになっただけでございます(危うく正体を晒すところでしたな)」ジ「で?今日はなんの用だ?」白「貴公はこの能力を完成させる気はございますのでしょうか?」ジ「コントロールは結構簡単のようだが、生活するには別に得する能力でもないから今のままで十分だ」白「おや?昨日とは随分違うではありませんか」ジ「まあべつに困ったこともないようだしな」白「それは困りますな。それでは私の研究と発明品がこれ以上進展しません」ジ「そんな物騒なものはない方がいいに決まっている」白「そうなると失敗作は全て消さなければなりませんな」ジ「何が言いたい?」白「これに関わった者全てを闇に葬ることでございます」ジ「なんだって!?」白「私にとっては情報操作など容易いものです。住民票や国籍などいつでも変えることができる。最終手段ですがね」ジ「僕にどうしろと?」白「おや?道は示してあげましたが分かりませんでしたか?私のところへ来ればよいだけのこと」ジ「ほとんど脅迫だな」白「自分の研究ためでございます。手段も選びません」
ジ「わかったよ。しょうがないから行ってやる」白「生半可な覚悟だと死が待ち受けております。一人ではなく皆様の御来場を待っておきます」ジ「みんな?」白「能力を御持ちなのは貴公だけではございません。それをお忘れ無きよう」ジ「チッ。だいたい、なんで殺されなきゃならないんだ」白「もちろんトラップぐらい仕掛けておきますよ。それに死んだのならそこまでだったということ。価値も低い」ジ「わかったわかった。もう少しコントロールする時間をくれよ」白「やる気があるのならば口出しは致しません」ジ「じゃあな」白「はい?」ジ「排除する」そう言うや否や白崎の体が白い霧に包まれていく。白「なんですと!?まさかここまで成長していたとはっ」ジ「今度は現実世界で会おうか」白「貴公の成長心より御期待しておりますよ。クククッ」そう言い残し白崎は跡形もなく消え去った。また、風景も草原へと戻った。
ジ「これで必ずあいつのところに行かなきゃならなくなったな」翠「大丈夫ですよ。翠星石がいつもついてるです」ジ「さすがにそれは駄目だ。死ぬかもしれないんだぞ?」翠「それでも翠星石はジュンの隣にいるです」ジ「でも」翠「じゃあ翠星石を守れですぅ。それくらい強くなるです」ジ「どうしてもか?」翠「どうしてもですよ。ジュンのいない世界なんて考えられんですよ」ジ「わかっ……いや、今考えるよりそのときになってから決めるよ」翠「いつでも翠星石の答えは決まっているです」ジ「まあ、とりあえずもうそろそろ夕食の時間だろ?起きて飯食おうか」翠「飯食おうかって作るのは翠星石なんですが。それにしても、なんか起きてるような感じですから変な感じですねぇ」ジ「まあずっとこの調子だと寝疲れしそうだから毎日は無理だな」翠「で、どうやって起きるですか?」ジ「起きようと思えばいいんじゃないかな」翠「そんなもんですかね。でもやってみるです」翠星石が目を瞑った。数秒後には翠星石は緑色の光に包まれ消滅した。ジ「さて僕も戻ろうかな。それにしても意外とあっさりコントロール出来るもんなんだな。さっきは軽い怒りに身を任せた感じだったけどなんとかなりそうだな」そんな独り言を言いつつ僕は夢のフィールドをあとにした。
(続く)
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