ある日の道端にて
ある日の道端にて。金糸雀とJUNは、金糸雀の好物である卵について話に花を咲かせておりました。「……ところでJUNは、黄身と白身で好き嫌いがあったりするのかしら?」「そうだな…どちらかと言えば、黄身が好きだ。黄身のが甘くておいしい。 でも黄身と白身は一緒に食べるのが一番旨いと思うんだよな」「そうよねそうよね!JUNはよくわかってるかしら! そうだわ、これからカナのおうちに来るかしら!黄身と白身の生み出すハーモニーを一緒に堪能するかしら!」そう言うと金糸雀は、JUNの手を取って勢い良く走り出しました。勢いは良くとも、彼女の足はさほど速くありません。JUNは急展開に溜息を漏らしながら、ゆるゆると引っ張られて行きました。
少し離れた電柱の影。そこには二人の会話を聞いていた、二つの人影がありました。その影のひとつは紅色、もうひとつは翠色の鮮やかな服を着ていました。「卵の話題からJUNを家に誘う方向に持って行くなんて…」「くぅ~今日の奴は妙に策士ですね。おばカナリアのくせにぃ」「でも、家に呼ぶことを意識していたのではないようね」「そこがまたむかつくですぅ。でもこの策は使えるですよ。明日のJUNは翠星石のスコーン作戦で頂きですぅ!」「おしゃべりね、翠星石。私がそんな作戦を見逃すと思って?」「真紅は料理が下手ですからね。バレたってどうということはないのですぅ」「ス、スコーンくらい私にも作れるわ!紅茶に欠かせないお茶菓子ですもの」「言ったですね?それなら真紅も作ってJUNの所へ持って行くがいいです。 翠星石のスコーンより美味しいと言ったなら、JUNのお持ち帰りは真紅に譲ってやってもいーです」「上等だわ。負けて地に這いつくばることを覚悟しておきなさい!」「真紅こそ、せいぜい不戦敗にならないよう頑張るが良いですぅ」不毛な争いがひとつ生まれました。
も少し離れた曲がり角の影。そこには大きなアンテナを生やした、怪しげなワゴンがありました。その中には、紫の服にオシャレ眼帯を身に付けた少女と、タキシード姿の兎面人がおりました。「お嬢様、金糸雀と真紅と翠星石……放っておいてよろしいのですか?」「……だいじょぶ……わたしにも秘策がある……『君が好きだ。君のが甘くておいしい』……これはエロイ……」「録音していたのですか。さすがでございます」「編集してわたしの声を吹き込めば、既成事実の出来上がり……兎を始末すれば証拠も残らない……」「な、まさか!おやめくださいぃぃ!ぐふっ」「……JUNはわたしのもの……にやり……」あわれ、ラプラスの人生はここで終わってしまいました。しかし、JUNを巡る戦いに決着が着くのは、まだまだ先のお話。-おわり-
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