『お姉ちゃんに○○○っていいなさい!!』
「めえええーん!」スパーン!と気持ちのいい音がする。小学生でもわかるような見事な面を食らったジュンは思わずその場にしりもちをついた。「大丈夫?ジュンくん?」「あててて・・・やっぱ蒼姉ちゃんには敵わないなあ・・・日本一だもんな」ジュンは面を取って頭をさする。つられて蒼星石も面を取った。「もう、日本一はまぐれなの。それより、大丈夫?」蒼星石の上気した顔がジュンに近づく。あごに垂れる汗が色っぽかった。「少し・・・腫れてるね。竹刀の先が巻き込む感覚がしたからな・・・」蒼星石の息がジュンの頭に当たり、ジュンは少し緊張した。「だ、大丈夫だよ!それより、これからべジータと約束があるから、俺の胴着も持って帰ってね。お願いだから」「うん、わかった。じゃあ脱いできてね」ジュンは道場の隅へ行き、ぱっぱと着替え始める。「じゃあお願いね」脱いだ胴着を蒼星石に投げつけるとジュンは、「こんどご飯でもおごるから」といって走っていってしまった。蒼星石はジュンが見えなくなるまで、その場に座っていた。そして、己以外の気配がなくなると、ジュンの胴着をそっと抱きしめる。
スンスン スンスン スン
「ジュンくんの匂い・・・」蒼星石は心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
「じゃあ僕、風呂は入るから」「あ、うん・・・」食事を終えたジュンはそそくさと風呂場へ向かう。ジュンの後ろ姿を蒼星石は悩んでいる目で見送った。この家の一番風呂はいつもジュンだが、蒼星石は年頃の女の子にみられるような、一番風呂症候群ではない。蒼星石はそっと脱衣所に忍び込む。音を立てずに籠を漁る。「ジュンくんの・・・ぱんつ・・・」鏡に映る蒼星石の目は輝いていた。ガラ!風呂場の扉がいきなり開く。「おわ!なんで蒼姉ちゃんが!」「わひゃあ!!」ジュンは慌てて扉を閉める。蒼星石は驚いた拍子に洗面台にぶつかってしまった。「・・・蒼姉ちゃん。大丈夫?・・・てかなんで僕のパンツの」「ななななななんでもないの!!なんでもない!ただにおいを・・・はッ!?」ドデン!バタ!バタバタバタ・・・「いっちゃったよ・・・もう、しょうがないなあ・・・」ジュンは腰にバスタオルを巻き、蒼星石の後を追う。「めっけ」蒼星石はリビングの端で観葉植物の後ろに隠れて(?)いた。「はわわわわ」ジュンは姉が今まで見せたことのない慌てようについ笑ってしまった。「ねえ蒼姉ちゃん。なんで僕のパンツをじっと見ていたの?」小鹿のように脅える姉を見て、ついつい悪戯心が疼いてしまう。「・・・ボソボソ」「え?聞こえないよ」「・・・ボソボソ・・・だから」「え?なに?もしもおーし?」
「ジュンくんが好きなの!!これ以上言わせないで!!恥ずかしいから!!」
言ってから蒼星石の顔が一気に赤くなる。「ごめんごめん。動揺する蒼姉ちゃん見てたら、ついからかいたくなってさ」蒼星石のうろたえてる目が一気に吊り上る。「もー!意地悪してぇー」蒼星石は頬をぷぅーと膨らませる。その膨らんだ柔らかい頬をジュンは指で押した。
ぶぅ。
「もー!!また悪戯してえー!!悪戯っ子はおしおきするぞー!!」蒼星石は近くにあった『はたき』をとるとジュンの体をピシャピシャと叩く。「あたたた!やめ、やめて!痛いよ!」文字通り丸腰なジュンに剣道日本一の姉の攻撃を遮ることはできない。「あははは!お姉ちゃんをからかった罰だ!えい!」蒼星石は器用に『はたき』でジュンの腰のバスタオルを巻き取ると、『はたき』でジュンの股間をワサワサした。「ちょ、やめ、やめて!」「あははは!ほらほら!お姉ちゃんに『からかってごめんなさい。大好きです。愛してます』っていいなさい!」ジュンはだらしない格好で逃げるも蒼星石の攻撃からは逃げられない。「ごごごご、ごめんなさいいい。こ、これ以上は・・・僕の小太刀が・・・」
己の失態を弟になすりつけることができるのは姉の力らしい(桜田ジュン、後日談)
このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー と 利用規約 が適用されます。
1文字以上入力してください
本文は少なくとも1文字以上必要です。
1文字以上入力してください。