第四十二話 JUMと買い出し
「一つ屋根の下 第四十二話 JUMと買い出し」
「JUM!念願の予算手に入れたぞ!!」殺してでも……なんてお約束はやらない。放課後、べジータが封筒を片手にやってきた。「サンキュー。これで制服の布地が買いにいけるな。」「ああ。今日は俺も余裕あるし、俺が買ってきてやろうか?」結局、デザインの満場一致でOKが出て制服は決まった。さて、デザインは終わったがこれから作成に入らなくてはならない。その為にはまず布地だ。「いや……自分で見てみたいから僕が行くよ。」布地は服を作るうえで最重要な物。出来れば、自分で選びたかった。「そうか。なら、俺の自転車を貸してやろう。歩きじゃちょっと遠いだろう?」「ん、助かる。じゃあ、行って来るよ。」僕はベジータに自転車の鍵を借りる。あいつの自転車は知ってる。鍵をクルクル指で回しながら僕は昇降口で靴に履き替えていた。その時、後ろから声がかかった。「あら、JUMではありませんか。」その声の主はキラ姉ちゃんだった。秋風がキラ姉ちゃんの白銀の長い髪と制服のスカートを揺らしている。スカートから覗く白い足から何かチラリと覗いた気がする。うん、きっと気のせいだ。「き、キラ姉ちゃん。どうかしたの?」「JUMこそ、どうなさったのですか?私はこれから買い出しに行くのですわ。」キラ姉ちゃんが財布を見せる。どうやら、目的は同じようだ。「そっかぁ。僕も買い出しだよ。布地を見たくてさ。何なら、一緒に行く?自転車もあるしさ。」「まぁ♪いいですわね。それじゃあ、ニケツで参りましょう。」と、まぁ僕はキラ姉ちゃんと二人で買い出しに行く事になった。
「あったあった……そういえば二ケツ棒が二つ着いてたな。これなら乗りやすい……」自転車置き場でベジータの自転車を見つける。こいつの自転車には丁寧に二ケツ棒が二つもついていた。確か、いつか女の子を乗せて二ケツするのが夢とか語ってたな。すまん、僕が先に実現しちゃうようだ。僕がサドルにまたがる。キラ姉ちゃんは二ケツ棒に乗り、僕の肩に手を置いてバランスをとる。「それじゃあ、れっつごーですわ!」キラ姉ちゃんの掛け声と共に僕は自転車を漕ぎ出す。キラ姉ちゃんが実はかなり軽いお陰か、自転車は快調に走っていく。道に出ると、道行く人がキラ姉ちゃんをジロジロ見てるのが分かる。何だ?確かに、キラ姉ちゃんは美人だけど……僕はチラリと後ろを向き……理解した。「キラ姉ちゃん……その……スカート……」そう、ただでさえ短いスカートが二ケツのせいでかなり際どいのだ。僕は思わずキキッとブレーキをかけて後ろを見る。キラ姉ちゃんは全く変わらない様子で二ケツ棒に乗っていた。「あら、大丈夫ですわよ。ほら。」キラ姉ちゃんは何を思ったかバッとスカートを捲りあげた。「うわぁ!?キラ姉ちゃん……あれ?」「ふふっ、私は体育祭の方でチアもやりますの。だから、今日はスパッツを穿いてるから大丈夫ですわ♪それとも、JUMは私の下着を見たかったですか?それなら、家に帰ってからいくらでも…寧ろその奥も…」「有難く辞退させて頂きます。」そっか。昇降口でチラリと見えたのはスパッツか。道理で……パンツにしては丈が長すぎると思った。「ミニを穿くからには見せないように努力はしてるものですわ。」キラ姉ちゃんがエッヘンと胸を張る。突き出された胸はとても真紅姉ちゃんと同じ歳……もとい、16歳とは思えないボリュームと迫力だった。「と、とにかくそれならいいや。行こうか。」僕は少々興奮気味になった息子を隠すように自転車を漕ぎ出した。
「じゃあ、昨日のJUMのデザインで決まったのですわね?」さて、しばらく自転車をこいで僕等は洋裁店についた。自分の理想の布地を探す。「うん、決まってホッとしてるよ。だから、今日は布地を注文して作るのは明日からかな。」パラパラと布地を見ていく。う~ん……結構な量がいるから予算は安めに押さえたい。まぁ、適当に言いくるめれば、梅岡のポケットマネーでも引き出せるだろうけど……「私のクラスは食べ物代に全てつぎ込む予定ですわ。」まぁ、フードファイトだしね。あれ?でも、キラ姉ちゃんの買い出しは早すぎないか?文化祭までに腐るんじゃ。予約しとくって形なんだろうか。「いえいえ、私はただおやつを買いに来ただけですわ~。」ああ、そうですか。おやつですか。キラ姉ちゃんのおやつって事は並の人の晩飯か、或いはそれ以上だな。僕はそんなどうでもいい事を考えながら布地を選んでいく。「でも……正直少しビックリしましたわ。JUMが学校でお洋服を作るだなんて。」キラ姉ちゃんも当然小学校のときの事は知ってる。同じ学年だからなおさらだろう。「ん……まぁ、色々思う所があってね。やっぱり僕はコレが好きだからさ。」「ふふっ、薔薇しーちゃんはみっちゃんさんにヤキモチ妬いてましたわ。」先日の屋上での事を思い出す。そういえば、そんな事言ってた。「ははっ……一応分かってもらえたと思うんだけどね……」「分かっててもヤキモチは妬きますわ……私だって……JUMと……」キラ姉ちゃんがボソリと言う。後半は声が小さくて何を言ってるか聞こえなかった。
「ふふっ、これだけあればみんなで食べれますわ♪」洋裁店で布地を決め、明日学校に届けるように注文した。その帰り、キラ姉ちゃん行きつけのお菓子屋さんでキラ姉ちゃんは大量のお菓子を買占め、ベジータの自転車の前カゴに詰めていた。「じゃあキラ姉ちゃんの買い物もOKかな?学校に戻ろうか。」「OKですわ。JUMには運送賃として、お先にお菓子をあげますわ。」自転車に乗る前にキラ姉ちゃんがお菓子をくれる。僕はそれを頬張ると、自転車を漕ぎ出す。ホンノリ甘く、口の中で甘みが広がっていくのを感じる。美味しいな、これ。学校に向けてこいでると、ふと背中に柔らかいモノが押し当てられる感触がする。同時に、僕の首に後ろから腕が回り、首筋に髪の毛と吐息がかかる。「うわぁ!?キラ姉ちゃん!?」「いいじゃありませんか……ヒナやカナがくっつくのはよくて、私は嫌ですか?」いや、そういうわけじゃない。寧ろ、嬉し……ごほんごほん!あの二人に比べるとキラ姉ちゃんが引っ付くのは僕に刺激が強すぎる。いや、本当に。特に股間への刺激が強い。緊張しながら自転車をこいでると、段差でガタンと自転車が揺れる。それに合わせる様に、僕の背中に押し付けられているキラ姉ちゃんの胸が一度離れて、再び背中につく。この時の背中の感覚が正直堪らない。確か、以前なんかの漫画でこのシチュ読んだな……あれは本当のようだ。「あんっ…・んんっ……ふふっ、擦れてちょっと感じちゃいましたわぁ。」僕の耳元でキラ姉ちゃんはそう囁く。耳にキラ姉ちゃんの熱い息がかかる。最早、僕は背中と股間と耳に全神経が集中しているのを感じた。「JUMは……他の姉妹とはキスして、私とは嫌ですか……?」キラ姉ちゃんが耳元で囁く。「え……?」「私知ってますわ。あ、怒ってるわけじゃないですわ。ただ……みんなが羨ましいんですわ。私だって……JUMは大好きですもの……私もキス…したいですわ。」「キラ姉ちゃん……」キキッとブレーキをかける。信号待ちだ。ここはそんなに長くない。でも……僕にとってここが一番長い信号待ちになった。
「私だって……ヤキモチくらい妬きますわ……JUM、こっちを向いて下さいな。」僕は言われるままに自転車にのったままキラ姉ちゃんの方に顔を向ける。直後、僕の頭は拘束され……僕はキラ姉ちゃんとキスをした。車に乗ってる人や、同じように信号待ちしてる人が凝視してるのが分かる。「んんんっ……ぷはっ……はっ…はっ…私だって……私だってJUMが大好き…ですわ。」キラ姉ちゃんはそう言うと、再び僕にキスをした。キラ姉ちゃんの腕に力が篭ってるのが分かる。それは、僕を離さない、離したくなって意思表示なのかもしれない。随分長い時間キスをしてた気がする。車は動き出し、代わる代わる僕等のキスを見て行った。「ンッ…JUM……」キラ姉ちゃんが顔を離し、ギュッと僕を後ろから抱きしめる。信号を見るといつの間にか青になってた信号が再び赤になっていた。要するに……みすみす渡れる機会を逃したって事だ。今度は逃さないように背中にキラ姉ちゃんを感じながら信号を見る。まぁ……同じように信号待ちしてる人や、車の人が僕らをジロジロ見てるのは気づかないフリをしとこう。さすがに……恥ずかしすぎる。ようやく、信号がかわり羞恥プレイが終わりを告げる。僕は再び自転車をこぎ始める。キラ姉ちゃんは無言で僕の背中に体をくっつけている。背中が温かい。僕は背中にキラ姉ちゃんを存分に感じながら学校へ向かって自転車をこぐ。「正直……自分でも変な感じですわ……」キラ姉ちゃんがポソリと言う。僕は無言でそれを聞いていた。「JUMが姉妹と仲がいいのは私も嬉しいです。ヤキモチなんて妬いた事なかった……でも…でも、JUMが姉妹とドンドンキスしていって…私だけ取り残された感じになって……JUMが姉妹とキスするのは私、何も言いませんわ。でも……私とはしてないっていうのが…嫌だったのですわ。もしかしたら、JUMは私が嫌いなんじゃないかって思ってしまって……だから…ぐすっ…」「嫌いな訳ないでしょ、全く……でも…何だかイイモノ見れたかな。キラ姉ちゃんがヤキモチ妬きだってさ。」背中がホンノリ冷たい。だから、僕はその冷たさの元を止めるために少しフザケテ言う。「ふふっ……私だって女の子ですから……でも、そんなJUMにはお仕置きですわ。」首筋がゾクッとする。それは、キラ姉ちゃんがカプッと僕の首筋に噛み付いたからだと分かった。
「え、ちょ……キラ姉ちゃん!?」僕は思わ振り向く。すると、そこには怖いくらいに笑顔のキラ姉ちゃんがあった。「うふふっ……JUM…JUMはいつか私が必ず食べてしまいますわよ♪」キラ姉ちゃんはそう言った。それがどんな意味なのか……僕は分からないままようやく学校に到着した。「それじゃあ、助かりましたわ。後で家で会いましょう、JUM。」「ん……また家でね。」キラ姉ちゃんは嬉しそうにお菓子を抱えて教室に帰っていく。僕は首筋をさする。ちょっとだけ歯型のようなのがあるのが分かる。そこだけ、少しだけ湿っぽかった。「JUM!お前、キラ嬢とニケツしてただろう!!」教室に帰ると、べジータが僕に詰め寄ってきた。「ああ。キラ姉ちゃんと一緒に行ったからな。」「貴様ぁあああ!!!何故俺に断りもなく……」「悪かったって。先に二ケツしてさ。お前もキラ姉ちゃんとニケツしたかったのか?」「違うわ!!」ベジータはグッと握り拳を作る。そして、熱く語りだした。「お前らの二ケツを後ろから着いて行きたかったんだよ!!そうすればキラ嬢の……ぱんてぃが・・!!」僕は呆れて声も出ない。大体、着いてきてもキラ姉ちゃんスパッツだったし。べジータが涙してると、ガッシとベジータの頭を掴む手があった。見れば、珍しく怒気を含んだ顔の薔薇姉ちゃんだ。「ば、薔薇嬢!!今のはちがっ!」「………月にかわって……お仕置き…きらきーをそんなエッチな目で見たら…許さない……」ズルズルと引きずられるべジータ。僕は、とりあえずその無事を一応心の中で祈った。「J、JUM!!!へっ……ここからが本当の地獄だ………うぼぁああああああああ!!!!」断末魔が響く。お約束を忘れない奴だ。「さぁ、みんなでおやつタイムですわー!」隣の1-Cから元気なキラ姉ちゃんの声が聞こえてくる。僕はその声にどこか安心すると、作業に取り掛かった。END
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