第十四話 JUMとお勉強
「一つ屋根の下 第十四話 JUMとお勉強」
「ん~・・・覚えにくいな・・・これ・・・」僕は現在リビングで一人で勉強していた。まぁ、理由は簡単だ。定期テストが近い。「えーっと、太陽に近い順から・・・水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星・・・あー・・・わかんねぇっての・・・」僕はグシャグシャと頭をかく。リビングには僕一人で静かだ。姉ちゃん達は多分それぞれ自分の部屋でやってるんだろう。そうじゃないと、主に銀姉ちゃんが好んで妨害してくるし。「あらぁ、JUM?」そして、その悪魔の声がする。振り返ると当然のように銀姉ちゃんだった。お風呂上りなのか、髪をアップにしていて、ネグリジェで包んだ体からはほのかな湯気があがっている。どこか全身紅潮しており、色っぽい。「銀姉ちゃん、お風呂だったの?」「そうよぉ~・・・JUMはお勉強中?」銀姉ちゃんが隣に座って体を寄せてくる。シャンプーとボディソープの香りにクラクラしてしまいそうになる。だらしなくはだけたネグリジェの胸元からは・・・・って・・・・「あの・・・つかぬ事をお伺いしますが・・・・銀姉様?その・・・下着は・・・・」「つけてないわよぉ~?このネグリジェはちゃんとバストの形も整えてくれるものぉ。あれぇ、もしかしてJUM・・・興奮しちゃった~?」ニヤニヤしながら銀姉ちゃんが言う。そりゃするさ。僕だって弟の前に男だし・・・豊かな胸とその先端にツンとしたピンクの突起が見えたら興奮するでしょ。「うっ・・・お、弟の前でそんな格好するなって・・・」負け惜しみだ。間違いなく。自分で分かる。声がどもってるもん。「ふふっ、JUMのエッチ~。そうだ・・・せっかくだからJUM・・・ここで保健体育教えてあ・げ・る♪」「えっ、やめ、うわあああああああ!!!」銀姉ちゃんが僕を押し倒す。僕の上に覆いかぶさった銀姉ちゃんは妖艶な笑みを浮かべていた・・・が。「水銀燈!JUMのジャマしないの!」次の瞬間耳を思い切り真紅姉ちゃんに引っ張られていた。
「いたぁい!何ってJUMに保健体育を・・・」「そんなの教科書見ながらでいいのだわ。JUMも鼻の下伸ばして・・・ドコ見てるの?」銀姉ちゃんの胸です・・・とは怖くていえない。明らかに死亡フラグだ。「あー・・・保健はいいよ。ある程度とれるから。それより地学がね・・・」とりあえず僕は誤魔化す。キッチンでカチャカチャと音がする。珍しく真紅姉ちゃんが自分で紅茶淹れてるのか。「ふふっ、JUMったら勉強しないでも保健取れるなんて何かエッチよぉ~?」「ほっといてくれよ・・・これ・・・太陽から近い順が覚えにくくてさ・・・」銀姉ちゃんはツーッと目で教科書を見る。「こんなの簡単よぉ。水金地火木土天海冥で覚えなさぁい。語呂もリズムもいいでしょぉ?」「すいきんちかもくどってんかいめい、かぁ・・・これならいいかも!ありがと、銀姉ちゃん。」「どういたしましてぇ・・・あ、こういうのもあるわよぉ?」銀姉ちゃんが少し真紅姉ちゃんを見てニヤリとする。「銀キラ蒼翠薔薇カナヒナ紅。うっふふふふぅ~。」ん?さっきと似てる気がするけど・・・なんだ?これ。「不等式にするとぉ・・・銀>キラ>蒼>翠>薔薇>>カナ>ヒナ>>>>>>>>>紅ねぇ。」あ、何か分かった気がする・・・けど、一応聞こう。「銀姉ちゃん?これは・・・・?」「戦闘力(バスト)の大きい順よぉ。あ、JUMを入れると銀>キラ>蒼>翠>薔薇>>カナ>ヒナ>>JUM>>>>>>紅かしらぁ?ふっふふふふ・・・・いたぁい!」銀姉ちゃんがサラサラとノートに書いていく。しかし、その時銀姉ちゃんの後頭部を掴む腕があった。「面白いわね、水銀燈。是非私の部屋でゆっくり話を聞きたいものなのだわ。さ、いきましょうか・・・・」ズルズルと右腕一本で銀姉ちゃんを引きずっていく赤鬼、真紅姉ちゃん。「いやぁ・・・JUM、助けてぇ~・・・いたぁい、頭割れちゃうじゃなぁい・・・」「一回割ってその脳味噌引きずりだしてやるのだわ。」僕は哀願する銀姉ちゃんを見送る。触らぬ真紅になんとやら・・・だ。
「うーん・・・高校は数学も難しいよなぁ・・・」僕は今度は数学で頭を悩ましていた。すると、小さい体が僕の目の前を覆った。「JUM、お勉強かしら?感心感心。」カナ姉ちゃんだった。まだお風呂は入ってないらしく、服も家着だ。「うん、そうなんだけど・・・数学がわからなくてさぁ。」「どれどれ・・・あ、これなら・・・これを・・・こうして・・・・こうかしら。」カナ姉ちゃんがノートを使ってスラスラと問題を解いていく。「わぁ、カナ姉ちゃん凄い。こんな簡単に・・・・」「ふっふっふ、当然かしら~。何なら今日はJUMに勉強教えてあげるかしら~。」願ってもない申し出だった。日頃の行動を見てるとすっかり忘れてしまうが、カナ姉ちゃんはそれこそ阿呆みたいに頭がいい。教え方も悪くない。最高の家庭教師だった。僕はあっと言う間にとき方を身に付けて行く。「ふぅ~・・・カナ姉ちゃんのお陰で助かったよ。ありがと。」「どういたしまして。弟のピンチを助けるのは当たり前かしら~。」そう言ってカナ姉ちゃんはその小さな胸を張る。「でも、本当助かったよ・・・そうだ、カナ姉ちゃんに何かお礼するよ。まぁ、僕が出来る範囲でだけど・・・何がいい?玉子焼き作ろうか?」「え?いいのかしら?ええと・・・ん~と・・・・」カナ姉ちゃんはうーんと頭を抱えて考えてる。そして、ポンと手を打つと少し顔を赤らめて言った。「じゃあ・・・抱っこして・・・ナデナデして欲しい・・・かしらぁ・・・」「んと・・・それでいいの?」僕はカナ姉ちゃんに聞く。まぁ・・・これくらいなら出来る範囲・・・だよね?「それがいいかしら~・・・」
僕はカナ姉ちゃんを抱っこする。まぁ、正面から抱きしめるような形だけど。そして、頭をゆっくりと撫でた。「ふにゃ・・・気持ちいいかしら~・・・・」僕の胸元でカナ姉ちゃんがもぞもぞする。小さな体が完全に僕の腕に収まっている。「えへへ・・・JUM・・・大好きかしらぁ・・・・」そのまま眠ってしまいそうな声でカナ姉ちゃんは言った。
翌日・・・僕は後悔した・・・せめて口止めしておけばよかった。カナ姉ちゃんにした事はあっと言う間に他の姉ちゃん達に知れるところとなったのだった。「JUM、昨日お姉ちゃんが教えてあげたわよねぇ?だから、抱っこ抱っこ~♪」「JUM!翠星石が家庭科教えてやるです。べ、別にお礼の見返りなんて期待してねーですよ?」「JUM君・・・その・・・今日は一緒に勉強しない?できれば・・・二人っきりで・・・」「JUM、紅茶の入れ方を教えてあげるのだわ。だから、お礼に毎日私に淹れなさい。」「JU~M、ヒナがお勉強教えてあげるの~。だから抱っこして~。」「JUM、美味しく頂くコツを教えてあげますわ。覚えたら、早速私で実戦してみましょう。」「JUM、保健は、体育とおなじ・・・だから・・・実戦が一番・・・」ああ、騒がしい・・・今度からは絶対口止めしとこう・・・僕はそう誓うのだった。END
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