第47話「大阪」
メザメガワルイ、キブンモワルイ。アアオレハ・・・マタクッテシマッタノカ。クヤシイクヤシイクヤシイ。ジブンヲオサエラレナイノガ―クヤシイクヤシイクヤシイ。ケド、アノニクハダレノダロウ?オイシカッタッケ?マズカッタッケ?アレ?ボクハナニヲカンガエテルンダロウ?ボクハ、ドコエムカッテイクノダロウ?ダレカ・・・コノネガイガトドクノナラ―オシエテクダサイ、デキルナライイハナシヲ―ワルクテモ―カクゴガデキルカラ・・・アノヒトハ・・・ホホエンデルカナ?ワラッテルカナ?モウドウデモイイヤ。サアオキナキャ、ミンナガボクヲマッテル。ミンナッテ?ダレダッケ?ボクハ・・・ダレ?キミハダレ?キミハ・・・ボクハ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ガバッ!・・・勢い良く布団を跳ね除け、ジュンが目を覚ました。此処は何処だっけ・・・っつつ・・・頭が痛い。けれど、何処にも傷は無い。僕の名前は桜田ジュン、年齢は15。私立薔薇学園の生徒、身長164cm、体重50~75。嗚呼まだ自分が居る、そんな単純な事に感動を覚えつつ、辺りを見回す。今は大体お昼ぐらい?そして此処はバスの二階・・・嗚呼そうか、また成ってしまったのか。僕の中のアレに、本能しか知らないモノに。知性の二文字も知らない、異形のものに。包帯を見ようとするが、そんな物無いのに気が付く。あって欲しいと思ったが、アレはやはり許してくれないらしい。あんな傷を負って、包帯が無いのはアレが出た証拠。さて、今下はどうなってるだろうか?アレに誰か喰われて無いだろうか・・・思わず身震いする、何馬鹿なことを考えてるんだ・・・そう思い、下に降りていく。
J「皆!お早う!」
取り敢えず、笑顔で言って見る。8人皆生きていた、胸をホッと撫で下ろす。俺の考えだけで終わってよかった。そして、皆の声が返ってくる。
翠「相変わらず、チビは朝が遅いですねぇ。」蒼「姐さん!もう・・・お早う、ジュン君。」薔「翠星石昨日、ジュンが倒れて一番オロオロしてた・・・」翠「キィー!その先を言うんじゃねぇです!」J「あははは。」真「お早う、ジュン・・・もう昼だけど。」J「ははは・・・(きつっ)」銀「もう傷は大丈夫なの?」J「何とか、な。」雛「うゆー、朝ご飯は如何するの?」J「・・・いや良いや・・・お腹一杯なんだ。」金「何か無理してないかしら?」J「ははは・・・気のせいだよ、うん、気のせい。」
何気ない会話、だが皆、僕に気を使ってくれているらしい。確か、この車は薔薇水晶が運転している。雪華綺晶が教えたのだろうか?
雪「ジュン様・・・話が。」J「・・・判った。」
そういうと、僕と雪華綺晶は場所を移動する。彼女が様をつけるときは・・・厭な話のときだ。
雪「アレはどういう事ですか?」J「・・・判らない、自然に作動したんだ。」雪「・・・そうですか・・・でも良いですか?アレは、本当は作動してはいけないのです。」雪「アレの及ぼす、周りへの効果は言うまでも有りません。」雪「今後は出来るだけ、アレの活動を阻止してください。」J「・・・ああ、判った。」雪「気を付けてくださいな?アレは渇望、希望何て、大したモノではないのですよ?」J「・・・判ってる。」
そう言うと、雪華綺晶は真紅達の所に向かう。・・・判ってる、アレは・・・希望なんかじゃない。アレは・・・絶望そのものだ・・・そろそろ、大阪に着くだろう。大阪で、一体何が待っているのだろう。何か・・・何かが待っている気がする。ソレが希望なのか、絶望なのか判らない。さて・・・そろそろ、運転を変わらなきゃな。
ふと、面白い事に気が付いた。誰が今、この車を運転しているのだろう。其処で、気を紛らわす程度で、思索を開始した。本当は分かっていたのかも知れない、自分を騙したかったのを。けれど、其れで良かった。騙せれば、何時もの自分で居られるから。これ以上、無駄に死人は出ないから。・・・自分だけで、こんな気分の人が抑えられるから。正直、もう自分は死んでも良かった。それでも、他人がまたこうなるのが判るから。死なずに生きてきた、其れは其れで良かったのかもしれない。自己満足と言ったら、其処で終わりだが。
J「さて、運転してるのは誰かな・・・」J(蒼星石は安直だが、自分からやるとは良いそうに無い。)J「・・・もしかして。」J(薔薇水晶?雪華綺晶なら、やりかねないな。)
そして、また歩を進める。運転席について驚いた。
銀「あらぁ?運転代わる?」
水銀燈だった、水銀燈が車を運転していた。以外と言えば以外だった。水銀燈なら、真紅と話でもしてると思ったからだ。
J「ん・・・ああ、代わるよ。」銀「そうしてくれると嬉しいわぁ。」
そう言って、水銀燈は背伸びをして席を立つ。たゆんと、胸が揺れると、ジュンは少し寒気を覚える。あの風呂の時のトラウマは、まだ力強く根付いていた。そして、運転席に座る。前方約10キロ、大阪の支部が見える。其処で、少しの安堵感と。少しの達成感が生まれる、考えれば、結構長旅だな・・・
J「・・・」
ため息を押し殺し、大阪の支部の門に。ゆったりと、しかし確実に近づいていった。
然る内に、数分後。大阪の門の前に、ジュン達はたどり着いた。奇しくも、時同じくして。杖は僅かに熱を発し、周りの周囲に溶け込み、移動をしていた。
ジュンは、大阪の支部の門につき。証明書と、音声認識、指紋提出を終えて。先に行った、彼女達を追い始めていた。其処で、作業服を着た、いかにも的な人が出てきた。
人「すみません、お届け物を渡そうと思いまして・・・」J「何処ですか?」人「此方です。」
そう言うと、ジュンを連れて地下の方に向かう。10分歩き、20分歩き。人の混雑具合が、サッパリになってきた頃。いかにも的な人が、口を開く。
人「お久しぶりです、ジュン様。」J「・・・誰だ?」
・・・ヒュパッ・・・服が風を切り。思わず、戦闘態勢を取る。此処最近の、思い知った結果である。しかし、殺意が無い所から、ジュンは警戒を解く。
人「私です、杖ですよ。」J「・・・いや、サッパリ真意が・・・」人「貴方が、お爺さんにあげた・・・」J「・・・何故来た?」人「とあるお方の、ご命令で。」J「また、ローゼンか?」人「素晴らしい直観力です。」J「・・・ベースは、あの孫か。」人「本当に、素晴らしいお方だ。」
そう言うと押し殺した声で、クックックッと低く笑う。正直この笑い方は、好きになれないと思った。
人「率直に言います、私を貴方に入れます。」J「俺にソッチの気は無いぜ。」人「・・・ウホッ。」J「冗談だったんだが・・・本物か?」人「冗談です。」
そして、少し低く笑い声を出した。クックックッと小さく、押し殺した声が地下に響いた。
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