第七話 「無意識の海」
・・・ん?ふぁーあ・・・眠いなー。此処は何処だろう?周りを見回してみると変な光景が広がっている。白色に包まれた世界に水が流れている。何だろう此処は?周りは波打つ音しか聞こえない。海以外に見える物は無い。一体何時私は此処に来たのだろう・・?考えるが思い出せない。記憶を辿っても辿っても思い出せない。今以前の事が思い出せない。・・あれ?じゃあ私は・・・?
「私はだぁれ?」
海に聞いても返事は無い。どういう事なんだろう・・?私は誰?此処は?何時?何もかもがわからない。自分が自分という証さえもわからない。一体私は・・・。
「こんな所にお客さんとは珍しい。」
上から声がする。上を見上げてみると少年・・・いや少女が浮いている。なんで空中に浮いているんだ・・?
「君の名前は・・?って・・何故君が此処にいるんだい?」「あなたは・・・私を知っているの?」「!・・・そうか、君も“無意識の海“に飲まれた一人になったのか・・。 覚えてないのは無理は無い。」
・・何を言っているんだろう?だけどこの人は私を知っている。
「私は・・だぁれ?あなたは・・だぁれ?」「・・・んー、どこから説明した方が良いだろうね。」
「ひとまずこれだけは言える。 僕は君を知っている。君は何も知らない。 悲しいね、そして僕が君に言葉をかけても 君は自分自身を見つけることが出来ない。」「つまり・・・思い出せないって事?」「そうなるね。」
・・・はぁ。思い出せると思ったんだけどな・・がっかり。
「けど・・あなたはあなたを知ってる。あなたはだぁれ?」「僕かい?僕は・・・。」
名前を言おうとした時彼女が顔を歪める。どうしたのだろう?
「・・・御免、言えない。」「何で・・?」「僕は“罪人“、償いという終わりの見えない道を歩くただの“罪人“。 そんなのに名前を語る資格は無いよ。」
兎に角言いたくは無いって事か・・。
「まぁ好きな風に読んでくれると良いよ、“ “。」「・・え?」「あ、そうか。君の名前を呼んだんだけどね。 君が自分を知る事を拒んでいる。」
「どういう事・・?」「恐らく君は現実世界で自分を殺してしまったのだろう。 無意識に隠れる自分への嫌悪という感情、それが君を殺してしまった。 故に君は此処に居るし、自分を知ることが出来ない。」
じゃあ・・・どうすれば自分の事を思い出せるのだろう?・・というかその前に現実世界って?
「現実世界って・・?」「此処は現であって夢である、君は半分死んでいるんだ。」「・・どういう事?」「わかりやすく言えば君は現実世界で精神崩壊している。 自分を殺しちゃったからね。 しかし体との繋がりがある以上完全には死んではいない。 だから第0世界へは行かずに此処に来たんだね。」
って事は・・・。
「私は・・・幽霊?」「みたいなもんだね、しかし死んでは居ない。 まだ生きる道はある。」
彼女が大きな鋏で海をさす。というより一体なんでこんなに鋏がでかいんだ・・?
「此処は“無意識の海“、世の始まり、混沌の世界。 時間も無く、場所も無い、無秩序の混沌。 普通死んだ人は無に還る、けどね・・精神崩壊などして 心がばらばらに砕けてしまって中途半端に生きてる人の思いなども 此処にさまよっている。」
・・・よくわかんないけど私の記憶とかは此処にあるって事なのかな・・?
「私は・・・思い出せるの?」「うん、君は生きている。死んでなんかいない。」「・・・あなたは?あなたは何なの?」「・・・僕はもう死んだ人間、混沌の世界で記憶を持って償いの道を歩んでいる・・。 此処では珍しいケースだよ、体だけ死んでる人間なんてね。」「・・・。」「僕は君を生かしてみせる、ついて来て。 海を彷徨えばきっと・・・思い出せるはず。」
そう言うと彼女はいきなり海にへと飛び込んでしまった。急いで後を追う。
「・・・くっ!」
何と言えばいいのだろう・・・?感情?色んなものが私に流れていく。
「君の壊れた心の中に様々なものが流れ込んでは また流れ出す・・。その中で記憶だけは残る。」
つまりは思い出すまでこのままなのか・・・。ちょっと苦しいな。そう思った瞬間何かが流れ込む。
「・・・!」
“薔薇水晶“これは私なの・・?
「思い出せたかな?」
そうか私は“薔薇水晶“。思い出した。でも・・何故私はこんな所に?その後もどんどん記憶が流れ込む。そして・・彼女の名前も思い出す。
「そっか・・・あなたは・・・蒼・・・!」
そこで言葉が止まる。苦しみが流れ込んできたから。
そして
自分を殺してしまった記憶まで流れ込む。
「う、うあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
惨劇。また悲しみと苦しみの沼に立ち入ってしまった。私は生き返った自分を再び自分の手で殺し始める。じっくりじっくり・・。助ける者は居ない。そんな中で孤独にへと追いやっていく。ポンふと方を叩かれる。さっきと違った点が1つあった。誰かいる。ラプラス以外の誰かが居る。・・・だぁれ?私を・・・孤独から救おうとするのは・・・。ふと周りを見回す。其処は何故か学校だった。何で学校に・・?誰かの思い出の・・映像?そんな事を考えてると誰かが声をかけてきた。
「全く・・・お前は何をやってるんですぅ!」「そんな事言うなって・・・大丈夫かい?薔薇水晶。」
誰の声かと一瞬考えた。そしてすぐわかった。これは友の声、そして其処にいるのは・・・私の・・・友達。
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