第3話「蓬莱古来」
J(・・・)
眠らなかった。
J(眠くは無いんだが・・・)
あまり眠らないと、精神的に参ってしまうが。・・・やはり、眠れなかった。
J(まぁいい、今日も今日とて、1日は始まる。)
そう言い聞かせると、ジュンは飯を作りに。鞄の中を開け、材料が入ってないのに気が付くと。蒼星石を起こして、食堂に食べに行った。
たいして人の居ない食堂で。蒼星石は欠伸をして、食べ物が来るのを待っていた。まだ慣れない旅で、疲れてしまったのも有るが。暇を持て余しているのも、紛れも無い事実である。今日は適当に車で、国内の名所巡りをする予定だが。先ず最初に歴史博物館に、行きたいと思った。だがまだ会館までには、時間が有るので。適当に町で、暇を潰す事にした。しかし、腹へっては何も出来ない。其処で食堂で、お稲荷と梅干でも注文して。ずっと待っているわけだが・・・遅い・・・何してるんだか・・・
J「・・・」
ピンポーン・・・其れは待ち始めて、38分46.576秒位待った頃に、鳴って来た。余りに微妙な数字だが、体内時計がそう告げるのだから違いない。恐らくアルバイトらしき人が出てくる。胸の所にアルバイトと書いた、バッチらしき物があるから間違い無い。ドン!・・・ガタン・・・カタン・・・
ア「・・・」
ゑー!?それだけ!?あんなに散々待たせておいて?!心の中でそう突っ込みながら、蒼星石にはあんなふうに、アルバイトしちゃ駄目だと言い。蒼星石が好きで頼んだ、お稲荷と、僕が好きで頼んだ梅干を食べる。
J「・・・そうだ、何か買わないか?」蒼「そうですね・・・僕の護身用の武器でも・・・」J「それじゃあ、買いに行こうか。」
そう言うと、立ち上がり街まで行く。・・・何だか、そこ等辺の人の視線が・・・かなり痛いんだが・・・取り敢えず、雑貨「魔」店まで少し急ぎ足で向かう。この不思議な世間、旅人を有効活用しようと。色々な研究が進められてきた、其れはオカルトでも同じことで・・・最近は外の世界の魔の領域までも、実験対称にしているらしい。・・・悪い事が起きなければ、良いのだが・・・そんな事を考えている合間に、僕等は雑貨魔店に辿り着いた。
J「さて・・・何を買おうか・・・」蒼「ジュン君、僕は剣なんかが良いと思うだけど・・・」J「うん、此処の店の人が、判断してくれるさ。」蒼「そうなの?」J「まぁ、入れば分かるさ。」
そう言うとジュンは、雑貨魔店の中に入っていった。中では、自分の「性質」を見抜いてもらい。自分に一番見合った武器を、与えてくれるというシステムだが・・・蒼星石には何が・・・あ、俺も序に調べてもらうか。俺には一体、どんなのが来るんだろうか・・・
J「すみません、検査してもらいに着ました。」
すると中に居た店主は、死ぬほど嬉しそうな顔をした後。大声でいらっしゃいませ、と言ってくれた。・・・1体何が有ったのだろうか・・・
店「ようこそッッッ!こんな所へッッッ!!!」J「あ、はい・・・」
ビックリした・・・蒼星石は驚きのあまり、僕の後ろに隠れてしまった。流石に自分のしている事に、気が付いたのか。申し訳なさそうに、ジュンに話を進める。
店「すみません・・・久しぶりの旅人だったもので・・・」J「何か有ったんですか?」店「其れがですね・・・説明しますと・・・」
昔々、まだこの国が集落だった頃。犯罪も、殺人も無く。村は完全に安定していた。その日々が永遠に続くかと思われた、ある日。その村に一人のいや、一匹の妖怪が現れた。最初は人の形をしていて、喜んで向かい入れたんだが。その後が不味かった、なんと妖怪が暴れたのだ。それ以降旅人は、忌み嫌われる存在になり。国の民にだけ優しい法律を、其れ以外の者には厳しい法律で。少しでも国の損害を削ろうと、躍起になったわけだ。そして皮肉として、民に優しい国なんて、仇名がついたんだろう。店員はそう言っていた。
店「私も運悪く此処に、移転してきてしまったんですよ・・・」J(・・・・・・)店「所で、何かようかい?」
其処で、本来するべき事を思い出し。蒼星石と、自分に見合った武器を、検出してもらう事にした。
店「何もこんな辺鄙な所で、しないでも良いのに・・・」J「ははは・・・生憎前の所はだめでね・・・」
そう言うと店長は、杖を取り出し。蒼星石の前で、判別呪文を謳った。その発音は覚え辛く、常人には発っせない音だ。すると蒼星石の周りで、淡い光が漏れたかと思うと。店主が口を開いた。
店「えっと?これは・・・両刀・繋ぎの型ですね。」J「それじゃあ、僕もやってもらえますか?」店「あいよ。」
すると店主が、もう一度何かを発音して。やはりジュンの周りで、淡い光が漏れた。
店「これは・・・」J「何でした?」店「ナイフに、大鎌、大剣に・・・【魔具】・・・」J「どうも。」店「・・・けどあんたは・・・」J「シーッ・・・私も彼方も、平穏を望んでおります・・・」J「どうぞ・・・この件は御内密に・・・」J「何も・・・問題は無い・・・」店「何も・・・問題は無い・・・」
そう言うと、仮面のような笑みを浮かべたまま、店主は元に戻っていった。
蒼「ジュン君・・・何したの?」J「気にするな、良くあることだ。」蒼「へぇ・・・」J「此処から、両刀・繋ぎの型って書いてある武器を、持って来な。」蒼「分かったよ、ジュン君。」
そう言うと蒼星石は、今言われた武器を探しに行った。ジュンは適当に、【魔具】と呼ばれた武器と、ナイフ、短剣と大鎌、大剣を取り出した。序にジュンは、店主を催眠状態に陥れているので、金を払う気は無かった。
J(これじゃあ、山賊だな・・・)
そんな事を考えながら、蒼星石が帰ってくるのを、唯ひたすら待っていた。暫くしてジュンが、投げナイフを実践し始めた頃。蒼星石が、鋏のような刀を取ってきた。其れは、分解したら二つの刀に成るタイプの、特殊な刀だった。時に、1対1にも使われるとか、使われないとか。まぁ攻撃の型は、随分とイレギュラーに成るんだけど・・・
J「取ってきたか?」蒼「うん。」J「それじゃあ出発だ。」
そう言うと外に出て手を叩き、店主を起こしていてあげた。・・・売り上げは、少ーし偽装しておいたけど・・・
J「さて・・・そろそろ開館かな?」蒼「何がですか?」J「ゑ?歴史博物館だよ。」
そう言うと、蒼星石は思い出したように。2~3度頷いていた。・・・忘れてたのか・・・
さて・・・暫く歩いて、歴史博物館前に辿り着いた訳だが。中に入ると、行き成りチケット売り場の人に、顔見知りされた。しょうがないので、そのままチケットを買って入ると。館長らしき人が嫌ーな顔をして、ここの国の歴史を教えてくれる事になった。・・・そんなに俺顔見知りされる顔か?
館「其れでですね・・・この国の歴史ですが・・・」
約1500年程前、一匹の狐が全世界で暴れていたんです。確かその時は、数百の人を捧げて静めたといいますが。その騒動から数年後、この国もその騒動により、外の人が通うように成りました。此処までは我々の祖先も、ある程度は予想をして居ました。しかしそれから数年後、とある国から来た奴が居たんです。何で人といわないのかは、そのうち分かります。そいつがですね、何と有ろう事かこの国の中で、獣化したんです。獣化して人々を、数十人血祭りに上げた其れは、こう言い放ちました。
狐「わが名は、血に飢えし十四尾の狐!!貴様等の血を喰らいに来た!」
その後、暫くその狐と人との交戦は続きました。数年続くほど、その狐一匹の力は強大でした。そしてとある日、狐の死骸らしき物を見つけたのです。誰かは今となっては分かりませんが、誰かが助けてくれたのでしょう。そしてこの国は、外からの旅人を危険視し。国の中の者だけを、丁重に扱うようになりました。
J(まさか・・・いやね・・・)館「どうかしましたか?」J「いえ、何でも無いです・・・」館「それでは・・・ごゆるりと・・・」J「・・・」蒼「ジュン君・・・あの人・・・」J「いやいい、俺も気が付いてるから・・・」
外では、ゾロゾロと人が集まりつつある・・・ジュンは微妙な、気の流れを読んでいた。
J(さっきのあの店主・・・俺を見破ったか。)
そう考えていると、外から声がする。
***「おい!出て来い!狐野郎!人間のふりしてても、バレバレだぞ!!」J「・・・はぁ、面倒臭い。」蒼「ジュン君?何言って・・・」
そう言うか早いかジュンは背中の下に、大き目の穴が開いた服に着替えていた。その服は言うならば、男性が着るような神社の服で、この時ジュンは眼鏡をつけていない。
蒼「ジュン君・・・何を・・・」J「ボクと君は同類項で纏められる、そんな所だ。」蒼「何を・・・」
すると、ジュンの背中の服の穴の所から、尻尾が生えてくる。1,2,3・・・40本!?狐は百年で、尻尾が一本生えるから・・・4000年以上!?ま、まさか・・・今は西暦3178年・・・紀元前から生きて居たんだ・・・・・・この事で、嫌な考えが思いつく。
J「そのまさかだ、あの大騒動を起こしたのは、私の半身だ。」
混乱する頭、え?一体何を・・・
J「私は治す者、あの事件の収拾をつけている。」蒼「・・・其れは一体・・・」J「・・・こう言う事だ。」
そう言うと、ジュンはそのまま外に出て行く。蒼星石はジュンの余りのスピードに、付いて行くのが精一杯だった。そしてジュンは、博物館の上に立ち、高々とこう叫んだ。
J「話を聞こうか!!私に何のようだ!!」***「ふざけるんじゃねぇ!またあの事件を起こしに着たんだろ!?」J「貴方等が疑うのも無理は無い!!私は神々の一人として、平和を約束しに来たのだ!!!」***「証拠は何処に有るんだよ!」
するとジュンは、高々と手を振り上げる。すると、数人が驚きどよめいた。
J「天の声を告げに来た!とくと聞くが良い!!」
すると、天地から何処からともなく、声が聞こえ始めた。耳を澄ませると、声は天の断層から出ているようだ。微妙に大きな図体も、見え隠れする。
神「そちらは37尾のジュンかの?」J「惚けてるんじゃないぞ、爺さん私は40尾だ。」神「五月蝿いのぉ、たかが4098年生きてるからって、図に乗るんじゃないぞ?若造。」J「アンタだって、もう何億と生きてるんだ、さっさと次の世代に変わりなよ。」神「これだから、若造は・・・」J「さっさと、神のお告げを言いなよ、皆困ってるぜ?」神「分かってるわい・・・これだから若造は・・・」
少し皆困っていた、こんな陽気な爺さんが神だと?中には神とすら疑う者さえ居た。
***「お前は誰だよ!」神「五月蝿いのぉ、年寄りの話は静かに聞くものじゃぞ?」
そう聞こえるたと思うと、若者の口は何かで固定されていた。すると、周りの人も其れに驚いたのか、口を閉じる。
神「では諸君!お告げを語ろう!」神「此処に居るのは!かつて暴れた狐のもう片割れの兄弟じゃ!」
思わず、少し怒鳴ろうとしたが、諦めて口を塞ぐ者が居た。
神「皆の怒りは判らないでもないが!もう過ぎた事じゃ!いい加減許したらどうかと思う!」神「そこでじゃ!此処に居る2人が出て行ったら、それ以降の旅人には優しくする。」神「其れで納得してくれるかの?」
暫く沈黙が続いたが、皆は息を合わせたように、それに賛同した。
神「それでは私は消えるが、この者達を傷つけないように!」
そう言うと、神の現れていた場所には、何も無くなっていた。
J「其れでは私は去ろう!さようならだ!」
そう言うが早いか、ジュンは皆が動き出す前・・・いや正確には、ジュンは蒼星石と自分以外の時を止め。さっさと荷物を出して、宿屋から町の外に時空の歪を作りあげ。蒼星石を軽トラに乗せ、とっとと町の外に出ていた。恐らく数年後には、この町に怪奇話として残っているだろう。蒼星石は余りの早業に、この間声を出す暇さえなかった。
街から暫くして、蒼星石が口を開く。
蒼「・・・ジュン君・・・」J「その・・・何だ?黙ってて済まなかったな・・・」蒼「・・・うん・・・」蒼「僕は今7尾なんだ・・・僕は、九尾が一番強いのかと思っていたよ・・・」J「・・・十尾から上は、伝説上の生き物として、神として崇められてきた。」J「知らないのも無理は無い・・・」
そう言うと、暫くしてジュンが口を開いた。
J「・・・この服着替えたら、全部を簡単に話すよ・・・」蒼「・・・うん・・・」
暫く、このあたりを車のエンジン音だけが包んだ
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