超機動戦記 ローゼンガンダム 第二話 激突する力
超機動戦記 ローゼンガンダム 第二話 激突する力「搭載機、すべて出撃完了しました。」ブリッジでサクラダ副官の巴が言う。「了解だ。ブリッジ遮蔽。全武装起動。アリスのMSの迎撃に移る。サクラダ、発進!」JUMの声が上がる。メイデンの旗艦サクラダ。特に足が速かったり、搭載可能機が多かったりはしないが、戦闘に関しては数あるレジスタンスの旗艦の中でもトップクラスの力を誇る。22基の対空機銃「ベリーベル」、右舷2連装砲「レンピカ」、左舷2連装砲「スィドリーム」6連装ミサイルランチャー「メイメイ」、主砲「ホーリエ」とかなり強力な火力を誇り、防御面も相手のミサイル等を自動でレーザーで迎撃する自動迎撃システム「ピチカート」も搭載しておりかなりの戦闘力を誇っている。この時代の戦艦はとにかく狙われやすいため、ビーム兵器に対しては特殊なコーティングを施すことである程度は無効化できる。しかし、実弾兵器となれば話は別だ。もっとも、サクラダの場合は・・・「熱源を確認!ミサイル15、きます!」「ピチカート起動!砲撃手!撃ちもらしはベリーベルで撃ち落せ!」とりあえず挨拶代わりという感じだろうか。15のミサイルがサクラダに襲い掛かる。しかし、熱源に反応した迎撃システムピチカートは正確にミサイルにレーザーを照射。艦に着弾させることなく防いでしまう。「熱源13消滅!残り2はいまだ接近中!」パパパパパパパパパパパパパパパパパパパ!!!!巴が報告を入れるが早いか、対空機銃ベリーベルの発射音が響き渡る。連射された弾はミサイルを打ち抜き爆発させる。「熱源完全消滅。ただいまの攻撃で本艦への損傷はありません。」「よし、気を抜くな。射程距離に入り次第こちらはレンピカで牽制する。」とまぁ、かなりの耐久力を誇るのであった。そして、旗艦の防御力の高さはそのままMSの攻撃力に直結する。「はぁい、さようならぁ。」実体剣を持ったスイギントウがアリスの主力量産MS「バーズ」を右肩から一気に切断する。爆炎の中スイギントウは次の目標を定める。「水銀燈、分かってるとは思うけども、私たちの目的は街の防衛よ。出すぎて進入されないようにするのだわ。」「分かってるわよぉ~。隊長機を探してるだけだものぉ~。」アリスの戦闘隊形はかなり異質だ。バーズにはほとんどが人工知能が積んであり、無人兵器なのだ。その兵器を率いるのが部隊に一機ないし、二機の隊長機。この隊長機にはアリスを崇める人間が乗っており人工知能を制御している。つまり・・・隊長機を撃破してしまえばただの動く的という事だ。しかし、そのせいか隊長機はやはり後方にいることが多い。結局の所は、特に防衛戦は向かってくる相手をすべて倒すしかないのであった。「うゅ・・・でも、今日は数が少ない気がするの。」照準を合わせライフルを2連発するヒナイチゴ。1発は右脚部に命中し、そのまま2発は腹部に直撃。撃墜する。実際、雛苺の言うとおり街を襲撃に来た割には敵の数が少ないようだった。「きっとカナ達を恐れて逃げ出したかしら~。ここは一気に攻め込むハイテンションミュージックかしら!」多数の音波兵器を搭載するカナリアが味方の精神状態を向上させる音楽を流す。その音は不思議な物で、様々な力を引き起こす。中には反応速度を引き上げたりするものさえある。(確かにおかしいのだわ・・・それに、あの無感情の人工知能が恐怖など抱くはずがないのだわ・・・)真紅が思考していると、敵機がビームサーベルを持ちながら襲い掛かってくる。「っ!?遅いのだわ!」シンクはそれを後方に下がりながら回避する。そして腰部に収納されている特殊兵装「ツインテール」を取り出す。金色の2つの鞭は中距離を完全に支配し、シンクの腕がそれを振るうたびに装甲を削り取っていき、敵機を破壊する。そのときだった。「挟撃!?反対方向から敵MS郡影が!」レーダーを見ながら巴が叫んだ。「やられた・・・数が少ないのはこのため・・・」バラスイショウがサーベルでバーズを薙ぎ払う。攻撃力に特化したバラスイショウを量産MSがとめる術はない。「薔薇水晶、後方は私が行く。あなたはこのまま前面を防衛して。」機体を翻しながら雪華綺晶が言う。「ちょっ~っと待つです!後ろは翠星石達に任すです。」そのキラキショウを遮る様に前へ出たのは巨大な砲身を持った緑の機体と、鋏のような対艦刀を持った青い機体だった。「任せて、雪華綺晶。纏まって来てるならこっちに分があるんだから。」蒼星石が言う。「・・・分かったわ。くれぐれも撃ちもらさないようにね。」雪華綺晶も納得したのか再び機体を翻し前面の敵機に向かっていった。「JUM!万が一のためにメイメイの照準でも合わせとくですぅ!まぁ、翠星石がミスなんてありえねーですが。」「お願いするね、JUM君・・・ボソボソ翠星石は切れやすいからね・・・ボソボソ」入ってきた通信に苦笑するJUM。根拠のない自信を開かす姉とそれを心底心配する妹。「策敵、目が疲れるだろうがしっかり見ててくれ。砲撃手、もし突破されたら僕の許可なしに撃て。」JUMがクルーに命令を下す。「ひーふーみー・・・・12機ですね。おそらく二機ほど隊長機ですぅ。」スイセイセキが背面に取り付けてあった砲身を構え狙いを定める。「よく狙ってね。人工知能はやっぱり若干反応が遅いから上手くいけば一回で落とせるよ。」対艦刀を構えながら蒼星石が言う。「分かってるですぅ。漏らしたのは蒼星石に任すですぅ。」「うん、任されたよ。」砲身に膨大なエネルギーが集まる。スイセイセキの持つ「ガーデナースプリンクラー」は正にこのような状況を想定して作られたものだった。大きな口から吐き出されるビームの雨は広い範囲で降り注ぎ撃墜されないまでもどこかしらに破損してしまう兵器。雨の日にいくら傘があっても濡れるのと同じだ。「チャージ完了、いっけぇですぅ~!」庭師の如雨露が水を撒き散らすようにビームが後方を襲撃してきた部隊を襲う。それぞれ少し遅れながらも回避行動をとるものの、2機が撃墜、ほかもところどころ煙をあげている。「この距離ならもう一発ぶちかませるですぅ。蒼星石、まだ出ては駄目ですよ?」他に余分なエネルギーを取られない為か、砲身は再び砲撃可能寸前まできている。「分かってるよ。後は僕に任せて。一応出力を絞って一番弱いのを撃てる様にね。」ガーデナースプリンクラーは出力を抑えれば並みのビームライフルと同程度の砲撃が可能だ。これならばほとんど連射が可能だ。もっとも、並みのライフルのように扱うには大きすぎるため翆星石はあまり好んで使わないのだが。再び狙いを定める。「もういっちょいくですよ!いいかげん落ちるですぅ~!」再び放たれるビームの雨。最初の砲撃で損傷したせいか、今度は回避運動が上手くいっていない。防御を余儀なくされた残ったバーズだが、耐え切れるMSは少なかった。12機いたのがついに2機。「ちっ、残っちまったですぅ。」「大丈夫、任せて。」そしてその2機に向かっていく蒼い影。両手には鋏の片刃を一刀ずつ持っている。庭師の鋏、ガーデナーシザーの分離形態ソードモード。「遅いよ・・・はぁぁぁぁぁ!!」右腕を失っている残っている内の一機にあっという間に接近した蒼い影は左手の片刃で頭部を切り落とし、そのまま左にぶれる機体のまま右手の片刃で胴体を切断する。そしてすぐさまバーニアを吹かし爆発に巻き込まれないように、残りの一機に近づいていく。「ひぃ!ア、アリスの予想にこんな結果はなかったぞ・・・く、来るな!来るなーーー!!」隊長機だったのだろう、接近する蒼い影に恐怖の念を抱きながら武装のライフルを発射する。しかし、蒼い影・・・ソウセイセキはすぐさま本来のガーデナーシザーの形、シザーモードに変換し片腕で頭部に備え付けてある一風変わった帽子の様なシールドをかざしビームを無効化する。近接戦に特化し調整されたソウセイセキは伊達ではない。驚異的な速度で間合いに入ると鋏は閉じたままですれ違いざまにバーズの左腕を切り落とす。「ぐわぁ!?く、どこに・・・後ろ!?」バーズのパイロットが衝撃に襲われながらもソウセイセキを目視で確認しようとするが、見つからない。そして、見つかった時には開いた鋏が胴体部を捕らえていた。ジャキン!!と音を立てて鋏が機体を切断する。その装甲は鋏の前には紙の如し。爆発寸前のバーズを尻目にソウセイセキは帽子のシールドで爆風を防御しながら下がる。「ふぅ・・・後方は殲滅完了・・っと。翆星石、前線に戻るよ。まだ戦闘中みたいだ。」「しゃーねーなー。さっさと助けに行ってゆっくり休むですぅ。」通信で話す双子。そのまま二人は機体を翻しまだ続く戦闘へ向かっていくのだった。次回予告 なおも続くアリスの激しい攻撃。必死に街を防衛するメイデン。そんな時、アリスのパイロットの言葉が真紅へ突き刺さる。果たして、裕福ながらも完全に統制され、支配された生活は人にとって幸せと言えるのか。次回、超機動戦記 ローゼンガンダム 「アリスの支配」 混沌の世界、切り開け水銀燈!
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