第41話「情報」
シ「本当に何者だ!?お前は!?」J「言うなら死の曖昧が濃い者、死なんて気合である程度何とかなる。」
そう言うと、フンと鼻を鳴らしてジュンは椅子に座る。如何見ても、刺客と戦う態度では無いジュンに。シュルクは刺客としての、プライドを傷付けられたのか、憤怒を湛えていきり立っている。するとジュンは、今にも襲い掛かりそうなシュルクに、笑いながら言った。
J「それ程人間の生き死になんて、曖昧なものは無い。」シ「可笑しいぞ!?何で生きてる!?腹を裂いて!頭を潰して!」シ「其れでもお前は、死なないって言うのか!?」J「其れは違うよ、殺しの詰めがただただ、非常に甘かっただけの事。」J「俺だって、細胞が一つたりとも残らなければ死ぬさ。」シ「こやつ・・・やってくれる!」
そう言うと、戦闘の幕は斬って落とされた。先ずはシュルクが能力なのか、体の変形を促す・・・すでにジュンの死者当然だったはずの、ジュンの体は既にほぼ全快している。傷らしい所は、服以外は何処にも無い。
シ「グルルルルル、ゴガァ!」
二足歩行から四足歩行、体毛を全身から生やし、爪を尖らす。体を変形させ、作り上げたのは狼の体。其の姿は、毛を逆立たせ眼を血走らさせて、牙を剥き。普通の人間ならば、見ただけで腰を抜かすほどなのだが。しかしジュンは、哀れの篭った眼をしている。まるで死に急ぐ人間を、哀れむかのように。
シ「さぁ、とっとと殺ろうか・・・」J「・・・出来れば、投降して洗いざらい喋ってもらいたいんだが・・・」シ「其れは出来ない・・・俺の生き死にだって掛かってるんでね。」J「そうか・・・残念だが、お遊びは此処までだ。」
途端にジュンの表情が暗くなり、ジュンの心臓が爆音を立て始める。交渉は無理だと思ったのか、ジュンが手を振りかざす。手に填められた、意思により変形するリングは、手の甲に集まる。両手の鉄は、液のようになり、両手の甲に集まった。液体の鉄は、一瞬球体になったかと思うと。無数の剣となって、打ち出された。瞬間的に無数のあらゆる針が、シュルクに突き刺さらんと、襲い掛かる。シュルクの右腕、左太股を針が抉る。しかし、シュルクも横に飛んで、致命傷を避けた。喋る間も無きこの戦闘、シュルクが体の傷部分を、液に変えて傷を塞ぎ始めつつ。シュルクは狼の腕で、横薙ぎにジュンを切りつけた。しかしジュンは其れを見切ると、鉄を大鎌に変えて攻撃を防いだ。ジュンも大鎌で、シュルクを裂かんばかりに、三方向から大鎌の銀光を浴びせた。シュルクはその銀光を、ギリギリで避けるが、剣圧で皮膚の表面が切れる。しかし罵声を浴びせる暇も無く、足で地面を弾き間合いを取り。神速のスピードで、ジュンを切り裂こうとする。ジュンは其れを避ける事無く、大鎌で勝負を挑んだ。其れが、ジュンなりの礼儀なのだろうが、普通なら勝てるわけが無い。しかしジュンには、最新の改造技術が施されている。ぶつかる瞬間、何かが発射される音がする。シュルクの口から、赤い液体が発射される。如何やら液体は血で、ジュン目に当って視界が塞がれたようだ。シュルクは舌を噛み、血で目潰しを謀ったようだ。
J「チッ!」
シュルクはジュンの体を数度刻むと、飛んできたジュンの鎌を避ける為、間を開けた。するとジュンは、耳を辺りに向ける。如何やら聴覚で、相手を捕らえるようだ。シュルクは其れに気が付くが、行動が数秒遅れた。
J(右前2歩、其のまま前4歩!)
視界が開く前に、銀光を迸らせる。銀光がシュルクを捕らえる、肉と骨が引き千切られる音がする、如何やら当たったようだ。視界が開けて来ると其処には、肩から胸まで裂けたシュルクが居た。シュルクは信じられない、と言わんばかりに目を見開き。肺を傷つけたのか、血を吐いた。ジュンの傷は既に、全快していた。
シ「ケフッ!クハッ!ゼェ・・・ゼェ・・・何だ・・・そりゃ!?」J「冥土の土産に教えておこうか・・・殺戮兵器・・・」
まだ名前を付けていなかったのを思い出すと、瞬時的に名をつけた。
J「・・・ラグナロクだ。」シ「聞いた事も無い、見たことも無いぞ?」J「そりゃそうだろうな・・・やっぱり降参は出来ないのか?」シ「俺が喋ったことは奴等に筒抜け、俺は体に仕掛けられた特殊な機械で、細胞を死滅させられて溶かされ、液となり蒸発する。」シ「・・・最後に言っておこう、俺は手先の手先ぐらいの存在だ、それでもお前はやるのか?」J「確かに相手は強大で、絶対に勝てないかもしれない、もしかしたら死ぬかもしれない。」J「それでもな、でもやらなければ可能性はゼロなんだ、そして皆死んでしまう。」シ「・・・そうか、最後の情報・・・。」
此処で体が徐々に、溶け始めていた。既に足は分解しかけている。
シ「死都・・・狂・・・都・・・」J「・・・京都?・・・何故・・・」
其の瞬間、シュルクの体は液体となり、一瞬で霧となって霧散した。まるで、名残惜しそうに煙が少し残っていたが、其れもあっと言う間に消滅した。
J「・・・一体何人死ねば、之は終わるのか・・・」J「一体誰が・・・何が・・・」
ふと部屋を見る、部屋は剣や謎の液で大分汚れていた。そして一息つくと、汚れえた部屋を掃除し始めた。そして、全身についた血を落とすため。服ごと風呂に入った。
J「・・・まるで、死神だな。」
とある所の地下、其処にそれらは居た。一人の男と人と形容するには、余りに重々しい雰囲気を纏ったそれが居た。するとそれは、男に話しかける。
???「・・・失敗したようだな。」部下「アレは捨て駒です、相手の実力を見たいですから。」???「そうか・・・そうだ、アレはどうだ?良い素体だろ?アレ。」部下「ええ、アレは良いんですが、何分凶暴性が無いもので・・・」???「アレを使うのは、もう少し後か・・・まぁいい、時間はまだまだある。」???「下がれ。」部下「仰せのままに、我主。」主「・・・私の体・・・もう一つの私か・・・」主「・・・・・・」主「・・・次は何時会えるのか・・・」
そう言うと、其処から主が消失した。其処から少し離れた、所でさっきの部下が居た。
部下「・・・主・・・」部下「親愛なる、主よ・・・」部下「もっと、楽しさを・・・」部下「もっと、私を楽しませて下さい・・・」部下「偉大な・・・」部下「強大な・・・主よ・・・」部下「もっと、変化を・・・」部下「もっと・・・」
そう言うと部下も、其処から姿を消した。
昨日の出来事から、10時間後。ジュンたちは、ロビーに集合していた。10時間の間に、中に侵入していた異常を調べ上げ。見つかったスパイを、地下の最下層の尋問室送りにしていた。そうする事、数時間後。ジュンたちは起きて着て、集まった情報を頼りに、首都京都に行く事にした。既に皆の用意は出来ており、食事も全部終わって、ロビーに集合している。
J「・・・(コキッコキッ・・・)」
無言を打ち消すように、ジュンが骨を鳴らし静寂をかき消すと。ロビーから一行は出発し、バスに乗り込んだ。
J「・・・さて・・・皆、命を此処に捨てていってもらう、之は恐らく俺等にしか出来ない事だ。」J「嫌とは言わせない・・・いや、はいと言わざるを得ない。」
無言でジュンの話を聞く皆、笹塚やアーカード、スネークは。今日から、本拠地の防衛施設を守る事にしている。移動は基本的に車の予定だが、破壊された時は歩きと言う事になる。
J「・・・良いな?それでは之から、バスに乗る。」
そう言うと、皆はバスに乗り込んだ。先ずは此処から近い、大阪支部まで行く事になっている。其処から次にシュルクの言っていた、京都まで行くことになっている。先ほど、罠かもしれないと考えたが、行かなくては何も分からない事を思い出すと。このハイリスクハイリターンな賭けに、出るしかなくなった。車の運転はジュンがする、国の特別車なので、検問に捕まる事は先ず無い。それ以前に、検問が生きてることさえ怪しい所だ。出発準備は出来ているが、皆表情が暗い。しかし、皆が大丈夫なのか分からない今、暗くなるのも分かる。
J「・・・出発・・・」
それだけ言うと、車を出発させた。静寂を車のエンジン音が、揉み消した。
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