第1話「旅立ち」
脳が目覚めてきた。取り合えず状況把握の為に。色々と確認をしておこうか。僕の名前は桜田ジュン。そして隣で遠くに外れた、東の国の服から、洋服に着替えているのが。何故か今日の夢から出てきた、蒼星石という女の子だ。この星は色々と、各国に色々な条約があって。この星には全部で、…幾つだっけか?まぁいい。取り合えず、有り得ない量の国々が有る。各国共通なのは、お金、言語、後は一部を除いて服である。体の形質は、大抵の人間は共通して同じで、一部の人間は違ったりする。この子は…何処か違うんだろな…夢から出てきた子何だし。だからと言って、差別をする輩が居るらしいが。其れは相手に対する、無粋な行為だし。相手が友好的な奴かどうか、調べてから罰しても、遅くは無いと思うが…最近は宗教で成り立つ国や、人が数人しかない国まである。…そして、俺は今日この国を旅立つ。何故か?この国に、飽き飽きしたからだ。この国は唯でさえ、言論の自由がキツイし。この国の人間は、形式にしか拘らない奴ばっかだ。正直飽き飽きする、この国から出る人間も多数いて。国から国を移動しているだけの、相当旅月な奴もいるようだ…俺も其れに今日から、仲間入りする予定だが…大体確認事項はそれだけ、国には玄関があって。其処で入国手続きやら、入国審査、滞在期間やetcを聞かれる。其れさえ過ぎれば、その国での法を守れば、何をしても大抵はOKである。
J「質問がある。」
ジュンは着替えが終わって、洋服をやや梃子摺りながら、ぎこちなく着た蒼星石に振り向いた。
蒼「何ですか?主人。」J「お前は、何処からやってきて、それで主人って何だ?」
そうなのだ、蒼星石は夢から出てきてから、ずっと主人と呼んでいるのだ。大体、アレが夢のような感じがせず、寧ろ異世界な様な気がする。
蒼「何言ってるんですか?彼方が呼んだんじゃないんですか?」J「…は?」
何を言い出すのだ?この電波少女は。俺が何時お前を…呼んだんだ?
蒼「彼方が心の其処で、一人だと寂しいなって言ったから、僕が呼ばれたんです。」J「…えーっと?…まぁ、そういう事にして置こう…」
やはり…この子には多分、不思議な能力が有るんだろう…だからこんな電波な、言い廻しになるんだ…
蒼「そして、二つ目の質問ですが、私の生みの親が僕を呼んだ人の名前を、そう呼ぶように言ったんです。」J「…」
この子の親って…イタイ人何だろうなぁ…其れじゃなければ、こんなかぁいい我子に、そんな事させないだろうに…
J「さて…行くか。」蒼「何処にですか?」J「旅だよ、之から世界中を旅するんだ。」蒼「其れは素敵ですね、今から用意しますね?」J「…んー…ああ。」
正直之には相当悩んだ。この子を此処に置いて行くべきか、其れとも連れて行くべきか。だが呼んどいて、放置も可哀想なので、連れて行くことにした。…俺ってとことん、駄目男だな…
J「さて…用意は良いか?」蒼「えっと…出来ました。」J「それじゃぁ!レッツゴー!」
・・・正直、蒼星石が持っている物が、リュックサックだけだったのには驚いた。そのリュックサックは、中に色々入っていて、黒光りする黒い塊もあったが。其処はあえて、スルーしておく事にした。之から使う乗り物は、軽トラである。何故か?荷物が多く入るからだ。それに結構、低燃費だし。何て冒険者に付き物な、移動費の愚痴を何処かに垂れ流しながら。2人分の荷物を、ジュンが持ち上げる。序に僕の荷物は、鋼鉄で補強された少し大きめの、旅行向けの鞄だ。この中には、対護身用の武具に、2週間分の乾燥食料。4週間分の水をタンクで、車に直接仕舞っておいて。対砂様と擦り傷防止用の、鋼鉄板で色々と補強した軽トラに。いざ全部を詰め込もうと、外の車に向かっていった。・・・この軽トラは、違法寸前まで改造を施して有るが。他の所に向かう車として、いろいろな所から甘んじてもらっている。
蒼「主人!僕が持ちます!」J「いやいい、ってか・・・僕は主人じゃなくて、ジュンとでも呼んでくれ。」蒼「それじゃあ、ジュン君!僕が荷物を・・・」J「女の子はこう・・・お静かに・・・」蒼「はぃ・・・」
そう言うと、蒼星石は何か出来る事を探しながら、ジュンについて行った。しかし、何か出来るわけでもなく、軽トラの助士席に乗り込んでいく。
蒼「・・・」J「さて、之から何処の街に行くか、蒼星石は分かるか?」蒼「・・・何処ですか?」
少し拗ねていたが、好奇心に負けて聞いてきた。こう言うところを見ると、子供らしくて良い、思わず含み笑いがこぼれた。
J「次の国はな・・・世界一民に優しい国、だそうだ。」蒼「?何ですか?それ。」J「さぁ?もしかしたら、逃げる準備はして置けよ?」蒼「?」
蒼星石はまるで、理解できない様な顔をすると。ジュンは運転席に乗り、車を出発門に向けていった。其処には門番が一人、ぽつんと立っていた。
門「はい、今日出発予定の、桜田さんですね。」J「はい、そうです。」
そう言うと、門番は機械的に作業を進めていく。・・・この人も暇なんだろうな・・・眠そうな顔をしてるし。
門「・・・出来ました。」
そう言うと、ジュンに外出・入国許可所を渡した。そして、軽トラのエンジンをかけ、出発した。あの家は借家で、あの家にもう僕の物は無い。之でこの国に、思い残す物も無くなり。僕たちは一番最初の国、【世界一民に優しい国】に向かった。道は少し平らな草木の道なので。車の揺れも少なく、快適に進めていた。
J「さて・・・道のりはまだまだだな。」蒼「ジュン君、君が僕のお父様に選ばれたのは、何故なんだい?」J「・・・思い当たる節が、無いことも無いけど内緒。」蒼「・・・何か有ったんですか?」J「・・・ちょっとね。」蒼「もしかして、犯罪とか・・・」J「ハハハ・・・其れだったらまだ良かったのか?・・・いや何でもない。」蒼「・・・」
ジュンは乾いた笑いをし、何かを悔やむような顔をした後。元の顔に戻って、運転を再開した。後に残ったのは、少しばかり耳障りな軽トラの、エンジン音の唸る音だけだった。
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