「~文化祭§役割分担編~」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「~文化祭§役割分担編~」(2006/06/02 (金) 18:57:50) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
~文化祭§役割分担編~<br>
<br>
「台本ができあがったから、皆に配るかしらー」<br>
金糸雀は意気揚揚と41部に刷った台本をクラスメイトと担任の先生に配る。<br>
「では、各自『主要人物』『照明・音響』『衣裳・小道具・大道具』に分かれて台本を読み合っておかしいところを後で話し合いましょ」<br>
「ね、ねぇ真紅」<br>
手を挙げながら蒼星石が発言をする。<br>
「あら、何?」<br>
「皆を統率する、なんていうかな…総合監督みたいなのを決めたほうがいいと思うな」<br>
「私も、そう…思う」<br>
蒼星石に続いて薔薇水晶が小さく言う。<br>
「そうね、皆、誰がいいと思う?」<br>
蒼星石の発言を得て、真紅はクラスに向かって言う。<br>
「はーいなのー」<br>
雛苺が大きな声で主張する。<br>
<br>
「何?雛苺」<br>
「ヒナはねー、巴がいいと思うのー」<br>
「…え?」<br>
まさか自分の名前が出ると思わなくて巴は顔を上げた。<br>
「そうね、巴ならしっかりやってくれそうね。皆どう?」<br>
『さんせーい』<br>
クラス中から賛同の声があがる。<br>
「巴、よろしくだわ」<br>
「…頑張ります」<br>
と、巴は照れながら一言、言った。<br>
<br>
「役者は台本を言葉を気を付けながら、照明・音響は頭の中でイメージカラーやBGMを、衣裳、大小道具は情景をうかべながら、読み合せてください」<br>
総合監督になった巴は早速その力を発揮しはじめていた。<br>
もともと金糸雀と委員長の立場を競った人物なのでまとめるのはうまい。<br>
「では、20分時間を取ります。始めてください。後、照明・音響班と衣裳・大小道具班はリーダーを決めください」<br>
各自、話し合いが始まった。<br>
「じゃあ、読み合せしましょ、ナレーションからね。薔薇水晶、始めてちょうだい」<br>
――――<br>
『美しいお嬢さん、どうか私と一曲踊ってください』<br>
『いけないわ、私は王子様とは身分が全然違いますわ…』<br>
――蒼星石、はまり役ですぅ。かっこよすぎですぅ…。<br>
蒼星石のカツゼツの良い発音と低めの声に翠星石は聞き惚れていた。<br>
<br>
「どうかしらー?変なとこはあったかしら?」<br>
台本係りの金糸雀は自信満々にクラスに向かって尋ねた。<br>
完璧もそのはず、手近な絵本からそのまま抜いたものだから。<br>
「ヒナの役、喋り方恐いのー『12時までじゃよ』とか嫌なのー」<br>
「そ、そこはカナも迷ったかしら。じゃあ役はそれぞれの口調にあわせると言うことでどうかしら?」<br>
金糸雀の提案に役者は全員賛成した。<br>
「あの、…」<br>
と、立ち上がったのはめぐ。<br>
「この台本、つまらないと思うの…なんていうか、絵本をそのまま写した感じ」<br>
ぎくっ、と金糸雀の肩が揺れる。<br>
「もっと工夫しなきゃ、ありきたりな劇で終わってしまう。例えば…歌、…そう!歌劇風にするの。私は歌が好きだから自分で作ることもできる」<br>
輝かしい笑顔でめぐは続ける。<br>
「そうすれば、一味違った劇になると思うの。勿論、翠星石の歌はたくさんできるし、蒼星石は男役だから低めで歌いにくいかもしれない」<br>
少し、眉をひそめてめぐが言う。<br>
「でも新しいスタイルになると思うの、どう?」<br>
パチパチ、と雪華綺晶が拍手をすれば、それは瞬く間にクラス中に広がった。<br>
<br>
「そういえば、各班のリーダーを聞いてないわ。教えてちょうだい」<br>
<br>
照明・音響:めぐ<br>
衣裳・大小道具:みっちゃん<br>
<br>
となった。<br>
「後一つ問題なのは…」<br>
「私達が演劇を経験したことがないことぉ?」<br>
巴が呟いた後に水銀燈が続けた。<br>
「えぇ、不幸な事にこの学園には演劇部がない…」<br>
と、巴は嘆いた。<br>
「あらぁ、でも演劇部がないのなら他のクラスもハンデは一緒じゃなぁい?」<br>
水銀燈はクスリ、と笑いながら言った。<br>
「後は、どれだけ役に入り込めるか、よぉ」<br>
「翠星石はのりが演技指導をやればいいと思うです!」<br>
翠星石が手を挙げて言う。<br>
「え、私ぃ…?」<br>
のりが驚きの表情を見せる。<br>
「の、のりは、人の気持ちを考えることのできる優しい人間なのです。きっと皆の気持ちを理解できるです…」<br>
「す、翠星石ちゃん…うん、私、頑張ってみる!やらせて、巴ちゃん!」<br>
自信満々にのりは笑ってみせた。<br>
「分かりました。異議はないですか?」<br>
と言う巴の問いに異議を申し立てる者はいなかった。<br>
<br>
「後、何か連絡がある班は…?」<br>
と言う巴の問いに対して一人の生徒が手を挙げた。 みっちゃんだった。<br>
<br>
「あ、どうぞ」<br>
「少しでも役がある子は残ってほしいの。体のサイズ計りたいから。衣裳を作らなくちゃ!」<br>
みっちゃんは目を輝かせながらそう言った。<br>
<br>
<br>
<br>
<br>
<br>
<br>
その日の夜、みっちゃん家のミシンが止まることはなかった。<br>
<br>