「=さらば!我が愛しき日々よ=第十七話」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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翠星石は一人、夕暮れに照らされた道を歩く。<br>
翠「これからどうしようです・・・。」<br>
落ち着いたものの、気分は落ち込んだままだった。<br>
翠「ジュンのせいです・・・ジュンの馬鹿・・・。」<br>
西の空には、黒い雲が浮かんでいた。<br>
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ジュンの部屋<br>
ジュンはベッドの中で後悔していた。<br>
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翠星石は君のことが、好きなんだ。―――<br>
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ジ「そんなわけが・・・。」<br>
ジュンにとって、人生で始めてのほろ苦い恋の味。<br>
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お前らなんか大嫌いだ!皆この家から出てけ!――― <br>
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ジ「僕は、翠星石にひどいことを・・・何も、あいつのことを何も知らないで。・・・」<br>
ジュンは自分が惨めになった。<br>
今まで、怪我をしても心配するのは、のりぐらいしかいなかった。<br>
赤の他人なのに、涙を流して心配してくれた人を、自分が泣かせた。<br>
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ジ「帰ってきたら・・・謝るか・・・。」<br>
もう一度寝ようとしたところで、水銀燈と、雪華結晶が起きた。<br>
銀「ふぁぁ~、よぉく寝たわぁ~。」<br>
あくびをしながらむくっと起き上がる。<br>
雪「あら?私はいつの間に・・・。」<br>
目をこすりながら、こちらもむくっと起き上がる。<br>
ジ「起きたら、早く出てってくれ。」<br>
自分では分かっているのに、口からは冷たい言葉しか出てこない。<br>
銀「あ・・・、ごめんね、ジュン・・・。」<br>
水銀燈は、早足で部屋を出て行った。<br>
雪華結晶は、ジュンのベッドにもたれかかる。<br>
ジ「何だよ、お前も早く出てけよ。」(僕の馬鹿野郎・・・!)<br>
気づいたジュンは、布団の中から雪華結晶に言葉を投げかける。<br>
しかし、雪華結晶は動かない。<br>
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ジ「だから、早く」<br>
雪「出て行きませんわ。」<br>
雪華結晶の突然の言葉に、ジュンの発言は妨げられる。<br>
ジ「何でだよ、ここは僕の部屋だぞ・・・。」<br>
雪「ジュン様のお側にずっといる。そう誓いましたから。」<br>
誓いなど、ジュンが知っているわけもなく、<br>
ジ「はあ?そんなの僕は知らないぞ。」<br>
予想通りの言葉。<br>
雪「ジュン様が寝ている間に誓いましたわ。」<br>
ジ「勝手に誓うな・・・。」<br>
単なる言い合い。しかし雪華結晶にとっては、とても楽しい。<br>
雪華結晶は笑っていた。<br>
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両者が黙り込み5分程たった頃、雪華結晶が口を開ける。<br>
雪「あの・・・ジュン様?」<br>
ジ「何だよ・・・。」<br>
ジュンの言葉は落ち着いていた。<br>
雪「ベッドに腰掛けてよろしいですか?」<br>
ジ「勝手にしろ・・・。」<br>
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ずっと一緒にいます。ずっと―――<br>
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雪華結晶はベッドに腰掛けると、ジュンに言った。<br>
ジ「ジュン様は、本当はお優しいお方です。ですから、もう少し、<br>
もう少し素直になれませんか?」<br>
ジュンからの返事はない。<br>
雪華結晶は立ち上がり、ジュンの部屋を後にした。微笑みながら。<br>
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ジュン様。ありがとう―――<br>
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雪華結晶には分かっていた。自分の言った事を、ジュンが理解していることを。<br>
部屋のドアをゆっくりと閉め、雪華結晶は出て行った。<br>
ジ「なるよ。もう少し素直に・・・。」<br>
雪華結晶が部屋を出て行った後、ジュンは小声で返事をした。微笑みながら。<br>
それは、ここ一年ほどなかった、ジュンの本当の気持ちだった。<br>
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