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「あなたを呼ぶ」後日談3」(2006/05/21 (日) 10:00:01) の最新版変更点

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私が、Teegesellschaftでアルバイトを始めてから、 二ヶ月くらい経ったかしら。 場所が場所だけに、新規客はあまり見かけないけれども、常連は多いわ。 薔薇水晶さんは、無口なほうだけれども、決して悪い人ではないわ。 むしろ、アルバイトの人をよく気にかけてくれるのだわ。 紅茶の葉の状態や淹れ方の作法、覚えることは多いけれども、 こういうのも、楽しいものね。 自分で淹れた紅茶というのも、中々味わい深いものだわ。 扉が開く。常連さんだわ。 紅「いらっしゃいませ。」 客「いつもの」 いつものテーブルに座り、そういったわ。 紅「かしこまりました。少々お待ちください。」 薔薇水晶さんに注文を伝えたのだわ。 調理は彼女の仕事だわ。だけれども、今日は違ったわ。 薔「……淹れてみる?……」 紅「え、……私が淹れていいのですか?」 薔「……うまくなったから……」 紅「はい、がんばります。」 薔薇水晶さんが、私の腕を認めてくれたわ。 私は、薔薇水晶さんとジュンから教わったことを思い出しながら、紅茶を淹れたわ。 お客さんは、いつものように文庫本を読んでいたわ。 紅「おまたせいたしました。」 しばらくして、お客さんがカップを口に運んだわ。 どうかしら。私の紅茶は大丈夫なのかしら。 お客さんは、何も言わずに紅茶を飲んだあと、帰ったわ。 紅「私の紅茶、大丈夫だったのでしょうか?」 薔「……いつもの時間を過ごして貰った……それで十分……」 紅「……そうですね。そうですよね。」 今日、私はいつもより満足した気分で店を後にしたのだわ。 ジュンに、聞いてもらいたい。 ジュンは、喜んでくれるかしら?   僕は、いつも通り、水銀燈と紅茶を楽しんでいる。 最近、彼女はよくお茶菓子を持ってきてくれる。 これがまたおいしい。 お茶の時間は、真紅の時とは違い、 静かに楽しむといった雰囲気ではないけれど、 他愛もない話をしながら、飲む紅茶も悪くない。 僕は、楽しそうな水銀燈の笑顔が好きだったりする。 そんな楽しい時間を邪魔するかのごとく、部屋の電話がなる。 ちなみに、地味にお金がかかるから、携帯電話は持ってない。 ジ「ちょっと、電話出てくる。」 誰だよ、せっかく楽しんでるのに……。気分を害された。 そう思いながら、受話器をとる。 ジ「もしもし」 紅「もしもし」 いつもよりも、どことなく嬉しそうな声だ。 ジ「真紅か。   お前からかけてくるなんて、珍しいな。   どうしたんだ?」 紅「今日、Teegesellschaftで、   薔薇水晶さんの代わりに、初めて紅茶淹れたのよ。」 ジ「おぉ、薔薇水晶さんが認めるほど上達したんだ。おめでとう。」 薔薇水晶さんは味にはこだわる人だから、 薔薇水晶並みにおいしいのが淹れられるようになったんだろう。 紅「あなたが色々教えてくれたからよ。   ありがとう。」 ジ「べ、別にお礼なんて……」 紅「まぁ、私の下僕としては中々の働きだったわよ」 ジ「このっ!……ま、これで僕もお役御免だな。」 紅「……そういえば、そろそろアイスティーの季節ではなくて?」 ジ「ああ、そうだな。……あれ、お前熱いの専門じゃなかったっけ?」 紅「薔薇水晶さんに淹れてもらったけれども、   アイスティーもなかなかのものね。」 ジ「あぁ、薔薇水晶さん、ほんと何でも上手く淹れるよな。」 紅「そうね……」 ジ「……ははぁ~ん、そっか、なるほどな。」 紅「……なによ?」 ジ「今度は、アイスティーのおいしい淹れ方を教えて欲しいわけか?」 紅「……ま、下僕が折角教えると申し出てるのだから、   聞いてあげてもいいわね。」 ジ「このっ、口の減らない奴だな。   ……まぁいい。アイスティーにも、色んな淹れ方があるんだけど……」 その後、簡単にできるものを教えて電話を切った。 他の入れ方はまた今度教えろとのご命令だ。 それはともかく、真紅の紅茶淹れる技術はそこまで上達していたのか。 今度、僕も、飲んでみたいな。 そんなことを考えてると、不意に後ろから声がかかった。 銀「あらぁ、楽しそうな電話だったじゃなぁい。   誰からだったの?」 ジ「真紅から。   ほら、僕の故郷のTeegesellschaftでバイトしてる……。」 銀「よく電話するの?」 ジ「あぁ、電話かけるようになったのは最近だけどな。」 銀「そう。でも、客が来てるのに長電話なんて失礼でしょ?」 不機嫌そうに、水銀燈が言う。 ジ「わるかったよ。水銀燈」 銀「……紅茶、ご馳走様。」 そういうと、水銀燈は足早に出ていった。 たしかに、失礼だったかな。 あんなに機嫌悪そうな水銀燈は、初めて見た。 ……ちゃんと謝ったほうがいいな。 僕は、扉をノックする。 ジ「水銀燈?いるんだろ?でてきてくれないか?」 しばらくして水銀燈がうつむきぎみにでてきた。 ジ「さっきはゴメン。水銀燈のことも考えないで……。」 銀「ほんとよ、   私の気持ちも考えないで勝手に盛り上がって……。」 うつむいたまま、彼女は答える。 なんか、彼女の声が変だ。 ジ「水銀燈?明日、暇か?   よかったら、一緒に出かけないか?   ちょっとぐらいなら、おごるからさ?」 水銀燈は、少し反応した。 あ、古典的だけど、物で釣るってやっぱり効くんだこれ。 ジ「水銀燈、駄目か?   僕は行きたいんだけど?」 銀「わかったわ。それじゃ、また明日。」 少し、柔らかい声でそう答えてくれた。 機嫌、少しは直してくれたかな? というか、僕がどこかに連れて行くってのも始めてだな。 ……さて、どうしたものか。

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