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「あなたを呼ぶ」二話」(2006/05/05 (金) 22:30:32) の最新版変更点

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<dl> <dd>ジュンが東京にいって、2週間が経ったわ。<br> 私は、地元の大学に進学したの。<br> 講義も決して悪くはないし、友達もできたわ。<br> でも、満ち足りないのだわ。<br> ジュンがいないから。<br> 私はいまだにジュンが東京に行ったとは、思えない。<br> いまでも、彼の「真紅」と名を呼ぶ声が聞こえるがする。<br> ………いいえ、思いたくないだけね。<br> ジュンの夢のため、仕方のないことはわかってる。<br> けれども、それでも、ジュンには、私のそばにいて欲しかった。<br> 私のためにおいしい紅茶を淹れて、<br> 私のそばに座って、いつもの憎まれ口を叩きながら、<br> 私のことをあのやさしい目で見て欲しかった。<br> ………なんて、自分勝手なのかしら。<br> 本当は、笑ってジュンを送り出すべきだった。<br> それは、わかっている。でもできなかった。<br> 私は、駄目な女だわ。<br> ………紅茶でも飲みましょうか。<br> ジュンに紅茶の入れ方を教えたのは私。<br> でも、ジュンは、どんどんうまくなっていって、<br> 私が淹れる紅茶よりもおいしく淹れれるようになったわ。<br> 私にだって、そう思って、淹れた紅茶は、<br> ジュンの味には到底及ばなかったわ。<br> <br> <br></dd> <dd>僕が学校にいって1週間が経った。<br> まだ、授業はそんなに受けたわけではないけれども、<br> なかなか興味深かった。友達もできた。<br> けれども、なんか寂しい。<br> 我ながら、未練がましくて、嫌になる。<br> ………紅茶でも飲も。<br> 真紅を思い出すけど、まぁ、紅茶中毒者として<br> こればっかりはやめられないし。<br> いつもどおり、淹れて……、<br> あー、もう、二人分淹れちゃったよ。<br> ……ホンット重症だなぁ……。<br> 銀「ジュンいるかしらぁ」<br> 水銀燈がノックしてきた。ちょうどいいかも。<br> ジ「どうしたんだ?」<br> 銀「特に用事はないんだけどぉ、<br>   暇だから、ちゃんと生活できてるか見にきただけ」<br> 律儀に様子を見に来てくれたらしい。<br> また、イジめてもいいけど、後が怖いので、<br> 普通に誘うことにしようかな。<br> ジ「そっか、ありがとう。<br>   実は、今、紅茶入れすぎちゃってさ。<br>   よかったら、飲まないか?」<br> <br> <br> 銀「ふふっ、私をあなたの部屋に連れ込んでなにするつもりぃ?」<br> ジ「や、え、あ、べ別にそんなこと考えてないよ……」<br> 人をからかうことに関しては、水銀燈のほうが、上手みたいだ。<br> おかしそうに笑う水銀燈をみてそう思った。<br> 銀「ふふふっ、やぁねぇ、あなたがそんなことするようには、見えないわよ。<br>   もしかして、力も私のほうがつよいんじゃないかしらぁ?」<br> ジ「そんなことはないよ」<br> と、口ではいったものの、<br> 運動に関しては、僕は凡人以下もいいところだからな。<br> 真紅にも、腕相撲で負けたし、<br> 水銀燈にも、普通に負けそうだ。<br> 腕相撲勝負を提案されないことを祈る。<br> 銀「まぁ、せっかくだし、紅茶いただくわぁ。」<br> ジ「そっか、助かるよ。」<br> 祈りが天に通じたのか、提案されずに済んだ。<br> いろんな意味で助かったよ。<br> ジ「ハイ。どうぞ」<br> 水銀燈は、優雅に紅茶を口に運ぶ。<br> 銀「……あらぁ……おいしいじゃない」<br> ジ「そういってもらえると嬉しいよ」<br> やっぱり、自分の作ったもので喜んでもらうのは素直に嬉しいものだ。<br> 銀「驚いたわぁ。お裁縫だけじゃなくて、<br>   お料理とかもできるのねぇ……<br>   意外に部屋もキレイにしてるし」<br> ジ「いや、料理のほうはあんまり……。<br>   僕ができるのは、お茶を入れることくらい。」<br> 料理のほうは、姉ちゃんがずっとやってくれてたからな。<br> コッチ来る前に少しは練習したけど、まだまだ、ヘタだし。<br> <br> <br> 銀「あらぁ、そうなの。<br>   じゃぁ、ちゃんと乳酸菌とってるぅ?」<br> ジ「…え、何でそこで乳酸菌なんだ?」<br> 銀「あらぁ、おばかさんねぇ。<br>   乳酸菌は生きていく上で欠かせないものよぉ。<br>   乳酸菌があれば、人は生きていけるわぁ。」<br> いやいやいや、聞いたことない。<br> というか、僕、ヤクルトとか全然飲まないのに生きてるぞ。<br> もしかして、新手の新興宗教か。<br> などとつまらないことを考えているうちに<br> 水銀燈がバックから何か取り出した。<br> 銀「しょうがないわねぇ。はぁい、ヤクルト。ちゃんと飲みなさいよ。」<br> 水銀燈は、いつもヤクルトを持ち歩いてたりするのか。<br> …………まぁ、受け取らない理由もあるまい。<br> ジ「ありがとう。水銀燈」<br> 銀「ご飯は、ちゃんと食べてるぅ?」<br> ジ「まぁ、自炊のほうは頑張ってる。<br>   水銀燈は、ずいぶん慣れてるみたいだけど、<br>   高校生くらいからここで一人暮らしなの?」<br> 銀「えぇ、そうよぉ。<br>   話を聞くかぎりじゃ、お料理の腕は勝てそうねぇ」<br> ジ「うん。昨日も、焦がしちゃったしな。<br>   材料が多いし、火の使い方、切り方も色々あるし…<br>   いろいろ考えなきゃいけない分、<br>   紅茶いれるより、難しい。」<br> <br> <br> 銀「まぁ、カップラーメンに走らないだけマシかしら。<br>   でも、私は、こんなおいしい紅茶入れるほうが難しいと思うわぁ。<br>   ホント、ヘタなお店よりもおいしいわぁ。<br>   時々、飲みに来ていいかしらぁ?」<br> 僕も、別に褒められて悪い気はしないし、二つ返事でOKした。<br> その後、近所にある安い店とかの話をして、水銀燈は帰っていった。<br> ふと、思った。<br> もしかしたら、彼女も寂しいのかもしれない、と。<br> けれども、わざわざ僕のこと見に来てくれるぐらい<br> 面倒見のいい彼女のことだ、友達は多いに違いない。<br> そうだよな、彼女が寂しいってわけないよな。<br> 自分が、真紅を恋しがってるだけで、<br> 他人が寂しいとか勝手に思う自分に嫌気が差した。<br> <br></dd> </dl>

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