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「あなたを呼ぶ」<br> <br> <br> <br> <br> <br> <dl> <dd>紅「……ジュン、お茶を入れて頂戴」<br> ジ「はいはい」<br> 僕はいつもどおり紅茶を淹れる。<br> 真紅と僕だけのいつもどおりの部屋。<br> 違うのは、真夜中であること。<br> 紅「……ねぇ?」<br> ジ「ん?」<br> 紅「……本当にいってしまうの?」<br> ジ「ああ、僕は、東京の学校に行って、服飾について学ぶ」<br> 真紅に言い聞かすように、そして、僕自身にも言い聞かすように言った。<br> 真紅には、ずっと前から言っていた事だ。<br> でも、真紅は、信じられない、いや、<br> 信じたくないのだろう。<br> ジ「ほら、できたぞ」<br> 真紅はいつもどおり優雅に紅茶を口に運ぶ。<br> いつもどおり、静かな空間。<br> 違うのは、その沈黙が心地の良いものではないこと。<br> 紅「……明日は早いんでしょ?遅いのに呼び出して悪かったわね」<br> ジ「別にいい。じゃあな、真紅」<br> 僕は立ち上がる。<br> 紅「待って」<br> ジ「ん?」<br> 僕は振り返らず立ち止まった。<br> 紅「私は、……その……<br>   ……いいえ、お茶を淹れてくれてありがとう。」<br> ジ「…………うん」<br> 僕は、そのまま振り返らず、真紅の家を出た。<br> 多分、真紅は泣いていたと思う。<br> 見たら、決意が鈍る気がして、振り向かずに外に出た。<br> <br> <br> 東京に行く電車には、友達が見送りにきてくれた。<br> 「元気でやれよ」<br> 「たまには、帰ってこいよ?」<br> いろいろな人に、いろいろな声をかけられたが、<br> 真紅の姿はなかった。<br> でも、そっちのほうが良かったのかもしれない。<br> 真紅とはずっといっしょにいた。<br> 恋人や親友って表現が適切ではないにしろ、ただの友達でもない。<br> 何も言わなくとも、大体のことはわかる、居心地のいい関係。<br> 僕自身、真紅としばらく会えなくなるのが、<br> 嘘のように思えるくらい、日常の欠かせない、空気みたいな関係。<br> だから、真紅の泣き顔を見てると、<br> 僕も泣いてしまうだろう。<br> いろいろ考えているうちに、電車は、走り出した。<br> 紅「ジュン!」<br> ふと、真紅が僕の名を呼ぶ声が聞こえた。<br> 窓の外を振り返ってみても、真紅の姿は見えない。<br> 幻聴が聞こえるなんて、相当参ってるな。<br> 僕は、自分を笑いながら、少し、泣いた。<br></dd> </dl>

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