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【愛の行く末】第十話」(2006/05/16 (火) 10:09:09) の最新版変更点

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ー前回のあらすじー<br> ジュンと一夜を共にした薔薇水晶。そのことに喜びを感じつつも、この先のことに不安を感じていた。<br> どうすれば自分は水銀燈を倒せるのか。悩んだ薔薇水晶はある行動にでた。<br> おなじころ水銀燈は通学路で二人を待っていた。薔薇水晶がジュンを盗ったのではないと信じて。<br> そんなとき、彼女の元に一通のメールが届く。それは、ジュンから彼女への決別のメールだった。<br> ジュンに捨てられたと思いこんだ水銀燈はその場で泣き崩れた。<br> しかし、それは薔薇水晶の策略だった。水銀燈に大打撃を与えたことを確信した薔薇水晶は<br> ジュンにそっと口付けをする。どんなことをしてもこの幸せを守りぬくことを胸にちかって。<br> <br> <br> <dl> <dd>+++真紅(6/20AM9:07薔薇学園3-B教室)+++<br> メ「えーっと、ですからこの人物は……」<br> <br> 私は今、学校で授業を受けている。<br> 今日の一時限目は古典で、英語以外の文系が苦手な私にとってはあまり受けたくない科目である。<br> 今後の人生に役に立つとは思えない大昔の言葉を、なぜ勉強しなければならないんだろうか。<br> <br> 翠「うー、うー、」<br> <br> 後ろの席の翠星石がなぜか唸っている。<br> <br> 真「うるさいのだわ。少し落ちついてちょうだい」<br> <br> 私は後ろを振り返らずに注意した。<br> <br> 翠「落ちつけるわけねーです!!真紅はジュンのことが心配じゃないんですか!!」<br> <br> 私は前の席を見回した。私の席は中央の列の後ろから2番目なので、前の席がよく見える。<br> 教室の中にみっつの空席がある。ジュン、水銀燈、薔薇水晶の席だ。<br> <br> 翠「ムキィィーーー!!!きっと今ごろジュンはあの3人とギシギシアンアンやってるにちがいないですぅ!!!」<br> 真「静かにしなさい。今は授業中よ」<br> <br> と言ったものの、うるさいのは翠星石だけではなかった。<br> <br></dd> <dd><br> <br></dd> <dd> べ「なんてこった、これが夢のハーレムフラグってやつか」<br> 党員「俺の銀様が……ちくしょう桜田ジュンめ!!」<br> 男1「なんであんなメガネがもてるんだ……」<br> 男2「あいつがもてる時点で世の中終わっとるよ」<br> 巴「桜田君、どうしたんだろう……」<br> 雛「巴、元気無いの~」<br> 蒼「ジュン君、まさかそんなことないよね……」<br> 雪「白崎、なにをしているのです。ジュン様はまだ見つからないのですか?」<br> 金「う~んムニャムニャ……卵焼きが烏に~」<br> <br> 今、このクラス(一部を除く)はこの話題で持ちきりになっていた。<br> <br> メ「あの~みなさん僕の授業を聞いてください……」<br> <br> というメソウサ先生の言葉も聞こえないほどに。<br> 休んだのがが他の生徒なら、こんなに話題にはならないだろう。でもあの3人は普段からとても仲が良いことで知られている。<br> 以前、その仲の良さに嫉妬した一部の男子生徒によるジュンへの暴力事件があったほどだ。<br> その3人が今同時に学校を休んでいるのだ。学校をサボってデートしていると思われても不思議ではない。<br> <br> 翠「真紅はいいんですか!!3人でしっぽりたっぷり楽しんでいるかもしれないのになんで落ちついていられるんですぅ!!!」<br> 真「あら?じゃあ聞くけど、ジュンに二股できるような甲斐性があると思う?」<br> 翠「う……」<br> 真「それに、3人が休んだのはただの偶然かもしれないし、ひょっとしたら遅刻しているだけかもしれないのだわ」<br> 翠「それは、そうですけど……」<br> 真「そんなに心配なら、この授業が終わってから私がジュンか水銀燈に電話して事情を聞いてあげるから」<br> 翠「真紅がそう言うなら、わかったです」<br> <br> <br></dd> <dd> 翠星石はまだなっとく出来ないようだけど、一応は静かになった。<br> 私がさっき薔薇水晶の名前を出さなかったのは、私が薔薇水晶の携帯の番号を知らないからだ。<br> 確かに、ジュンと水銀燈は薔薇水晶と仲が良いけど、私を含む他の7人は薔薇水晶と仲が良いわけではない。<br> ジュンから薔薇水晶を紹介されたとき、私達は彼女と仲良くしようとした。<br> でも、薔薇水晶と付き合っているうちに、私達と薔薇水晶とはなにかが違うと思うようになった。<br> 別に薔薇水晶の事は嫌いではない。でも、薔薇水晶と一緒にいるとどうも落ちつけない。<br> まるで、姉妹の仲に赤の他人が紛れ込んだような……そんな気がするのだ。<br> 私達が薔薇水晶をイジメることは無かったけど、次第に彼女とは距離をとるようになっていった。<br> 今、私達の中で薔薇水晶と仲が良いのは、ジュンと水銀燈だけになっていた。<br> <br> でもなんで水銀燈は来ないのだろう?彼女とは朝学校へ行くときに一度会っている。<br> 制服を着ていたから、てっきり学校へ行くものだと思っていたんだけど。<br> そういえば水銀燈は薔薇水晶を待っていると言っていた。ジュンも用事があるみたいでそこにはいなかった。<br> もしかしてあの後、薔薇水晶と一緒にジュンの所へ?<br> いや、もうこれ以上考えるのはやめておこう。私までこんな話に惑わされてはいけない。<br> 私はジュンを信じている。<br> <br> (もしそうだったとしても結末は変わらないのだわ。そうでしょうジュン)<br> <br> その後もしばらくの間、教室のざわめきが止まることはなかった。<br> <br> メ「お願いだから僕の話を聞いてくださ~い」<br> <br> メソウサ先生の叫びはこの喧騒にかき消されて、だれの耳にも届かなかった。<br> <br> <br></dd> <dd>ラッ<br> <br> そのとき、教室に誰かがそっと戸を開けて入ってきた。私は誰かが入ってきた方向に目をやった。<br> <br> J「おはようございます……」<br> 薔「…………」<br> <br> そこにはジュンと薔薇水晶がいた。だけどそこには水銀燈の姿は無かった。<br> なぜか薔薇水晶は膨れているように見えた。<br> <br> メ「あ、桜田君に薔薇水晶さん、おはようございます。水銀燈さんはどうしたんですか?」<br> <br> 水銀燈の名前が出たとき、ジュンの表情に陰りが見えた。水銀燈となにかあったんだろうか?<br> <br> J「……いえ、僕も知りません。遅刻してすいませんでした」<br> 薔「すみません」<br> メ「わかりました。授業時間が半分を過ぎているので欠課扱いになってしまいますが、とりあえず自分の席に座ってください」<br> <br> そう言われると二人は無言で自分の席に向かった。<br> <br> 翠「ジュン!!!」<br> <br> 翠星石が叫んだ。<br> <br> 翠「なんで遅刻したんですか!!!翠星石をこんなに心配させてぇ!!!」<br> 真「翠星石、落ちつきなさい。何度も言うけど今は授業中よ」<br> 翠「これが落ち着いていられるかですぅ!ジュン!!遅れるなら遅れる。遅れないなら遅れないってちゃんと連絡しやがれですぅ!!」<br> <br> なんて無茶苦茶な理屈か。いきなり怒鳴られたジュンもうろたえている。<br> <br> <br></dd> <dd> J「……えーっと……今は授業中だろ。休み時間に答えてやるから」<br> 真「翠星石、先生も困っているわ」<br> メ「もう……もういいです……」<br> <br> メソウサ先生が教室の隅でいじけている。<br> <br> 翠「……わかったです。でもキッチリと話してもらうですよ」<br> <br> そう言うと翠星石は自分の椅子に座った。<br> <br> 真「じゃあ先生、授業を進めてください」<br> メ「あ、はいわかりました。それでは32ページの……」<br> <br> キーンコーンカーンコーン<br> <br> メ「…………」<br> 真「…………」<br> メ「…………グスッ」<br> <br> 誰かこの先生に愛の手を。<br> <br> <br> 翠「じゃあ説明してもらうですぅ」<br> 真「私も聞きたいわ」<br> <br> 授業が終わった後、私達はジュンから事情を聞くために彼の席の周りに集まった<br> <br></dd> <dd> J「……薔薇水晶、お前が目覚まし止めるからいけないんじゃないか!」<br> <br> ジュンは隣でまだ膨れている薔薇水晶に話をふった。<br> <br> 翠「目覚まし、どういうことですか?」<br> <br> ジュンは翠星石を無視して薔薇水晶と話を進めた。<br> <br> 薔「だってジュンの寝顔もっと見たかったんだもん……」<br> 翠「あの~ジュン?」<br> J「でもそのせいで遅刻しちゃったじゃないか!!」<br> 翠「ジュン?」<br> 薔「だからサボろうって言ったのに……1日くらい休んだって平気でしょ?」<br> 翠「お~い」<br> J「もう3年なんだからここで平常点減らすわけにはいかないんだよ」<br> 翠「…………」<br> 薔「せっかくジュンとデートしようと思ってたのに……時間無いからって朝ご飯も食べてくれなかったし」<br> J「だったら次の日曜にデートしてやるよ。ご飯もそのときに作ってくれ。これでいいか?」<br> 翠「………ぅ」<br> 薔「ダメ、それだけじゃ許さない」<br> 翠「……ですぅ」<br> J「じゃあどうすればいいんだよ……」<br> 薔「ん~。ここでキスしてくれたら許す」<br> J「ええ!!でもここ教室だぞ!!」<br> 翠「……るなですぅ」<br> 薔「でも昨日はもっと凄いことを……」<br> 翠「翠星石を無視するなですぅーーーーーーーー!!!!!」<br> <br> 翠星石が叫んだ。無視されすぎたせいで、怒りが頂点に達したのだろう。<br> <br></dd> <dd> 翠「なに翠星石を無視してやがるんですか!!それになんです?寝顔?サボる?挙句の果てには凄いこと?<br>   一体どういうことなんですか!!ちゃんとわかるように説明しやがれですぅーーー!!!」<br> 蒼「翠星石落ちついて!!」<br> <br> 興奮した翠星石を蒼星石が宥めている。<br> それにしてもなんなんだろうジュンと薔薇水晶は。さっきから聞いているとこの二人の会話はまるで……<br> <br> 巴「桜田君、説明して」<br> J「ああ……その……」<br> 薔「昨日ジュンが私の家に泊まったの」<br> 巴「え………」<br> <br> 「「「「「「「ええーーーーーー!!!」」」」」」」<br> <br> ジュンのかわりに薔薇水晶が答えた。でも、その答えは私達にとっては信じられないものだった。<br> ジュンが薔薇水晶の家に?どういうことだろう?いや、もうわかってる。きっと二人は……<br> <br> 薔「まだわかんないの?私とジュンはね。付き合ってるの。恋人同士なんだよ」<br> <br> そう言うと薔薇水晶はまるで私達に見せつけるかのようにジュンと腕を組んで見せた。<br> ジュンはそれを振り払おうとはしなかった。<br> <br> 真「うそ……」<br> <br> 信じられなかった。私とジュンとの間で障害となる存在は、水銀燈と翠星石と巴だけだと思っていた。<br> 確かにジュンと薔薇水晶は仲が良かった。だけどそれは友達の域を超えているとは思えなかった。<br> 薔薇水晶は確かに外見は良い方だけど、人当たりは良くは無く、時々なにを考えているのかわからなくなる性格。趣味もアニメやゲームなど、どうもオタク臭い。<br> そんな彼女とジュンがが引っ付くなんて、思いもしなかった。 ……完全に油断していた。<br> <br></dd> <dd>J「お、おい薔薇水晶」<br> 薔「もうやめようよ。私、もうこれ以上隠すのには耐えられない」<br> J「薔薇水晶……わかったよ」<br> 真「本当……なのね」<br> J「ああ、隠しててすまなかった」<br> 翠「すまなかったじゃねーですぅ!!なんでもっと早く言ってくれなかったんですか!!<br>   もっと早くに言ってくれたら……翠星石は……余計な期待を持たなかったんですぅ……」<br> <br> 翠星石は大粒の涙を流して泣き始めた。蒼星石が翠星石のそばに寄り添った。蒼星石の目にも涙が溜まっている。<br> <br> 真「……いつから付き合ってるの」<br> J「……10日くらい前からかな」<br> 真「そう……」<br> <br> 10日。そんなに前からこの二人は関係を持っていたのね。全然気付かなかった。<br> <br> 真「告白したのはどっちから?」<br> J「僕の方からだ……」<br> <br> ジュンがこの子を選んだ。なんでだろう。なんでこんな子を選んだんだろう。なんで選ばれたのが私じゃないんだろう。<br> 前からこの薔薇水晶には少し取っつきにくさを感じていたが、今日ほどこの女が忌々しく見える日はなかった。<br> あなたなんてなんの取り柄もないくせに……水銀燈がいないとなにも出来ないくせに……<br> ……ダメよ私。嫉妬なんて見苦しいわ。そんなことで2人の仲を引き裂くなんて、けっして許されない。<br> それに薔薇水晶を選んだのはジュン自身。だったら私は、ジュンの気持ちを尊重しないと。<br> この気持ちには、きつく蓋をしておこう。これは、叶わない恋だったのよ。<br> <br> <br></dd> <dd> 真「ジュン、おめでとう。私は貴方達を応援するのだわ」<br> J「真紅……」<br> 巴「お似合いだと思うよ。ふたりとも」<br> 雪「私も祝福させていただきますわ」<br> 雛「ひなも応援するの~」<br> 蒼「ジュン君が選んだのなら、しかたないよね」<br> 金「か、かなも……」<br> 真「あら、あなたいたの?」<br> 金「酷いかしらーーー!!!」<br> 蒼「……ほら翠星石」<br> <br> 蒼星石は、自分の腕の中で泣いている翠星石に声を掛けた。だけど翠星石は一向に顔を上げようとしなかった。<br> きっとこの現実を受け入れたくないんだろう。しばらくして、翠星石は顔を上げて薔薇水晶をキッと睨んだ。その目には微かに殺気が漂っている。<br> でもすぐにうつむいてこう言った。<br> <br> 翠「……ほんとはすっごく悔しいです……でも……ジュンが選んだんなら……翠星石は……認めてやるです……」<br> <br> 薔「みんな……ごめんね。でもありがとう」<br> <br> みんなから祝福を受けた薔薇水晶は本当に幸せそうだった。ジュンはなぜか複雑そうな顔をしていた。<br> 私は、彼がなぜそんな顔をしているのか、その理由が全然わからなかった、<br> そのときの私達は、程度の違いはあっても、皆2人を祝福していた。<br> それは、二人が純粋な愛情によって結ばれた。そう思っていたからだ。<br> <br></dd> <dt>+++薔薇水晶(6/20AM9:373-B教室)+++<br> あはは。まさかこんなにうまくいくなんて思わなかったなぁ。<br> まあ、あの7人なんて最初から相手にしてなかったんだけど。<br> 優等生のいい子ちゃんな蒼星石、雪華綺晶、柏葉巴は問題外。<br> 中身が子供な雛苺も論外。<br> 真紅もプライド高いから、一度ジュンを奪われたらそこで諦める可能性大。<br> なんちゃって策士の金糸雀はほっとけば自滅してくれるし。<br> 翠星石はちょっときついかもしれないけど、水銀燈を相手にするよりははるかにマシ。<br> みんな私一人でなんとかなる相手だね。<br> まあ私がジュンの恋人ですっていった時点で半分くらいはリタイアするとは思ってたけど、まさか全員リタイアするとは思わなかったなぁ。<br> 翠星石は最後まで頑張ってたみたいだけど。あの空気じゃ一人だけ嫌ですとは言えないよねぇ。<br> あとは水銀燈をなんとかしたらおしまい。もう私達の邪魔をするものはいなくなる。ジュンは私だけのものになる。<br> うん。全ては計画通りだね♪<br> ねえジュン。ジュンに愛されていいのは、ジュンを愛していい女は私だけなの。<br> だからね、ジュン。これから先は一年経っても十年たっても百年経っても来世もその先もずーっとずーっとこの私が、<br> ジュンを愛してあげるよ♪<br> <br> <br> 続く<br> <br></dt> </dl>
ー前回のあらすじー<br> ジュンと一夜を共にした薔薇水晶。そのことに喜びを感じつつも、この先のことに不安を感じていた。<br> どうすれば自分は水銀燈を倒せるのか。悩んだ薔薇水晶はある行動にでた。<br> おなじころ水銀燈は通学路で二人を待っていた。薔薇水晶がジュンを盗ったのではないと信じて。<br> そんなとき、彼女の元に一通のメールが届く。それは、ジュンから彼女への決別のメールだった。<br> ジュンに捨てられたと思いこんだ水銀燈はその場で泣き崩れた。<br> しかし、それは薔薇水晶の策略だった。水銀燈に大打撃を与えたことを確信した薔薇水晶は<br> ジュンにそっと口付けをする。どんなことをしてもこの幸せを守りぬくことを胸にちかって。<br> <br> <br> <dl> <dd>+++真紅(6/20AM9:07薔薇学園3-B教室)+++<br> メ「えーっと、ですからこの人物は……」<br> <br> 私は今、学校で授業を受けている。<br> 今日の一時限目は古典で、英語以外の文系が苦手な私にとってはあまり受けたくない科目である。<br> 今後の人生に役に立つとは思えない大昔の言葉を、なぜ勉強しなければならないんだろうか。<br> <br> 翠「うー、うー、」<br> <br> 後ろの席の翠星石がなぜか唸っている。<br> <br> 真「うるさいのだわ。少し落ちついてちょうだい」<br> <br> 私は後ろを振り返らずに注意した。<br> <br> 翠「落ちつけるわけねーです!!真紅はジュンのことが心配じゃないんですか!!」<br> <br> 私は前の席を見回した。私の席は中央の列の後ろから2番目なので、前の席がよく見える。<br> 教室の中にみっつの空席がある。ジュン、水銀燈、薔薇水晶の席だ。<br> <br> 翠「ムキィィーーー!!!きっと今ごろジュンはあの3人とギシギシアンアンやってるにちがいないですぅ!!!」<br> 真「静かにしなさい。今は授業中よ」<br> <br> と言ったものの、うるさいのは翠星石だけではなかった。<br> <br></dd> <dd><br> <br></dd> <dd> べ「なんてこった、これが夢のハーレムフラグってやつか」<br> 党員「俺の銀様が……ちくしょう桜田ジュンめ!!」<br> 男1「なんであんなメガネがもてるんだ……」<br> 男2「あいつがもてる時点で世の中終わっとるよ」<br> 巴「桜田君、どうしたんだろう……」<br> 雛「巴、元気無いの~」<br> 蒼「ジュン君、まさかそんなことないよね……」<br> 雪「白崎、なにをしているのです。ジュン様はまだ見つからないのですか?」<br> 金「う~んムニャムニャ……卵焼きが烏に~」<br> <br> 今、このクラス(一部を除く)はこの話題で持ちきりになっていた。<br> <br> メ「あの~みなさん僕の授業を聞いてください……」<br> <br> というメソウサ先生の言葉も聞こえないほどに。<br> 休んだのがが他の生徒なら、こんなに話題にはならないだろう。でもあの3人は普段からとても仲が良いことで知られている。<br> 以前、その仲の良さに嫉妬した一部の男子生徒によるジュンへの暴力事件があったほどだ。<br> その3人が今同時に学校を休んでいるのだ。学校をサボってデートしていると思われても不思議ではない。<br> <br> 翠「真紅はいいんですか!!3人でしっぽりたっぷり楽しんでいるかもしれないのになんで落ちついていられるんですぅ!!!」<br> 真「あら?じゃあ聞くけど、ジュンに二股できるような甲斐性があると思う?」<br> 翠「う……」<br> 真「それに、3人が休んだのはただの偶然かもしれないし、ひょっとしたら遅刻しているだけかもしれないのだわ」<br> 翠「それは、そうですけど……」<br> 真「そんなに心配なら、この授業が終わってから私がジュンか水銀燈に電話して事情を聞いてあげるから」<br> 翠「真紅がそう言うなら、わかったです」<br> <br> <br></dd> <dd> 翠星石はまだなっとく出来ないようだけど、一応は静かになった。<br> 私がさっき薔薇水晶の名前を出さなかったのは、私が薔薇水晶の携帯の番号を知らないからだ。<br> 確かに、ジュンと水銀燈は薔薇水晶と仲が良いけど、私を含む他の7人は薔薇水晶と仲が良いわけではない。<br> ジュンから薔薇水晶を紹介されたとき、私達は彼女と仲良くしようとした。<br> でも、薔薇水晶と付き合っているうちに、私達と薔薇水晶とはなにかが違うと思うようになった。<br> 別に薔薇水晶の事は嫌いではない。でも、薔薇水晶と一緒にいるとどうも落ちつけない。<br> まるで、姉妹の仲に赤の他人が紛れ込んだような……そんな気がするのだ。<br> 私達が薔薇水晶をイジメることは無かったけど、次第に彼女とは距離をとるようになっていった。<br> 今、私達の中で薔薇水晶と仲が良いのは、ジュンと水銀燈だけになっていた。<br> <br> でもなんで水銀燈は来ないのだろう?彼女とは朝学校へ行くときに一度会っている。<br> 制服を着ていたから、てっきり学校へ行くものだと思っていたんだけど。<br> そういえば水銀燈は薔薇水晶を待っていると言っていた。ジュンも用事があるみたいでそこにはいなかった。<br> もしかしてあの後、薔薇水晶と一緒にジュンの所へ?<br> いや、もうこれ以上考えるのはやめておこう。私までこんな話に惑わされてはいけない。<br> 私はジュンを信じている。<br> <br> (もしそうだったとしても結末は変わらないのだわ。そうでしょうジュン)<br> <br> その後もしばらくの間、教室のざわめきが止まることはなかった。<br> <br> メ「お願いだから僕の話を聞いてくださ~い」<br> <br> メソウサ先生の叫びはこの喧騒にかき消されて、だれの耳にも届かなかった。<br> <br> <br></dd> <dd>ガラッ<br> <br> そのとき、教室に誰かがそっと戸を開けて入ってきた。私は誰かが入ってきた方向に目をやった。<br> <br> J「おはようございます……」<br> 薔「…………」<br> <br> そこにはジュンと薔薇水晶がいた。だけどそこには水銀燈の姿は無かった。<br> なぜか薔薇水晶は膨れているように見えた。<br> <br> メ「あ、桜田君に薔薇水晶さん、おはようございます。水銀燈さんはどうしたんですか?」<br> <br> 水銀燈の名前が出たとき、ジュンの表情に陰りが見えた。水銀燈となにかあったんだろうか?<br> <br> J「……いえ、僕も知りません。遅刻してすいませんでした」<br> 薔「すみません」<br> メ「わかりました。授業時間が半分を過ぎているので欠課扱いになってしまいますが、とりあえず自分の席に座ってください」<br> <br> そう言われると二人は無言で自分の席に向かった。<br> <br> 翠「ジュン!!!」<br> <br> 翠星石が叫んだ。<br> <br> 翠「なんで遅刻したんですか!!!翠星石をこんなに心配させてぇ!!!」<br> 真「翠星石、落ちつきなさい。何度も言うけど今は授業中よ」<br> 翠「これが落ち着いていられるかですぅ!ジュン!!遅れるなら遅れる。遅れないなら遅れないってちゃんと連絡しやがれですぅ!!」<br> <br> なんて無茶苦茶な理屈か。いきなり怒鳴られたジュンもうろたえている。<br> <br> <br></dd> <dd> J「……えーっと……今は授業中だろ。休み時間に答えてやるから」<br> 真「翠星石、先生も困っているわ」<br> メ「もう……もういいです……」<br> <br> メソウサ先生が教室の隅でいじけている。<br> <br> 翠「……わかったです。でもキッチリと話してもらうですよ」<br> <br> そう言うと翠星石は自分の椅子に座った。<br> <br> 真「じゃあ先生、授業を進めてください」<br> メ「あ、はいわかりました。それでは32ページの……」<br> <br> キーンコーンカーンコーン<br> <br> メ「…………」<br> 真「…………」<br> メ「…………グスッ」<br> <br> 誰かこの先生に愛の手を。<br> <br> <br> 翠「じゃあ説明してもらうですぅ」<br> 真「私も聞きたいわ」<br> <br> 授業が終わった後、私達はジュンから事情を聞くために彼の席の周りに集まった<br> <br></dd> <dd> J「……薔薇水晶、お前が目覚まし止めるからいけないんじゃないか!」<br> <br> ジュンは隣でまだ膨れている薔薇水晶に話をふった。<br> <br> 翠「目覚まし、どういうことですか?」<br> <br> ジュンは翠星石を無視して薔薇水晶と話を進めた。<br> <br> 薔「だってジュンの寝顔もっと見たかったんだもん……」<br> 翠「あの~ジュン?」<br> J「でもそのせいで遅刻しちゃったじゃないか!!」<br> 翠「ジュン?」<br> 薔「だからサボろうって言ったのに……1日くらい休んだって平気でしょ?」<br> 翠「お~い」<br> J「もう3年なんだからここで平常点減らすわけにはいかないんだよ」<br> 翠「…………」<br> 薔「せっかくジュンとデートしようと思ってたのに……時間無いからって朝ご飯も食べてくれなかったし」<br> J「だったら次の日曜にデートしてやるよ。ご飯もそのときに作ってくれ。これでいいか?」<br> 翠「………ぅ」<br> 薔「ダメ、それだけじゃ許さない」<br> 翠「……ですぅ」<br> J「じゃあどうすればいいんだよ……」<br> 薔「ん~。ここでキスしてくれたら許す」<br> J「ええ!!でもここ教室だぞ!!」<br> 翠「……るなですぅ」<br> 薔「でも昨日はもっと凄いことを……」<br> 翠「翠星石を無視するなですぅーーーーーーーー!!!!!」<br> <br> 翠星石が叫んだ。無視されすぎたせいで、怒りが頂点に達したのだろう。<br> <br></dd> <dd> 翠「なに翠星石を無視してやがるんですか!!それになんです?寝顔?サボる?挙句の果てには凄いこと?<br>   一体どういうことなんですか!!ちゃんとわかるように説明しやがれですぅーーー!!!」<br> 蒼「翠星石落ちついて!!」<br> <br> 興奮した翠星石を蒼星石が宥めている。<br> それにしてもなんなんだろうジュンと薔薇水晶は。さっきから聞いているとこの二人の会話はまるで……<br> <br> 巴「桜田君、説明して」<br> J「ああ……その……」<br> 薔「昨日ジュンが私の家に泊まったの」<br> 巴「え………」<br> <br> 「「「「「「「ええーーーーーー!!!」」」」」」」<br> <br> ジュンのかわりに薔薇水晶が答えた。でも、その答えは私達にとっては信じられないものだった。<br> ジュンが薔薇水晶の家に?どういうことだろう?いや、もうわかってる。きっと二人は……<br> <br> 薔「まだわかんないの?私とジュンはね。付き合ってるの。恋人同士なんだよ」<br> <br> そう言うと薔薇水晶はまるで私達に見せつけるかのようにジュンと腕を組んで見せた。<br> ジュンはそれを振り払おうとはしなかった。<br> <br> 真「うそ……」<br> <br> 信じられなかった。私とジュンとの間で障害となる存在は、水銀燈と翠星石と巴だけだと思っていた。<br> 確かにジュンと薔薇水晶は仲が良かった。だけどそれは友達の域を超えているとは思えなかった。<br> 薔薇水晶は確かに外見は良い方だけど、人当たりは良くは無く、時々なにを考えているのかわからなくなる性格。趣味もアニメやゲームなど、どうもオタク臭い。<br> そんな彼女とジュンがが引っ付くなんて、思いもしなかった。……完全に油断していた。<br> <br></dd> <dd>J「お、おい薔薇水晶」<br> 薔「もうやめようよ。私、もうこれ以上隠すのには耐えられない」<br> J「薔薇水晶……わかったよ」<br> 真「本当……なのね」<br> J「ああ、隠しててすまなかった」<br> 翠「すまなかったじゃねーですぅ!!なんでもっと早く言ってくれなかったんですか!!<br>   もっと早くに言ってくれたら……翠星石は……余計な期待を持たなかったんですぅ……」<br> <br> 翠星石は大粒の涙を流して泣き始めた。蒼星石が翠星石のそばに寄り添った。蒼星石の目にも涙が溜まっている。<br> <br> 真「……いつから付き合ってるの」<br> J「……10日くらい前からかな」<br> 真「そう……」<br> <br> 10日。そんなに前からこの二人は関係を持っていたのね。全然気付かなかった。<br> <br> 真「告白したのはどっちから?」<br> J「僕の方からだ……」<br> <br> ジュンがこの子を選んだ。なんでだろう。なんでこんな子を選んだんだろう。なんで選ばれたのが私じゃないんだろう。<br> 前からこの薔薇水晶には少し取っつきにくさを感じていたが、今日ほどこの女が忌々しく見える日はなかった。<br> あなたなんてなんの取り柄もないくせに……水銀燈がいないとなにも出来ないくせに……<br> ……ダメよ私。嫉妬なんて見苦しいわ。そんなことで2人の仲を引き裂くなんて、けっして許されない。<br> それに薔薇水晶を選んだのはジュン自身。だったら私は、ジュンの気持ちを尊重しないと。<br> この気持ちには、きつく蓋をしておこう。これは、叶わない恋だったのよ。<br> <br> <br></dd> <dd> 真「ジュン、おめでとう。私は貴方達を応援するのだわ」<br> J「真紅……」<br> 巴「お似合いだと思うよ。ふたりとも」<br> 雪「私も祝福させていただきますわ」<br> 雛「ひなも応援するの~」<br> 蒼「ジュン君が選んだのなら、しかたないよね」<br> 金「か、かなも……」<br> 真「あら、あなたいたの?」<br> 金「酷いかしらーーー!!!」<br> 蒼「……ほら翠星石」<br> <br> 蒼星石は、自分の腕の中で泣いている翠星石に声を掛けた。だけど翠星石は一向に顔を上げようとしなかった。<br> きっとこの現実を受け入れたくないんだろう。しばらくして、翠星石は顔を上げて薔薇水晶をキッと睨んだ。その目には微かに殺気が漂っている。<br> でもすぐにうつむいてこう言った。<br> <br> 翠「……ほんとはすっごく悔しいです……でも……ジュンが選んだんなら……翠星石は……認めてやるです……」<br> <br> 薔「みんな……ごめんね。でもありがとう」<br> <br> みんなから祝福を受けた薔薇水晶は本当に幸せそうだった。ジュンはなぜか複雑そうな顔をしていた。<br> 私は、彼がなぜそんな顔をしているのか、その理由が全然わからなかった、<br> そのときの私達は、程度の違いはあっても、皆2人を祝福していた。<br> それは、二人が純粋な愛情によって結ばれた。そう思っていたからだ。<br> <br></dd> <dt>+++薔薇水晶(6/20AM9:373-B教室)+++<br> あはは。まさかこんなにうまくいくなんて思わなかったなぁ。<br> まあ、あの7人なんて最初から相手にしてなかったんだけど。<br> 優等生のいい子ちゃんな蒼星石、雪華綺晶、柏葉巴は問題外。<br> 中身が子供な雛苺も論外。<br> 真紅もプライド高いから、一度ジュンを奪われたらそこで諦める可能性大。<br> なんちゃって策士の金糸雀はほっとけば自滅してくれるし。<br> 翠星石はちょっときついかもしれないけど、水銀燈を相手にするよりははるかにマシ。<br> みんな私一人でなんとかなる相手だね。<br> まあ私がジュンの恋人ですっていった時点で半分くらいはリタイアするとは思ってたけど、まさか全員リタイアするとは思わなかったなぁ。<br> 翠星石は最後まで頑張ってたみたいだけど。あの空気じゃ一人だけ嫌ですとは言えないよねぇ。<br> あとは水銀燈をなんとかしたらおしまい。もう私達の邪魔をするものはいなくなる。ジュンは私だけのものになる。<br> うん。全ては計画通りだね♪<br> ねえジュン。ジュンに愛されていいのは、ジュンを愛していい女は私だけなの。<br> だからね、ジュン。これから先は一年経っても十年たっても百年経っても来世もその先もずーっとずーっとこの私が、<br> ジュンを愛してあげるよ♪<br> <br> <br> 続く<br> <br></dt> </dl>

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