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「【愛の行く末】第二話水銀燈編」(2006/04/29 (土) 19:27:10) の最新版変更点
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<p>第四話<br>
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+++水銀燈(6/15PM5:30薔薇学園屋上)+++<br>
銀「ジュン……」<br>
放課後、私は屋上に向かっていた。ジュンに告白し、ただの幼馴染から恋人になるために……<br>
ジュンと私は幼いころからいつでもどこでも一緒だった。私は他の人とは違い、髪が銀色で目も赤く、そのせいでよくいじめられていた。<br>
『おまえはジャンクだ』ずっとそう言われてきた……。でもジュンはそんな私の側にずっと居てくれた。<br>
この髪を綺麗だと言ってくれたのもこの目を優しく見てくれたのもジュンだけだった。そんなジュンに私は好意を抱くようになった。<br>
その思いは時がたつに連れて益々強くなっていった。けれど、私はジュンに思いを告げることが出来なかった。<br>
長い間一緒に居てなにを今更という気持ちと告白は女の方からするものじゃないという考えがあったから…。<br>
別に恋人じゃなくても一緒に居られる。私はこの幼馴染という関係に満足していた。でも、それじゃもうダメだ。<br>
今までは一緒に居られた、でもこれからはわからない。もしかしたらなにかのひょうしで二人が離れ離れになってしまうかもしれない。<br>
ジュンが私以外の誰かの手を取ってしまうかもしれない。そうなる前にこの繋がりをより強いものにしないといけない。<br>
だれにも断ち切ることの出来ないほど強いものに……。でもジュンはなにをしても、いつまでたってもこの思いに気付いてくれない。<br>
ジュンは鈍い。鈍すぎる。それは、ジュンがわざと私の思いに気付かないフリをしてるんじゃないかと思ってしまうほどだった。<br>
……もう待てない。今日、私はジュンにこの思いを告げる決心をした。<br>
告白の場所には屋上を選んだ。家では家族の邪魔が入る。校舎裏は人は少ないが、それでも人が来る危険性がある。<br>
その点屋上は普段は生徒が立ち入れないように鍵をかかっているから人が来ることはまずない。<br>
事前に鍵を手に入れていた私はそれを使って屋上へと出た。それからジュンをここに呼ぶために携帯を取り出し電話をかけた。<br>
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プルル…プルル…ガチャ<br>
J『はいもしもし』<br>
銀「あ、ジュン、私よぉ」<br>
J『なんだよ水銀燈。なんかようか?』<br>
銀「あのねぇ、ちょっとジュンに話したいことがあるのぉ。今から学校の屋上まで来てくれるぅ?」<br>
J『はぁ?今からってもう5時半過ぎてるんだぞ!それに屋上って鍵がかかってるんじゃないのか?』<br>
銀「鍵は私が開けておいたわぁ。それじゃ待ってるからぁ』<br>
J『あ、ちょっ、おい!』<br>
ブツッ…ツーツーツー…<br>
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これでいい。あとはジュンを待つだけ…この時間ならほとんどの生徒はとっくに下校している。<br>
それに滅多に人が来ないこの場所なら邪魔が入ることもない。大丈夫、なにも心配はない。<br>
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ガチャ<br>
しばらく待っているとドアの開く音が聞こえた。ふりかえると、そこには最愛の彼の姿があった。<br>
銀「来てくれたのねぇ」<br>
やっぱりジュンは来てくれた。ジュンが私との約束を破ったことなんてただの一度もない。あとはこの思いを伝えるだけ……。<br>
J「どうしたんだよ?こんなところに呼び出して」<br>
銀「………」<br>
胸が高鳴る、ジュンの顔が見ることが出来ない。大丈夫、落ちついて、告白の言葉も考えた、何度も何度も練習した。<br>
大丈夫……大丈夫……ジュンなら、絶対にこの思いを受けとめてくれる。<br>
気持ちを落ち着かせるために一度深呼吸をし、ジュンの目を真っ直ぐに見て、私は思いを告げた。<br>
銀「私はジュンのことが好きなの。幼馴染としてじゃなくて、一人の女として愛してるの。お願い、私の恋人になって……」<br>
言えた。長年言いたくても言えなかった事をついに……なんだろう……心がすごく軽くなったような気がする。今まで溜まっていた物が全部外に出ていくような……。<br>
今、私はすごく幸せな気持ちだ。でも、こんなのはまだ序の口。だって本当に幸せな日々はここから初まるんだもの。<br>
いままで私の思いに気付かなかったジュン。鈍感なジュン。でもこれで私の思いに気付いてくれたわよね?<br>
私の心も体もあなたのものよ。さあこの思いを受けとめて。今日、この場所から私たちは恋人として新しい一歩を<br>
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J「……ごめん水銀燈、その思いには答えられない」<br>
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…………え?<br>
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今……なんて……<br>
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ソ ノ オ モ イ ニ ハ コ タ エ ラ レ ナ イ<br>
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銀「ど、どうしてぇ……どうしてなの……ねえどうして!!なんで私じゃダメなの!!わ、私のどこがいけないの!!教えてよ!!今すぐ直すからぁ!!」<br>
ずっとあなただけを見てきた。あなたに振り向いてもらえる事を信じて一人で女を磨いてきた。あなた以外の男にになびいたことなんてただの一度もない……<br>
それなのになんで?私が人とは違うから?やっぱり私はジャンクなの?ねえ、答えてよジュン!!<br>
J「違う……そうじゃないんだ」<br>
銀「だったらなんでなのぉ!」<br>
J「水銀燈の気持ちはうれしい、でも僕は水銀燈をそういう風には見れないんだ。水銀燈のことは好きだ。でもそれは幼馴染としてで、女の子としてじゃないんだよ」<br>
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ウソだと思いたかった。<br>
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『幼馴染』<br>
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私の居場所が、ジュンと一緒に居られた理由が、こんな形で仇になってしまうなんて……<br>
J「それに僕には他に好きな人がいるんだ。だから水銀燈の恋人にはなれない」<br>
……最悪の展開だ。私が一番恐れていたことが起こっていた。ジュンはもうすでに私以外の誰かの手を取ってしまっていた。<br>
銀「そんな……そんなのって……」<br>
遅すぎた……全てが遅すぎた……もうジュンの心の中に私の居場所はない。<br>
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銀「あ……あはは……そっかぁ……他に好きな人が……かぁ……なんだぁ……だったら…もっと早く言ってくれればよかったのにぃ」<br>
もう泣いても叫んでもジュンは私に振り向いてはくれない。だったらせめて笑っていよう……<br>
銀「それじゃあ…明日からも…い…ヒック…いつも通り…お…幼馴染と…して…な…グスッ…仲良く…しましょうねぇ……」<br>
笑っていよう…笑顔でいよう…そう思っているのに涙が後から後から流れてくる。胸が痛い、心が苦しい。これが失恋の痛みなんだろうか……<br>
J「……ゴメンな」<br>
あやまらないで。ジュンはぜんぜん悪くないから。ジュンは優しい、でもその優しさが今の私にはとても重く感じてしまう。<br>
銀「グスッ…あやまらないでよぉ…私が余計にみじめになっちゃうでしょう」<br>
これ以上涙を見られたくない。そう思って私はジュンに背を向けた。<br>
銀「ごめんねぇ、ジュンは先に帰っててぇ……私なら……大丈夫だから……」<br>
ウソ、ほんとは大丈夫じゃない。どこにも行ってほしくない。でもこれ以上ジュンを困らせるようなことはしたくなかった。<br>
しばらくして、彼はなにも言わずに屋上を後にした。<br>
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銀「う、ううああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」<br>
彼が出ていった後、私はその場に座り込んで大声で泣き叫んだ。どうしてこうなってしまったの?もうジュンは私を見てくれない、振り向いてくれない、<br>
もし、変な考えに縛られずにもう少し早くに思いを伝えていたら……そう思うと悲しくて悲しくて涙が止まらなかった。<br>
心の潰れる音が聞こえた。そんな気がした。</p>