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修学旅行の終わりに」(2010/04/30 (金) 19:30:39) の最新版変更点

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<p>私達は、荷物を引きずりながらてくてくと歩いていた。<br /> 普段は帰り道が逆方向の薔薇水晶も、今日は一緒だ。<br /> どうやら、槐さんが仕事で帰ってこられないらしく、仗助君の家で晩御飯をご馳走になるみたい。<br /> やっぱりその事で、薔薇水晶はさんざん翠星石や水銀燈にからかわれていたわね。<br /> みんな今までずっと張り詰めていたものも切れ、どっと体に疲れがのしかかっている。<br /> 燃えるように真っ赤な夕日が、みんなの背中を照らしている。<br /><br /> 苺「うゆ~……帰ったらうにゅーが食べたいのよ」<br /> 金「カナは卵焼きが食べたいかしら」<br /> 苺「じゃあヒナはもっとうにゅーを食べるの!」<br /> 金「じゃあカナは(ry」<br /> 苺「ヒナヒナヒナ!」<br /> 金「カナカナカナ!」<br /><br /> 私と違って疲れを全く見せていないのが雛苺と金糸雀。……この餓鬼も真っ青な、食い意地のはった会話は何?<br /> 怖い、怖いのだわ……。<br /><br /> 薔「……なんか、ごめんね」<br /> 仗助「いいって。気にスんなよ」<br /> 薔「……ありがと」<br /><br /> 薔薇水晶と仗助君はこの四日間で中をすっかり深めたみたい。<br /> ピッタリとくっつくその姿は、まるでおしどり夫婦ね。<br /> 張り合うつもりは無いけど、私達も負けないようにしなくては。</p> <p> </p> <p>翠「翠星石は……帰ったらシャワーでもあびますかねぇ」<br /> 蒼「あ、僕も僕も」<br /> 翠「じゃ、一緒に浴びますか?」<br /> 蒼「ん~……いいよ」<br /> 翠「きゃ~~~! 蒼星石とシャワーなんて久しぶりですぅ!」<br /><br /> 二人は和気藹々と帰ってからの予定かしら? そんな話をしている。<br /> うわぁ、なんて会話をしてるのよ……でも、本当に仲が良いわね。<br /><br /> 銀「荷物が……お土産が重たいわぁ。誰か手伝ってよ」<br /> 雪「私も、もう限界です」<br /> 銀「ああ~ん……腕がちぎれちゃいそぉ」<br /> 雪「……限界です」<br /><br /> ええい、ウダウダうるさいのだわ! ……他の皆より大きな荷物を抱えているのは水銀燈と雪華綺晶。<br /> まったくもう、お土産を買いすぎなのよ。<br /><br /> ウルージ「おーおーそれなら私が持とうか?」<br /> 銀「え? 本当? ありがたいわ!」<br /> 雪「すみません、お願いします」<br /><br /> 水銀燈と雪華綺晶が礼を言いながら、どさっとその場に荷物を置いた。<br /> ウルージ君が自分自身の荷物と二人の荷物をヒョイヒョイと担ぎ上げる。<br /> 汗一つかいていない上に、息一つ乱れてない。<br /> 人間じゃあないわ……。けど、さすがに心配だ。<br /><br /> 紅「ウルージ君、大丈夫かしら」<br /> ウルージ「心配してくださるとは、冗談でも有り難い。だが、心配はいらん」<br /> 紅「そう。余計な心配だったみたいね。持ちきれなかったらベジータにでも頼みなさい」<br /> ウルージ「おーおー」</p> <p> </p> <p>そう言えばベジータとジュンはどこにいるの?<br /> 私が振り返ると、生まれたてのペンギンの様に三つの影が動いていた。何であんな後ろにいるのかしら?<br /><br /> ジュン「はぁ……はぁ……真紅、頼むから自分の荷物は自分で持ってくれ」<br /> 紅「あら、そんな荷物も持てないとは、男としてどうかしら」<br /> ジュン「何とでも言え」<br /><br /> ……そうだった。ジュンに荷物を持たせてるんだったわ。<br /> すっかり忘れていたわね……。<br /> 仕方無しに、私は疲労困憊のジュンから荷物を受け取った。ズシリと重みが肩にのしかかる。<br /> これをずっと抱えていたなんて……ジュン、意外とやるわね。<br /><br /> ベジータ「あああ!!重てぇぇぇ! お土産重てぇよぉぉぉぉ!」<br /> 笹塚「うざいな。黙ってなよ」<br /> ベジータ「笹塚、お前にこの重みがわk」<br /> 紅「うるさいのだわ」<br /> ベジータ「あうっ! 紅嬢の髪ビンタ……ハァハァ」<br /><br /> 隣でわめくベジータに髪ビンタを叩き込む。<br /> 貴方のは全部自分の荷物じゃない。何を文句を言ってるのかしら。<br /> おまけに私のビンタでご満悦な表情を浮かべるし……。<br /> まさに変態だ。<br /> みんなでグダグダワイワイ話しながら歩いていると、ついに分かれ道にやってきた。<br /> ここからはそれぞれ帰り道が違う。<br /> 皆がまるで示し合わせたかのように、その場でゆっくりと歩を止める。<br /> そして夕日を見る。そよそよと風が、私達の顔を撫でた。</p> <p> </p> <p> </p> <p> </p> <p> </p> <p> </p> <p>終わり</p> <p> </p> <p> </p> <p> </p> <p> </p> <p> </p> <p>翠「あー! 楽しかったですぅ!」<br /><br /> 最初に大声を出したのは翠星石。とても柔らかい叫び声だ。<br /><br /> ベジータ「俺も楽しかったぜーーー!」<br /> ウルージ「これほど意義の有る時間も無かったろう……」<br /> 仗助「……まあ、な」<br /> 笹塚「案外あっという間だったね。楽しい事ほど早く過ぎてくなぁ」<br /><br /> 四人とも空を仰いでいる。学ランがヒラヒラと風で靡く。<br /><br /> 苺「ヒナはとっても幸せなのーー!」<br /> 金「カナもかしらー!」<br /> 蒼「僕も楽しかったよ! とっても、とーっても!」<br /> 雪「今まで生きてきた中で……一番楽しい時間でした」<br /> 薔「……私も、とっても楽しかった」<br /><br /> みんながみんなとっても幸せそうな顔をしていた。<br /><br /> 銀「私も楽しかったわぁ……絶対に忘れないでしょうねぇ」<br /><br /> 普段は冷徹でクールな水銀燈も、満面の笑みを浮かべている。<br /><br /> ジュン「僕達も……」<br /> 紅「ええ……せーの」<br /> 紅&ジュン「とっても、楽しかった(ぞーー)(のだわーー)!!」<br /><br /> 私とジュンも大空に向かって叫んだ。<br /> そして皆で笑いあう。この仲間と、この幸せな日々が、途切れないように、消えないように。<br /> 笑い合う私たちを、夕方の優しい風が静かに彩っていた。</p>
<p>私達は、荷物を引きずりながらてくてくと歩いていた。<br /> 普段は帰り道が逆方向の薔薇水晶も、今日は一緒だ。<br /> どうやら、槐さんが仕事で帰ってこられないらしく、仗助君の家で晩御飯をご馳走になるみたい。<br /> やっぱりその事で、薔薇水晶はさんざん翠星石や水銀燈にからかわれていたわね。<br /> みんな今までずっと張り詰めていたものも切れ、どっと体に疲れがのしかかっている。<br /> 燃えるように真っ赤な夕日が、みんなの背中を照らしている。<br /><br /> 苺「うゆ~……帰ったらうにゅーが食べたいのよ」<br /> 金「カナは卵焼きが食べたいかしら」<br /> 苺「じゃあヒナはもっとうにゅーを食べるの!」<br /> 金「じゃあカナは(ry」<br /> 苺「ヒナヒナヒナ!」<br /> 金「カナカナカナ!」<br /><br /> 私と違って疲れを全く見せていないのが雛苺と金糸雀。……この餓鬼も真っ青な、食い意地のはった会話は何?<br /> 怖い、怖いのだわ……。<br /><br /> 薔「……なんか、ごめんね」<br /> 仗助「いいって。気にスんなよ」<br /> 薔「……ありがと」<br /><br /> 薔薇水晶と仗助君はこの四日間で中をすっかり深めたみたい。<br /> ピッタリとくっつくその姿は、まるでおしどり夫婦ね。<br /> 張り合うつもりは無いけど、私達も負けないようにしなくては。</p> <p> </p> <p>翠「翠星石は……帰ったらシャワーでもあびますかねぇ」<br /> 蒼「あ、僕も僕も」<br /> 翠「じゃ、一緒に浴びますか?」<br /> 蒼「ん~……いいよ」<br /> 翠「きゃ~~~! 蒼星石とシャワーなんて久しぶりですぅ!」<br /><br /> 二人は和気藹々と帰ってからの予定かしら? そんな話をしている。<br /> うわぁ、なんて会話をしてるのよ……でも、本当に仲が良いわね。<br /><br /> 銀「荷物が……お土産が重たいわぁ。誰か手伝ってよ」<br /> 雪「私も、もう限界です」<br /> 銀「ああ~ん……腕がちぎれちゃいそぉ」<br /> 雪「……限界です」<br /><br /> ええい、ウダウダうるさいのだわ! ……他の皆より大きな荷物を抱えているのは水銀燈と雪華綺晶。<br /> まったくもう、お土産を買いすぎなのよ。<br /><br /> ウルージ「おーおーそれなら私が持とうか?」<br /> 銀「え? 本当? ありがたいわ!」<br /> 雪「すみません、お願いします」<br /><br /> 水銀燈と雪華綺晶が礼を言いながら、どさっとその場に荷物を置いた。<br /> ウルージ君が自分自身の荷物と二人の荷物をヒョイヒョイと担ぎ上げる。<br /> 汗一つかいていない上に、息一つ乱れてない。<br /> 人間じゃあないわ……。けど、さすがに心配だ。<br /><br /> 紅「ウルージ君、大丈夫かしら」<br /> ウルージ「心配してくださるとは、冗談でも有り難い。だが、心配はいらん」<br /> 紅「そう。余計な心配だったみたいね。持ちきれなかったらベジータにでも頼みなさい」<br /> ウルージ「おーおー」</p> <p> </p> <p>そう言えばベジータとジュンはどこにいるの?<br /> 私が振り返ると、生まれたてのペンギンの様に三つの影が動いていた。何であんな後ろにいるのかしら?<br /><br /> ジュン「はぁ……はぁ……真紅、頼むから自分の荷物は自分で持ってくれ」<br /> 紅「あら、そんな荷物も持てないとは、男としてどうかしら」<br /> ジュン「何とでも言え」<br /><br /> ……そうだった。ジュンに荷物を持たせてるんだったわ。<br /> すっかり忘れていたわね……。<br /> 仕方無しに、私は疲労困憊のジュンから荷物を受け取った。ズシリと重みが肩にのしかかる。<br /> これをずっと抱えていたなんて……ジュン、意外とやるわね。<br /><br /> ベジータ「あああ!!重てぇぇぇ! お土産重てぇよぉぉぉぉ!」<br /> 笹塚「うざいな。黙ってなよ」<br /> ベジータ「笹塚、お前にこの重みがわk」<br /> 紅「うるさいのだわ」<br /> ベジータ「あうっ! 紅嬢の髪ビンタ……ハァハァ」<br /><br /> 隣でわめくベジータに髪ビンタを叩き込む。<br /> 貴方のは全部自分の荷物じゃない。何を文句を言ってるのかしら。<br /> おまけに私のビンタでご満悦な表情を浮かべるし……。<br /> まさに変態だ。<br /> みんなでグダグダワイワイ話しながら歩いていると、ついに分かれ道にやってきた。<br /> ここからはそれぞれ帰り道が違う。<br /> 皆がまるで示し合わせたかのように、その場でゆっくりと歩を止める。<br /> そして夕日を見る。そよそよと風が、私達の顔を撫でた。</p> <p>  </p> <p> </p> <p> </p> <p> </p> <p> </p> <p>翠「あー! 楽しかったですぅ!」<br /><br /> 最初に大声を出したのは翠星石。とても柔らかい叫び声だ。<br /><br /> ベジータ「俺も楽しかったぜーーー!」<br /> ウルージ「これほど意義の有る時間も無かったろう……」<br /> 仗助「……まあ、な」<br /> 笹塚「案外あっという間だったね。楽しい事ほど早く過ぎてくなぁ」<br /><br /> 四人とも空を仰いでいる。学ランがヒラヒラと風で靡く。<br /><br /> 苺「ヒナはとっても幸せなのーー!」<br /> 金「カナもかしらー!」<br /> 蒼「僕も楽しかったよ! とっても、とーっても!」<br /> 雪「今まで生きてきた中で……一番楽しい時間でした」<br /> 薔「……私も、とっても楽しかった」<br /><br /> みんながみんなとっても幸せそうな顔をしていた。<br /><br /> 銀「私も楽しかったわぁ……絶対に忘れないでしょうねぇ」<br /><br /> 普段は冷徹でクールな水銀燈も、満面の笑みを浮かべている。<br /><br /> ジュン「僕達も……」<br /> 紅「ええ……せーの」<br /> 紅&ジュン「とっても、楽しかった(ぞーー)(のだわーー)!!」<br /><br /> 私とジュンも大空に向かって叫んだ。<br /> そして皆で笑いあう。この仲間と、この幸せな日々が、途切れないように、消えないように。<br /> 笑い合う私たちを、夕方の優しい風が静かに彩っていた。</p> <p> </p> <p> </p> <p> </p> <p> </p> <p> </p> <p>終わり</p>

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