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<p>私達は何とはなしに、ブラブラと歩き続けていた。<br /> すると、途中の土産物屋で梅岡先生を見つけた。<br /> ソフトビニールの剣と木刀を手にとって見比べている。どうやら、お土産を選んでいるみたいね。<br /> 邪魔をしてはいけないので、私達は早々にその場を立ち去った。<br /><br /> 翠「おっ、あれはソフトクリーム屋じゃあねーですか」<br /><br /> 翠星石が視線を向けたその先には、どこの観光地にも一つはありそうな、簡素なソフトクリーム屋があった。<br /><br /> 銀「どうする?」<br /> 雪「私は別に構いませんよ」<br /> 翠「それじゃあ、行け行けゴーゴー!ですぅ」<br /><br /> 特にこれと言って目的地も無い私達は、そのソフトクリーム屋に足を向けることにした。<br /><br /> 蒼「これはまた……破壊力の高そうな味ばかりだなぁ」<br /> 金「うげ……酷すぎるかしら」<br /><br /> 二人がそういうのも無理はない。いくらなんでもこのラインナップは強烈過ぎる。<br /> 柚子に薔薇に水母……一番強烈なのは、『味噌』だろう。<br /> 一体誰が買うのかしら。<br /><br /> 薔「……柚子」<br /> 仗助「おれは無難に、バニラで」<br /><br /> 早速注文しているのは仗助君と薔薇水晶の二人。かなりベターなものを選んでいるわね。</p> <p> </p> <p>ベジータ「俺はやっぱり味噌を頼むぜ」<br /> ウルージ「お主本気か?」<br /> ベジータ「俺の生き様を見てろよ!貴様らぁ!」<br /> 笹塚「みんなアイスの方に夢中だよ」<br /> ベジータ「何ィ!?」<br /><br /> なんというか、やっぱりと言うか、ベジータはネタに走り、一番の地雷候補の『味噌』を注文していた。<br /> さて、私はどれにしようかしら……。あっ、紅茶ソフトなんてあるのね。これにするのだわ。<br /><br /> 紅「ジュン、貴方は決まった?」<br /> ジュン「うーん……僕はチョコレートにするよ」<br /> 紅「私は紅茶にするのだわ」<br /> ジュン「こんな時でも紅茶かよ。ジャンキーだな」<br /> 紅「うるさいわね。美味しいものはどう扱っても美味しいものよ」<br /> 銀「ちょっとぉ、後がつかえてるわよ。掛け合いなら他所でやりなさぁい」<br /><br /> うっ……どうやら邪魔をしてたみたいね。<br /> 私達も注文を済ませ、ソフトクリームを受け取る。<br /> 店の前に大勢で居るのは他の人の迷惑になると言う事で、中央部の広場へと13人で移動する。<br /> 広場も江戸時代の往来を再現したものらしく、どことなく昔っぽい雰囲気がしている。<br /> その中心でミスマッチに設置されている噴水のそばで、みんなでアイスを食べる事にした。</p> <p> </p> <p>銀「ああ、至福の時ね」<br /> 紅「随分安っぽい至福なのだわ」<br /> 銀「それは言わないでぇ」<br /><br /> 水銀燈がソフトクリームをぺろぺろ舐めながら言った。<br /> どうやら水銀燈はカルピス味をチョイスしたようだ。<br /> 真っ白いソフトクリームが彼女の真っ赤な舌の上で踊っている。<br /><br /> 銀「ねぇ真紅ぅ……一口くれなぁい」<br /><br /> どうやら私の食べている紅茶ソフトが欲しくなったのか、そんな事を言い出してきた。<br /><br /> 紅「一口だけよ」<br /><br /> 私は食べかけのソフトクリームを彼女の前に差し出す。<br /> それを大きく口を開けて……ってああああああ!!<br /><br /> 紅「ちょっと!食べすぎなのだわ!ああ……私の分が」<br /> 銀「一口は一口よぉ」<br /><br /> 悪びれもせずそう言う水銀燈。はぁ、こうなる事を予想しておくべきだったわ。<br /> でも……くすん。<br /> 私の食べる分が殆ど無くなっちゃったのだわ。<br /><br /> ジュン「僕の分で良かったら食べるか、真紅」<br /><br /> え? ……ジュンが私にチョコレートアイスを手渡す。<br /> それはまだ殆ど口が付けられていない。</p> <p> </p> <p>紅「本当にいいの?」<br /> ジュン「ああ、甘いものはあまり得意じゃあないからな」<br /> 紅「なら、ありがたく頂くのだわ」<br /><br /> 私はチョコレートアイスに口をつける。<br /><br /> 銀「やりすぎたわぁ。ごめんなさい」<br /><br /> 水銀燈が心底すまなそうな顔をしている。<br /> さっきまでの私なら烈火のごとく怒っている所だけど、今はもう気にもならない。<br /><br /> 紅「もう気にしなくても良いのだわ」<br /> 銀「それなら、そのチョコアイスも頂戴」<br /> 紅「お断りよ」<br /> 銀「ケチぃ」<br /><br /> 許してあげたらすぐこれよ。全く……<br /><br /> ベジータ「ぐおおああああああ!!」<br /> 笹塚「ベジータァァァ!!」<br /> ベジータ「ほあああああああああああ!!」<br /><br /> ど、どうしたの!? 急にベジータが狂ったように大声を上げだした。<br /> 手に握られているのは、あの『味噌』アイス。……予想通り、もの凄く不味い代物だったみたいだ。<br /> 薔薇水晶が興味を持ったのか、すかさずもがき苦しんでいるベジータの手から味噌アイスを奪いとる。<br /> そしてベジータの口の付いていない所を選んで一口。見る見るうちに顔が苦悶の表情になっていく。<br /> しばらくその味とみっちり付き合った後、彼女はそのソフトクリームをゴミ箱に叩きこんでいた。</p> <p> </p> <p>紅「どうだった?」<br /><br /> 私は薔薇水晶に聞いてみた。<br /><br /> 薔「……最悪、バニラに味噌を入れたらちょうどこんな感じになる」<br /> 紅「……そう」<br /><br /> そう言って薔薇水晶は仗助君に背中をさすってもらっている。<br /> 私はその味をイメージしようとしたが、あまりにも想像できなさ過ぎたので、やめた。<br /><br /> ベジータ「ようし!完全復活だ!」<br /> ウルージ「二度と目覚めなければ良かったのだがな」<br /> ベジータ「馬鹿言え。俺がいなくて薔薇学がなりたつか。な、そうだろ蒼嬢」<br /> 蒼「寝言は寝てからいいなよ」<br /> ベジータ「うわーん!」<br /><br /> そうこうしている内にベジータも復活したらしい。元のハイテンションに戻っている。<br /><br /> ジュン「おい、そろそろ行くか?」<br /> 翠「ちょっと待ったぁぁぁ!!」<br /><br /> ジュンが振り向いた瞬間、翠星石がその流れを思いっきり断ち切った。<br /><br /> 紅「どうしたのよ。どこか行きたい所でもあるの?」<br /> 翠「いやいやいや、違うですよ」</p> <p> </p> <p>翠星石は手を振ってそれを否定する。そして翠星石が蒼星石のバッグをまさぐりだした。<br /><br /> 蒼「うわっ……何をするんだい?」<br /> 翠「アレですよ、あっ、あったですぅ!」<br /><br /> 掲げられているのは、あの高性能カメラだった。<br /> 写真を撮りましょうって事ね。<br /><br /> 翠「ちぃと待ってろですぅ」<br /><br /> 突然駆け出すと、近くを歩いている人に交渉を始めている。<br /> しばらくするとすぐに、一人の男性を連れてきた。<br /> その親切な人にカメラを手渡して、私達は噴水の前に立つ。<br /><br /> 親切な人「ハイ、チーズ(ホントは女子のフトモモだけアップで撮りたいなー)。……はい、終わったぜ」<br /><br /> 皆でお礼を言ってその人からカメラを受け取る。写真を見てみると、腕がいいのか、なかなか良く撮れていた。<br /> 思い思いのポーズをした私達が写されているこの写真。<br /> 十年二十年したら、きっとお酒の肴にでもなっているのだろう。いいわね、そういうのも。</p>
<p>私達は何とはなしに、ブラブラと歩き続けていた。<br /> すると、途中の土産物屋で梅岡先生を見つけた。<br /> ソフトビニールの剣と木刀を手にとって見比べている。どうやら、お土産を選んでいるみたいね。<br /> 邪魔をしてはいけないので、私達は早々にその場を立ち去ることにした。<br /><br /> 翠「おっ、あれはソフトクリーム屋じゃあねーですか」<br /><br /> 翠星石が視線を向けたその先には、どこの観光地にも一つはありそうな、簡素なソフトクリーム屋があった。<br /><br /> 銀「どうする?」<br /> 雪「私は別に構いませんよ」<br /> 翠「それじゃあ、行け行けゴーゴー!ですぅ」<br /><br /> 特にこれと言った目的地も無い私達は、そのソフトクリーム屋に足を向けることにした。<br /><br /> 蒼「これはまた……破壊力の高そうな味ばかりだなぁ」<br /> 金「うげ……酷すぎるかしら」<br /><br /> 二人がそういうのも無理はない。いくらなんでもこのラインナップは強烈過ぎる。<br /> 柚子に薔薇に水母……一番強烈なのは、『味噌』だろう。<br /> 一体誰が買うのかしら。<br /><br /> 薔「……柚子」<br /> 仗助「おれは無難に、バニラで」<br /><br /> 早速注文しているのは仗助君と薔薇水晶の二人。かなりベターなものを選んでいるわね。</p> <p> </p> <p>ベジータ「俺はやっぱり味噌を頼むぜ」<br /> ウルージ「お主本気か?」<br /> ベジータ「俺の生き様を見てろよ!貴様らぁ!」<br /> 笹塚「みんなアイスの方に夢中だよ」<br /> ベジータ「何ィ!?」<br /><br /> なんというか、やっぱりと言うか、ベジータはネタに走り、一番の地雷候補の『味噌』を注文していた。<br /> さて、私はどれにしようかしら……。あっ、紅茶ソフトなんてあるのね。これにするのだわ。<br /><br /> 紅「ジュン、貴方は決まった?」<br /> ジュン「うーん……僕はチョコレートにするよ」<br /> 紅「私は紅茶にするのだわ」<br /> ジュン「こんな時でも紅茶かよ。ジャンキーだな」<br /> 紅「うるさいわね。美味しいものはどう扱っても美味しいものよ」<br /> 銀「ちょっとぉ、後がつかえてるわよ。掛け合いなら他所でやりなさぁい」<br /><br /> うっ……どうやら邪魔をしてたみたいね。<br /> 私達も注文を済ませ、ソフトクリームを受け取る。<br /> 店の前に大勢で居るのは他の人の迷惑になると言う事で、中央部の広場へと13人で移動する。<br /> 広場も江戸時代の往来を再現したものらしく、どことなく昔っぽい雰囲気がしている。<br /> その中心でミスマッチに設置されている噴水のそばで、みんなでアイスを食べる事にした。</p> <p> </p> <p>銀「ああ、至福の時ね」<br /> 紅「随分安っぽい至福なのだわ」<br /> 銀「それは言わないでぇ」<br /><br /> 水銀燈がソフトクリームをぺろぺろ舐めながら言った。<br /> どうやら水銀燈はカルピス味をチョイスしたようだ。<br /> 真っ白いソフトクリームが彼女の真っ赤な舌の上で踊っている。<br /><br /> 銀「ねぇ真紅ぅ……一口くれなぁい」<br /><br /> どうやら私の食べている紅茶ソフトが欲しくなったのか、そんな事を言い出してきた。<br /><br /> 紅「一口だけよ」<br /><br /> 私は食べかけのソフトクリームを彼女の前に差し出す。<br /> それを大きく口を開けて……ってああああああ!!<br /><br /> 紅「ちょっと!食べすぎなのだわ!ああ……私の分が」<br /> 銀「一口は一口よぉ」<br /><br /> 悪びれもせずそう言う水銀燈。はぁ、こうなる事を予想しておくべきだったわ。<br /> でも……くすん。<br /> 私の食べる分が殆ど無くなっちゃったのだわ。<br /><br /> ジュン「僕の分で良かったら食べるか、真紅」<br /><br /> え? ……ジュンが私にチョコレートアイスを手渡す。<br /> それはまだ殆ど口が付けられていない。</p> <p> </p> <p>紅「本当にいいの?」<br /> ジュン「ああ、甘いものはあまり得意じゃあないからな」<br /> 紅「なら、ありがたく頂くのだわ」<br /><br /> 私はチョコレートアイスに口をつける。<br /><br /> 銀「やりすぎたわぁ。ごめんなさい」<br /><br /> 水銀燈が心底すまなそうな顔をしている。<br /> さっきまでの私なら烈火のごとく怒っている所だけど、今はもう気にもならない。<br /><br /> 紅「もう気にしなくても良いのだわ」<br /> 銀「それなら、そのチョコアイスも頂戴」<br /> 紅「お断りよ」<br /> 銀「ケチぃ」<br /><br /> 許してあげたらすぐこれよ。全く……<br /><br /> ベジータ「ぐおおああああああ!!」<br /> 笹塚「ベジータァァァ!!」<br /> ベジータ「ほあああああああああああ!!」<br /><br /> ど、どうしたの!? 急にベジータが狂ったように大声を上げだした。<br /> 手に握られているのは、あの『味噌』アイス。……予想通り、もの凄く不味い代物だったみたいだ。<br /> 薔薇水晶が興味を持ったのか、すかさずもがき苦しんでいるベジータの手から味噌アイスを奪いとる。<br /> そしてベジータの口の付いていない所を選んで一口。見る見るうちに顔が苦悶の表情になっていく。<br /> しばらくその味とみっちり付き合った後、彼女はそのソフトクリームをゴミ箱に叩きこんでいた。</p> <p> </p> <p>紅「どうだった?」<br /><br /> 私は薔薇水晶に聞いてみた。<br /><br /> 薔「……最悪、バニラに味噌を入れたらちょうどこんな感じになる」<br /> 紅「……そう」<br /><br /> そう言って薔薇水晶は仗助君に背中をさすってもらっている。<br /> 私はその味をイメージしようとしたが、あまりにも想像できなさ過ぎたので、やめた。<br /><br /> ベジータ「ようし!完全復活だ!」<br /> ウルージ「二度と目覚めなければ良かったのだがな」<br /> ベジータ「馬鹿言え。俺がいなくて薔薇学がなりたつか。な、そうだろ蒼嬢」<br /> 蒼「寝言は寝てからいいなよ」<br /> ベジータ「うわーん!」<br /><br /> そうこうしている内にベジータも復活したらしい。元のハイテンションに戻っている。<br /><br /> ジュン「おい、そろそろ行くか?」<br /> 翠「ちょっと待ったぁぁぁ!!」<br /><br /> ジュンが振り向いた瞬間、翠星石がその流れを思いっきり断ち切った。<br /><br /> 紅「どうしたのよ。どこか行きたい所でもあるの?」<br /> 翠「いやいやいや、違うですよ」</p> <p> </p> <p>翠星石は手を振ってそれを否定する。そして翠星石が蒼星石のバッグをまさぐりだした。<br /><br /> 蒼「うわっ……何をするんだい?」<br /> 翠「アレですよ、あっ、あったですぅ!」<br /><br /> 掲げられているのは、あの高性能カメラだった。<br /> 写真を撮りましょうって事ね。<br /><br /> 翠「ちぃと待ってろですぅ」<br /><br /> 突然駆け出すと、近くを歩いている人に交渉を始めている。<br /> しばらくするとすぐに、一人の男性を連れてきた。<br /> その親切な人にカメラを手渡して、私達は噴水の前に立つ。<br /><br /> 親切な人「ハイ、チーズ(ホントは女子のフトモモだけアップで撮りたいなー)。……はい、終わったぜ」<br /><br /> 皆でお礼を言ってその人からカメラを受け取る。写真を見てみると、腕がいいのか、なかなか良く撮れていた。<br /> 思い思いのポーズをした私達が写されているこの写真。<br /> 十年二十年したら、きっとお酒の肴にでもなっているのだろう。いいわね、そういうのも。</p>

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